- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784816614040
作品紹介・あらすじ
●連合国の「戦争裁判」は何を裁いたのか?
●連合国の「戦争犯罪」はなぜ裁かれなかったのか?
☆強靭な精神力で自らの戦争犯罪を見つめ、「戦争犯罪」と「戦争裁判」を問う著者の遺言の書。
感想・レビュー・書評
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http://boketen.seesaa.net/article/422366335.html
飯田進(92歳)は、元BC級戦犯としてオランダ領インドネシアの軍事裁判で死刑を求刑され、重労働20年の判決を受ける。
巣鴨プリズンに移送後、10年間の収容生活から釈放され、今日まで波乱の人生を生き抜いた。
右でもなく左でもなく、それぞれの時期を必死に生き抜いた人間の、行動・考察に衿を正される思いがする。
飯田は、自分が明らかに戦争犯罪といわれて当然の罪を犯したことを認め、犯罪に問われなかった罪(食糧運搬に協力させた現地住民を、上官が射殺するなど)をも告白する。
そのうえでなおかつ、勝者・連合国側の理不尽な裁判、日本人捕虜に対する虐待・拷問の数々を告発し、勝者側の戦争犯罪が問われもしないことに歯ぎしりし、広島への原爆投下の現地責任者カーチス・エマーソン・ルメイ少将(後に元帥)に1963年日本政府が勲一等旭日大綬章を授与するという倒錯的な国辱行為を告発・指弾する。
生死を賭けて大東亜戦争に身を投じた一軍属青年の、無念、怒りが、いまも生々しくほとばしる。
本書の白眉は愛真高校生との往復書簡だ。
愛真高校は、島根県の片田舎に内村鑑三の無教会主義を受け継ぐ人々によって創設された、一学年28人の少人数全寮制高校。
ここに講師としてよばれた飯田の講演を、高校生たちは全身で受けとめる。
「飯田先生の震える声を聞いたとき、ああ、この方は、本当に私たちのことを想っていてくださるのだなと感じた。」
生徒からのたくさんの手紙・感想文を読んだ飯田は、感動で涙し、一人ひとりに返信を書く。
90歳と15~6歳といえば、曽祖父とひ孫の関係。ここに生じた人間としての深い交流がすばらしい。
安保関連法案への抗議の声をあげたSEALDsの中心メンバー明治学院大生奥田愛基が、愛真高校の卒業生で、高校2年生の時飯田の講演を聞いているという。
ほんものの訴えは、世代を超えて人を動かす力があるんですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示