- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822244644
作品紹介・あらすじ
誰かのために働くってカッコいい。21世紀型ビジネス=ソーシャル・ベンチャー。NPO/NGOを動かす18人の熱いメッセージ。
感想・レビュー・書評
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チェンジメーカー=世の中を変えることを選択した人々の静かな情熱が伝わるインタビュー本です。18人の社会起業家たちのポートレートはとても清々しい雰囲気で、それでいて強い意志を感じさせる眼差しはやはり非常に魅力的に映ります。
社会起業家に求められる資質として、
・右脳と左脳の両方が豊かであること
・何らかの社会の矛盾を解消したいという情熱があること
・変革を実現する可能性のあるまったく新しいアイデアを持っていること
・理想的なアイデアを現実にする上で具体的な戦略を持っている
・予期せぬ障害が起きたときでも、即座に頭を切り替えてゴールに向かう柔軟性
のすべてが備わっている必要があります。
さらに社会起業家の父、ドレイトンによれば、「社会起業家というのは、ただの夢想家ではなくて夢を持った行動家なんですね。彼らに欠かせない大切な資質は持続力です。社会の構造を変えるという遠大な作業は2,3年ではとてもかないません。数十年、いやそれ以上かかるかもしれない。あきらめず、へこたれず、短期的な達成感がなくても情熱を持続する力がいる。そして、最後にもうひとつ、最も重要な資質は誠実さです。私はフェローを面接するときにその人とふたりで険しい崖っぷちに立っている自分を想像してみます。そして心の声にじっと聞いてみる。果たして彼あるいは彼女に、私の心身をすべて委ねられるほどの誠実さがあるだろうか、とね」とあります。
個人的に非常に感銘を受けたのが、プロジェクト・インパクトの新興国向け医療ビジネスと、シーズ・オブ・ピースの敵対民族の子どもの合同キャンプです。貧困や人種差別、そして民族対立などは複雑な政治的要因が絡み、NPOといえどもなかなかカンタンに参入することができません。そこへアイデアを以て問題解決への礎を築く行動は率直に賞賛すべき偉業と呼べるでしょう。
これまでの日本では、経済的側面のみの社会活動が主流でした。日本の海外援助も企業の社会貢献も、とにかく金は出す、寄付はするけれどもあとはボランティアが勝手にやってくれ、というようなスタイルで、積極的にコミットするカンジではありません。そんな日本でも駒崎弘樹や山口絵理子のようなロールモデルがどんどん生まれています。アメリカ民主党大統領候補のオバマ氏もスラム街のNPOから社会派弁護士となりました。こんなにも優秀な人々が自分たちの住む世の中をより良くしようと考えている、それだけでもワクワクしませんか。
もうすぐ、社会起業は当たり前になる。日本の、世界の未来は大丈夫です。
■ソーシャル・アントレプレナーの父
アショカ財団/ビル・ドレイトン
http://www.ashoka.org/
■新興市場国を元気づける“中小企業診断士”
エンデヴァー/リンダ・ロッテンバーグ
http://www.endeavor.org/
■ソーシャル・ベンチャーのインキュベーター
アキュメン・ファンド/ジャクリーン・ノヴォグラッツ
http://www.acumenfund.org/
■日本版社会責任投資の伝道者
インテグレックス/秋山をね
http://www.integrex.jp/
■ホームレス専門の敏腕・住宅再生デベロッパー
コモン・グラウンド・コミュニティ/ロザンヌ・ハガティ
http://www.commonground.org/
■難民住宅問題の解決策を募る建築展主宰者
アーキテクチャ・フォー・ヒューマニティ/キャメロン・シンクレア
http://www.architectureforhumanity.org/
■貧者を救う格安医療事業プランナー
プロジェクト・インパクト/デビット・グリーン
http://www.projectimpactusa.org/
■紛争・危険地帯の赤ひげ先生たち
国境なき医師団/アン・フーシャル
http://www.msf.or.jp/
■市民のためのメディア仕掛人
インターニューズ/アネット・マキノ
http://www.internews.org/
■報道を規制する国々の見張り番
国境なき記者団/ローベル・メナール
http://www.rsf.org/
■どん底のエイズ患者を支えるアートセラピスト
ハウジング・ワークス/原田真樹子
