文・堺雅人

著者 :
  • 日本工業新聞社
4.25
  • (210)
  • (155)
  • (74)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 1148
感想 : 198
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784819110624

作品紹介・あらすじ

俳優・堺雅人が自ら綴った本音・日常のあれこれ。本格エッセーに加え、撮りたて写真、執筆秘話も満載。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 堺雅人さんは、お豆腐のような人だ。

    いや、けっしてふにゃふにゃしている、ということではなくて。
    きれいな水と、すこやかに育った大豆で、丁寧に作られたお豆腐。
    どんな食材とも自然に馴染み、声高に存在を主張するわけではないのに
    なくてはならない存在として、いつのまにかお椀の中に品よく坐っている。

    。。。なんて始めてみたけれど、要するに好きなんです♪

    イケメン俳優さんは数あれど、イケメン且つ口跡の美しい俳優さんとなると
    堺雅人さんに匹敵する人なんてなかなかいないわ♪ と密かに決めつけている私。
    (ちなみに、口跡の美しい女優さんNo.1は、私の中では深津絵里さん☆)

    このエッセイを読んではっとしたのは、その口跡の美しさは
    単なる天からの授かりものなんかじゃなくて、
    堺さんの研ぎ澄まされた言語感覚と思索に裏打ちされていたのだ、ということ。

    字音語は漢字で、和語はかなで、ちょっと遠くに置いて眺めたい言葉はカタカナで
    という言葉選びに、あの、言葉の意味が明瞭に心に飛び込んでくる台詞まわしは
    声がいい、滑舌がいいからだけではなくて、堺さんが言葉をきちんと咀嚼して
    口に出しているからこそなのだ、と気付かされます。

    幼稚園の発表会で「カベムシ」役を割り当てられ、
    明らかに「カメムシ」の誤植っぽいその役を、図鑑を開き研究しようとする幼い堺さん。
    役者として確固たる地位を築いた今も、役が決まって台本が届くまでの時間を
    「春やすみをすごす気分」で、原作を読んだり時代背景を調べたりしながら
    わくわくソワソワと、しあわせに過ごす堺さん。

    『篤姫』で将軍家定を演じるにあたり、「品」について考え続け
    4か月にわたって「品」について書き綴っていて、「さすが堺さん♪」と感心していたら
    あとがきで、「品については一度で全部書いてしまって、長くなったので
    4つにわけて掲載したんです。4回分稼げて、しめしめと思いました」
    なんてお茶目に告白してしまう堺さん。

    今までも、じゅうぶんすぎるほど好きなつもりでいたけれど
    堺さんの魅力は、もっともっと計り知れないほど深かった!

    堺さんファンじゃなくても、ドラマを全く見なくても、
    楽しく、心地よく、滋養になるエッセイです。おすすめです♪

    • まろんさん
      nicoさん☆

      あけましておめでとうございます!
      年末にひどい風邪をひいて、大掃除もしないまま寝込んでいたひ弱なまろんです。

      「リーガル...
      nicoさん☆

      あけましておめでとうございます!
      年末にひどい風邪をひいて、大掃除もしないまま寝込んでいたひ弱なまろんです。

      「リーガル・ハイ」の堺さんの、あの滑舌の良さと立て板に水の台詞、すばらしかったですよね!
      どんなに毒舌でも品が悪くならないところが、nicoさんのおっしゃる通り、「育ちの良さ」なのだと思います♪

      私こそ昨年はnicoさんに出会えて、同じ本で感動したり
      素敵なレビューを読ませていただいたり、とてもうれしい年となりました。
      今年もどうぞよろしくお願いします(*'-')フフ♪
      2013/01/01
    • まろんさん
      りんご飴さん☆

      コメントありがとうございます!
      堺さんと深津絵里さん、大好きなので、
      ブクログでお仲間が発見できて、私こそうれしいです♪
      ...
      りんご飴さん☆

      コメントありがとうございます!
      堺さんと深津絵里さん、大好きなので、
      ブクログでお仲間が発見できて、私こそうれしいです♪

      なんと、お二人の共演作があるんですか?!知りませんでした。
      せっかく同い年なんだし、W主演で、ぜひもう一度共演してほしいですね。
      『カバチタレ』の時の深津さんと、『リーガル・ハイ』の時の堺さんの
      あの滑舌の良さで、法廷ものとかやったら、すごいことになりそうですね。
      しっとりした風情豊かな恋愛ものでも、また素敵でしょうし、
      頭の中でどんどん妄想がふくらんでしまいます。
      せっかくお知り合いになれたので
      またぜひおしゃべりさせてくださいね(*'-')フフ♪
      2013/02/08
    • まろんさん
      りんご飴さん☆

      おお!貴重な情報を、ありがとうございます!
      「深津絵里のblack comedy ブラコメ」ですね、さっそく探してみます♪...
      りんご飴さん☆

      おお!貴重な情報を、ありがとうございます!
      「深津絵里のblack comedy ブラコメ」ですね、さっそく探してみます♪
      妄想をふくらませつつ、関係者各位に向けて
      「共演させろ~共演させろ~」と一緒に呪文を唱えましょう!
      いつかは届くかもしれません♪
      2013/02/11
  • 145:読んでいて心地よいテンポ、空気感。「俳優・堺雅人」ではなくて、ひとりの人間としても、とても魅力的な方です。というかこの文章力……! 好奇心と謙虚さと探究心、そんなのが堺さんの演技につながってるのだなあと思います。今後もいちファンとして応援したいです。

  • 堺雅人さんのエッセイ集。ひらがなが多めだから見た目にふんわりしていて、素敵。狙って面白いことを書いているのではなくて、天然なんだろうな〜♡最後に写真がたくさん載っていて嬉しい。かっこいい!半沢直樹で堺雅人さんのファンになったから、この本に出てくる映画やドラマはどれも見たことがない。見たい!

