天ハ自ラ助クルモノヲ助ク: 中村正直と「西国立志編」

著者 :
  • 名古屋大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784815805470

作品紹介・あらすじ

明治最大のベストセラーとして日本産業化の国民的教科書となった『西国立志編』の巨大な影響を、翻訳者中村正直を軸に跡づけ、イタリア・中国などとの比較を通して、思想が文化の境を越えて運動する姿を立体的に描きだす。

感想・レビュー・書評

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  • 明治の初期のベストセラーといえば、福沢諭吉の『学問のすすめ』を思い浮かべる人が多いだろうが、それと並んで爆発的に読まれた本が中村正直訳『西国立志編』である。しかし、『立志編』は翻訳ということからか、これまでその影響がほとんど問題にされてこなかった。本書は、比較文学の泰斗である平川祐弘氏が、探偵さながらに、スマイルズの原著セルフヘルプのみならず『西国立志編』のアジア世界への影響を追いかけたものである。影響がどのようにあらわれているか。今まで常識と思われた話、伝承がいかに後世のつくりごとであったか、学問をする人間は、一つ一つの事実を改めて疑う必要がある。また、自ら願って留学生たちのお目付役になり、イギリス社会に驚嘆したものの、それをゆっくりと咀嚼し、後半生ではむしろその負の側面にも目をやった中村正直の姿勢にも当時一流の儒学者の生き様を感じた。

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著者プロフィール

1931年東京に生まれる。東大名誉教授。著書に『和魂洋才の系譜』『小泉八雲―西洋脱出の夢』『破られた友情―ハーンとチェンバレンの日本理解』『ラフカディオ・ハーン――植民地化・キリスト教化・文明開化』『竹山道雄と昭和の時代』他。

「2014年 『ラフカディオ・ハーンの英語クラス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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