http://www.housingworks.org/
■世界最大のフェアトレード認証機関のマーケター
マックスハベラー/ブレヒア・ヴェルマン
http://www.maxhavelaar.ch/
■紛争国家を和解に導くシナリオライター
暫定司法国際センター/アレックス・ボレイン
http://www.ictj.org/
■敵対民族の子どもを集めた交流キャンプのディレクター
シーズ・オブ・ピース/エヴァ・ゴートン
http://www.seedsofpeace.org/
■世界中の人権侵害を暴くメディアプロデューサー
ヒューマン・ライツ・ウォッチ/サマン・ジアザルフィ
http://www.hrw.org/
■子どもたちの転落を防ぐ人権派弁護士
青少年のための法律センター/ニナ・チャーノフ
http://www.jlc.org/
■小児病院に笑いと希望を運ぶピエロたち
ソッコルソ・クラウン/ユリ・オルシャンスキー、ジョバンナ・ペッズーロ
http://www.soccorsoclown.it/
■不登校児向け単位認定型フリースクール校長
スマイルファクトリー/白井智子
http://www.smilefactory.jp/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以前、留職プログラムのクロスフィールズさんの話「働く意義の見つけ方」を読んでから、社会起業家という存在に興味が出たので読んでみた。
働く意義についても考えさせる部分がたくさんあるいい本でした。
【なるほど!そうだよな!と思ったフレーズ】
貧困を救う格安医療事業プランナー
デビッド・グリーン(プロジェクト・インパクト代表)
「大学生の時、一生と言う時間の使い方について考えた。金儲けのために使うか、社会改革のために使うか、のどちらか。そして僕は後者を選んだ。すぐに注目したのは富の大部分が企業に集中しているということ。企業こそ、社会改善のポテンシャルを秘めている。だから僕は、活動内容自体が家行利益を生むと同時に世の中を変える企業モデルを作ろうと思った」 -
ソーシャルアントレプレナーシップ、社会の矛盾や問題に出会った時「何とかしないといけない」という心のさざ波をそのままにしないで、「私がやろう」と行動に移すこと。そして冷静かつ現実的なアプローチを取ることによって、社会問題に対する一つの「ソリューション」を提供すること。しっかりとした問題意識と、解決への夢をもって行動すること。
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社会貢献について考えさせられる本。いろんな社会への関わり方がある。自分にもできることはないだろうか。
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読んでみての個人的な感想ですが、日本において実は貧困層は比較的幸せであって、一方で中間階級がいろんな幻想に取り憑かれていていっぱいいっぱいなのかも、と思ったりした。
2005年の本。15年前だけに、時代が進んでいて今と比較できたので面白かった。 -
■学んだこと
・心のキャピタリズムに沿った多層値段付与システムを活用する。
・政府や企業からの援助を一切必要としない、独立経営のモデルに意味がある。
・巨大企業によって貧困層には手の届かない贅沢品となってまった医療を、大量生産と適切な利幅によって、医療本来の姿に取り戻してくれた画期的な社会起業なのである。
・制作より人の道を優先する・
・ルドルフ・ジュリアーニ市場が事実無根の理由で援助を取り消して、運営資金を半分カットした→独立経営の安定感
・お上の機嫌を取りながら恵んでもらうという従来のNPO的経営では社会問題は解決できない、。
・イノベーティブな方法でホームレス問題にソリューションを提供していることを評価され、人気のアイスクリーム店4店舗をフランチャイズ料金無しで引き受けて収益はホームレス事業に還元している。
・社会性はオシャレ感覚に結びつくという強みもある -
家入さんの推薦図書だったので買ってみたけどこれはかなりの良書!
子供の読書の時間とかで読ませたい -
大学時代だろうか、随分昔に読んだ本の再読。
まだ社会起業家という言葉に馴染みがなかった時代、
社会的問題をビジネスの手法で解決しようと試みていった人々を紹介した本。
彼らに共通するのは、問題をそのままにせず、解決しようとする思考と、それを実現する行動力、勇気を持っていたこと。
熱いものがこみ上げてくる。 -
36ページ 途中で投げ出す。やれやれ