実践 行動経済学

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822247478

作品紹介・あらすじ

市場には何が足りないのだろう?ごく凡庸な我々は、様々な人生の決断において自らの不合理性とひ弱さに振り回され続ける。制度に"ナッジ"を組み込めば、社会はもう少し暮らしやすくなる。"使える"行動経済学の全米ベストセラー。世界的な金融危機を読み解いた「国際版あとがき」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • ◯内容は、まさしく実践的ではあるが、株式における利用の部分は難解に感じた。予想どおりに不合理と類似する一冊。
    ◯しかし、結局ナッジとは何かと考えると、中々説明が難しい。今まで無意識に行なっていた強制ではなく、示唆的な促しをナッジと認識するくらいにしか理解が及ばなかった。
    ◯経済学における議論ではあるが、本書にもあるとおり、より政策に活かすべき技術なのではないか。

  • 翻訳の問題もあるが、最初の理論編で、リバタリアンパターナリズムや選択的アーキテクチャーなどのキーワードが出てくるが、これを十分に理解しておかないと、後の具体例も理解が半減する。幸福な生活を送るたむに、人間には選択の自由は必要であるが、情報公開や公正さが保たなければ、間違えた選択をし、結果は悪くなる。ただ、それを規制しすぎると、自由度がなくなる。相反するこれらを選択的アーキテクチャーするのが、リバタリアンパターナリズムで、その一つの方法が、ナッジということか。前に読んだ仕組み学と重なる部分が多い印象。

  • 2009年発行
    「行動経済学の逆襲」を読んで、遡って本書を手にしました。
    当時からいろんなアイディアが書かれていたのですね。

    一方で、
    エコノ
    エイモス・トバスキー
    という訳には違和感があります。

    今読むなら、「行動経済学の逆襲」の方が、俯瞰的で面白かったです。

  • この本を行動経済学の本と思って読むのは、いろいろと取りこぼしてしまうと思う。この本にとって、人間が合理的に行動しないことは明らかにすべき事実ではなく、与件でしかない。ここで主張されるのは、そうした与件を前提として制度をつくること。それこそが原題のNudge。

    そして、そこからさらに進んで、著者はリバタリアン・パターナリズムを提唱する。個人の選択権を残しつつ、社会的に望ましい方向へ誘導するよう制度を設計しようとするそれは、単なる技術論にとどまらずイデオロギーといってもいい。

    一見、科学的見地から演繹された技術論のようだし、極端なリバタリアニズムでも極端なパターナリズムでもない穏当な政策にもみえる。が、アーキテクトによる利益誘導の危険性は常に存在し、一定の価値判断が潜り込むことも避けられない。著者もそうした批判への一応の反論を用意しているが、読み手としても留意する必要がある。

    とはいえ、技術論としてのリバタリアン・パターナリズムには十分な魅力があることも事実。一つの可能性として注目できるものだと思う。

  • リバタリアン・パターリズム、その代表的な考え方である”ナッジ”について様々なシーンでの導入例や応用方法について、時にユーモラスに時にシビアに説明されている。

    テーマは多岐にわたって楽しく読めるが、どうしてもアメリカでの事例が多いため、アメリカの保険や住宅(サブプライム)などこちらにはあまり身近ではないテーマもあるし、何より書かれて10年以上たっているため、事例が少し古いものもある。

    しかし、今でもベースの考え方は不変のもので、この正しき?”ナッジ”の導入例がもっと増えてくれれば助かるのだが。

  • 邦題は『実践 行動経済学』となっているが、原題の直訳は『ナッジ:健康・福祉・幸福に関する決定を改善する』であり、大きなコストをかけず選択の自由を残しながら公共の福祉を改善するための仕組み・仕掛けであるナッジ理論について一般向けに解説した一冊である(原著の出版は2008年、その後2017年にこうした行動経済学の業績が認められ、リチャード・セイラーはノーベル経済学賞を受賞している)。

    一流の専門家が一般向け書籍ということもあり非常に平易かつところどころにアメリカンジョークを挟みながら解説する行動経済学、特にナッジ理論の解説を行ってくれる本だけあり、類書の中でも非常に優れた一冊である、という印象を受けた。

