山本美香という生き方

著者 :
制作 : 日本テレビ出版部 
  • 日本テレビ放送網
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784820301165

作品紹介・あらすじ

「愛」と「行動力」で駆け抜けた女性ジャーナリスト山本美香の真実。2012年8月、シリア内戦の取材中に亡くなった彼女は、「なぜ紛争地を取材し続けたのか?」。パートナー佐藤和孝さんが語る、素顔の山本美香。

感想・レビュー・書評

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  • 山本美香という一人の勇気ある女性ジャーナリストの死は衝撃が大きかった。危険な戦地に行き、報道をする山本美香さんの勇気ある行動に同じ女として感激をした。ご冥福をお祈り致します。

  • 昨年8月シリア内戦の取材中に亡くなられた山本美香さん。
    それまでも、アフガニスタン、イラク、チェチェン、コソボなど世界の紛争地を取材して、発信し続けてきた。
    チャーミングで華奢なあの体のどこにそんなバイタリティーがあるのか、使命感だけでもできるものでもない。
    彼女はいわゆる、生々しい銃撃戦や、火薬のにおいのするような映像は撮らず、その弾の飛び交っている下で、身を寄せ震わせている、子どもや女性、老人など弱者とされる人たちを、勝手に撮るのではなくて、その人達に寄り添って、その声を取材する
    今この現状をできるだけ多くの人たちに伝えるために。
    「そこに生きている人たちの声を伝えたい。そこで何が起きているのか知りたい。自分の足で大地を踏み、自分の目で見て、自分の耳で聞いたものを皆さんに届けたかった」
    シリア入りをするにあたっての、美香さんと佐藤さんの切実な思い。その思いを踏みにじることなく、残された者は止むことのない争いを今一度考えてみるべきだろう。

  • 再録「中継されなかったバクダット」では、首都を制圧した米軍が、300名ものメディア関係者が滞在するパレスチナホテルへ砲弾を打ち込んだようすが書かれています。武力で言論を封じようとした行為には唖然としました。危険を顧みず自らみた事実を伝えることで、真実が闇に葬られないよう頑張っていらっしゃる人がいることに感謝します。

  • そのニュースがもたらされた時、既視感に襲われた。シリアで日本人
    女性ジャーナリストが死亡か。

    イラクで橋田信介氏が亡くなった時と同じような感覚。内戦が激化
    しているシリアで、しかも女性だ。真っ先に頭に浮かんだ名前は
    「山本美香」。

    違っていて欲しい。だが、現実はすぐに判明した。やはり彼女だった。

    砲撃されたホテル。呻きとも叫びとも聞こえる声を上げ、体の奥底
    から湧き出る怒りに突き動かされるように部屋を歩き回る。彼女が
    亡くなってからのテレビ・ニュースで何度も流れた映像だ。

    イラク戦争時のバグダッド、報道関係者が滞在するパレスチナ・
    ホテル。アメリカ軍の戦車はそこへ砲弾を撃ち込んだ。

    絶版となり現在は入手困難な彼女の著書『中継されなかったバグ
    ダッド』が本書には再録されている。生々しい砲撃現場の様子が、
    記されている。

    「ベイビー」。空のゆりかごを手に、知っている英語で彼女に
    向かって訴えかけるイラクの老人。似たような情景は橋田氏も
    『イラクの中心で、バカと叫ぶ』に綴っていた。

    外部の人間との接触には厳しいイスラムの女性たちのなかへさえ
    入り、戦時下の市井の人々に目を向けて来た人だった。彼女の
    レポートを観たくて、何度テレビのチャンネルを合わせたことか。

    「覚悟はしている。でも、死にに来たんじゃない」

    美香さんのパートナー・佐藤和孝氏の言葉が、胸に痛い。

    美香さん以前にもシリアでは多くのジャーナリストが命を落とし
    ている。「隻眼の女性ジャーナリスト」として知られたメリー・
    コルビンもそうだ。

    自身が取材現場に立つことは勿論、若い世代にバトンを渡す為に
    講演や講義なども行っていた。その途上で亡くなってしまうとは。

    日本の女性ジャーナリストのなかでも稀有な存在だったと思う。
    いつかあなたに会いに、ロンドンのジャーナリスト教会へ行こうと
    思う。そこには、同じように危険な地域で命を落とした人たちの
    多くが祀られているから。

    本書は『中継されなかったバグダッド』を読むだけも大きな収穫だ。
    そして、ひとりの人間が何を伝えようとしたかを知り、心に留めて
    おく為にも。

    ヴェトナム戦争時に多くのジャーナリストがそこで起こっていることを
    伝えたことで反戦運動が盛り上がったように、ジャーナリストが危険を
    覚悟で現地の模様を伝えることで、戦争を止めることが出来るかも
    しれないと思うのは、夢じゃないと思いたい。

  • フリージャーナリストの安田純平さんが3年に及ぶ拘束を経て、無事に解放された。なのに、日本ではバッシング。そういうバッシングをする人たちに、特に読んでもらいたいと思う。

  • 2012年8月、シリア内戦の取材中に亡くなったジャーナリスト山本美香さんの人生を浮き彫りにする本。山本美香さんのパートナー佐藤和孝さんに取材。インタビューからほぼ1週間で校了。

  • 初めて付箋なしで読みきった本。戦争は今という現代でも生きてることを教えてくれた本。

  • 「中継されなかったバグダッド」は
    ふだんの生活の中で見聞するメディアからの情報では得られない
    戦争の恐ろしさを実感できた。

    同世代の女性として
    共感できる部分もたくさん感じられた。

    志半ばでの急逝はとても悔やまれる。
    心よりご冥福をお祈りいたします。

  • 結論から申し上げれば、この本は残念な本でした。

    私は、この山本さんという、戦争とそこに生きる人々のことを日本人の私たちに伝えようと文字通り命を懸けてジャーナリストという仕事を続けていた方が、どうしてそのような仕事を選び、危険な中で仕事をし続けておられたのかということを知りたくて読んだのですが、、、

    この本は3章からなっていますが、ほとんどが山本さんがかつて書かれ出版された「中継されなかったバグダッド~唯一の日本人女性記者現地ルポ~イラク戦争の真実」の再録です。

    書店でパラパラと冒頭部分と目次をみたときはそこまでわかりませんでしたが、「山本美香という生き方」という看板に偽りあり、と言わざるを得ません。

    私にとっては、期待した内容のものではありませんでした。

    しかしもちろんそれは亡くなった山本さんのせいではまったくなく、またその採録されているルポルタージュも大変興味深いものではあります。

    戦争の悲惨さのみならず、愚かさ、その中で活きる市井の人々の姿など、深く考えさせられるものでした。

    それだけに、出版元の本書の編集の仕方、売り方は非常に残念です。

    ですが、戦争とそれを伝えようとするジャーナリストについて理解の一助となる本ではあります。

    それを念頭に置いたうえで購入されるのならば、満足されることでしょう。

  • 自分の仕事にこれだけの誇りを持てるのはすごいと思った。

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著者プロフィール

東洋大学ライフデザイン学部 教授(2022年2月現在)

「2022年 『地域福祉と包括的支援体制』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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