  •  我が子も中3と小5になり、やっと一緒に大河ドラマを観られるようになってきました。今の旬が「真田丸」。というわけで、前から興味のあった堺雅人氏の本を読んでみました。

     結論から言えば期待以上。帯にも作家・宮尾登美子氏も認めた筆力とありますが、本当に文章がうまいと感じました。同じ真田丸に出演中のO氏の本も以前読みましたが、どちらかと言えばあちらは面白い系。弟の方は深みがありますね。文章の構成もよく練られていて、オチも思わずうならせられるものがたくさんありました。

     それにしても、ずいぶんたくさんの作品に出演されています。この本を読みながら、当時の作品を見直してみると、新しい発見がありそうです。

  • この方の書いた文章を少しだけ、なんかのおりで目にしたことがあって、「いいな〜」と思っていた。ブックオフの本棚にこの本を「みっけ〜」ってなところ。

    中々の筆がたつ俳優である。自分でも文章を書いてみたかったらしい。言葉を知ってる。言い回しもよく知っいて使いこなしてる。平仮名が多いので柔らかでスンナリと入っていける。そしてひとつの話にちゃんと起承転結があるのだ。計算されているというかよく考えて抜かれている。それともスラスラと自然に出てくるのかも知れない。本をよく読んでることがすぐに分かる人だ。それと、柔らかな感性がいい。

    例えばこうだ。
     「20年近く経った今でも(1989年)の春のことをおもい出そうととするとすると、たかく舞い上がっていたものが落下する直前の、ふわりとした無重力感のような、そんなとりとめのない気持ちになってしまう。あるいは春と言うものは、多かれ少なかれ人をそうした気分にさせるものなのかもしれない。」

    「新撰組」の若い俳優仲間たちとの飲み会で明日朝早いのにも拘らずどうせなら、このまま寝ないで呑み明かそうという。そんな彼らに抱いた感慨はこうだ。

    「これも1種の『どうでもしなはれだ』。こうした手あいは決してむりには会おうとせず、遠巻きに眺めておいたほうがいい。何しろ相手はちょっと解脱しているのである」。

     このエッセーを読んでいると、あの口元がキリリと締まった生真面目な顔を思い浮かべる。こういう人が菅野美穂を嫁さんに選ぶんだな、と思った。彼女みたいな人には心を開けるんだなと合点した。分かるような気する。けっこう彼は人見知りなんだと思った。クソ真面目な感じがするけど、ナイーブで奥行きがあり、何故かどこか気になる存在だ。

     この方は言葉を知っていたり言い回しが上手なんだけど、それはつまるところ、自分の感情や気分を他者にうまく伝えるのが上手いということ。今の感情を伝える言葉のチョイスが上手ということだ。もちろんそれだけでは無い。元々傷つやすくナイーブな感性を持っているということ。人が素通りしてしまう事でも彼は見逃さない。心のヒダを持っているということだ。
     

  • 以前から、
    俳優・堺雅人は好きだったけど、
    人間・堺雅人も好きだなぁと
    気付かされた作品。

    これは「タレント本」となんかじゃ、括れないね。

  • こんなに深く思考をめぐらしながら生きてる俳優さんがいるんだー!ってうれしくなります。思考や考えって表面には現れにくいと思うけど、でも彼はそういう深さを感じさせる雰囲気をまとっているなあと感じます。「ジェネラル・ルージュの凱旋」にまつわるエッセイが印象的でした。「小説のなかの速水は、いつもピリピリしている。まるで、彼にしか聞こえない非常アラームが大音量で鳴りつづけているようだ」の表現はすごく的確…。「ジェネラリストがみなおされる時期がくるのではないか」そうあってほしいとおもいます。堺さんは役者という仕事を通して、よのなかや人間を俯瞰しているような…。やんわりと、でもしっかりと、自分の考えや「こうあってほしい」という希望も書かれていて、すごくかっこいい。そこまで深く思想をめぐらしながらも、俳優という仕事について「『だれかそこにいて』というときのために僕たちは雇われているのだ」と言えてしまうところが潔い…。「『そこにいて、なにもしない』は『なにかする』とおなじくらいたいせつなことだ。」の言葉も好きです。ここまで深く考えているからこそ、そういう言葉がカッコいいんだとおもいます。

  • 日常の中から、疑問を感じるテーマを見つけ、そこから深堀りして答えを見つける。
    その思考プロセスが例文を交えながら書かれていた。
    以下面白いと感じた箇所。
    ・世間の時間と自分の中で流れている時間は異なる。
    子供の頃は自分が子供だと意識せず育った。
    大人に成長したなと言われ、自分の中で流れている時間を世間の時間の針に合わせた。
    子役は針を合わせる作業が多いのではないか?

  • 頭がいい人の文章。
    のぞいちゃいけないものを見ちゃったような、ちょっと嬉しくなっちゃうこの感じ。
    役者として、人間としての堺さんを知れたような。

  • 人間ドックの時に待合室にあった雑誌で
    堺さん
    おもしろいこと書いてて
    もっと読みたいと思ってるところに発見。
    あの時ちょこっと読んだだけの印象のまま
    とても好感が持てる文章だった。
    いろんなエピソードも考えてることも
    ひらがなの使い方もおもしろい。
    時々でてくる口語のせいか
    話し言葉としてするりと入ってくる。
    2も読もう。

全198件中 1 - 10件を表示

堺雅人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×