    特に本書においては、医療サービス、携帯電話の料金プラン、住宅ローンなどはあまりにも複雑化しすぎており、様々なナッジ理論のアプローチによって、情報をシンプルに提示する、不必要な選択肢をデフォルト化によって削減する意義はますます高まっている、ということが主張される。言うまでもなく、アメリカにおける住宅ローンの複雑性、つまりそれは十分な金融リテラシーを受けずに融資を受ける低所得者層だけではなく、住宅ローンの証券化によってそのリスクが見えなくなってしまった金融業界のスペシャリストも含めてということだが、その複雑性がもたらしたサブプライム問題と世界恐慌の例を踏まえれば、いかに複雑性を減らすか、という点が極めて重要なイシューである、ということは当然の結論であるように感じられる。

    ということで、行動経済学の基礎とそこから導き出されたナッジ理論の現実的な応用可能性を知るための最初の一冊として推奨できる良書であった。

  • 行動経済学ベースの話だが、海外の制度の話が多くやや自分の生活から遠い話が続いたことから評価は3~4くらい。

    自分の中で身近で具体的なものに落とし込めないか考え、何かに応用できないかを検討してみる。

  • ファスト&スローと並び、行動経済学について学べる。特にデフォルトの選択肢をどうすべきかは非常に参考になる。

  • 値上げすると、売れにくくなる→経済学
    陳列場所を変えるとよく売れるようになる→行動経済学

    デフォルトの選択肢を選びがち。

    幸せですか→最近デートしましたか、だと相関なし。逆なら相関あり。

    フレーミング→この手術を受けた100人のうち、90人が5年後に生存している、だとよさそう。
    この手術を受けた100人のうち、10人が5年後に死亡しています、だと悪そう。ってこと。

    電気代の平均を教えるとブーメラン効果になる。ただし、平均以下はニコちゃんマークも送れば、上がらなくなる!平均以上は悲しみマークで一層効果あり!

    プライミング
    投票日の前日に、明日投票に行くかどうか質問すると、その人が投票に行く確率が25パーセント増える笑

  • 行動経済学という分野ができて、
    これまでさまざまな心理的バイアスが研究・整理されてきた。

    例えば、
    ・児童が食堂のどのおかずを取るかは、並び方に左右される
    ・どれだけ食べるかは、器の大きさに左右される
    ・選挙の結果は、ポスターの顔から予測されるものとほとんど同じ
    ・失うことはその費用のだいたい倍の価値に感じる
    ・先のことを考えて貯金や保険に入るのは難しい

    この本では、それを社会システムの設計に使うための、
    実例、提言で構成される。

    ただ、実践的な使い方は、ほとんどが
    ・初期値(デフォルト)を多くの人にとって安心なものする
    というもので、あまり目新しくない。

    この本の中でも紹介されている
    『誰のためのデザイン?』
    に書かれている、使いやすい工業デザインを、
    モノ以外に応用しただけに見える。

    というわけで「実践」の部分はもう少し他の心理学の応用が見たい。

    この本で本当にためになったのは、次の点。

    おかずの並べ方、入力フォームのデザイン、何かを話す順番、
    そんな何気ないことで人の選択は影響される。
    そういう意味で、私たちの誰もが「選択アーキテクト」になりうる。
    選択の仕組みの設計を間違えると、
    悪気がなくても、人に不適切な選択をさせるかも知れない。

    何かを提示するとき、その選択設計に無頓着であったことを反省した。

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著者プロフィール

米シカゴ大学経営大学院教授。1945年米ニュージャージー州生まれ。74 年米ロチェスター大学で経済学の博士号取得(Ph.D)。米コーネル大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院などを経て95年から現職。行動経済学の研究で、2017 年にノーベル経済学賞を受賞した。著書に『行動経済学の逆襲』(遠藤真美訳、早川書房)、『セイラー教授の行動経済学入門』(篠原勝訳、ダイヤモンド社)などがある。

「2022年 『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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