トリプルA 小説 格付会社 下

著者 :
  • 日経BP
3.67
  • (15)
  • (33)
  • (33)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 234
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822247904

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 格付けの意味がわかる。ウォーレン・バフェットが自社のバークシャー・ハサウェイの格付けを気にして出資を断念した事があるくらい格付けの存在は大きい。
    また、サブプライムローンの事が分かりやすく書かれている。
    養護学校へ入学した華が亡くなってる。悲しい。
    スワンベーカリーの話も詳しく出ている。

  • 今まで知らない内容があった。我が社の名前も出てる。苦しい時代だった!面白かった。役に立った。

  • 小説というよりかは、ノンフィクションな雰囲気。

  • ※レビューは、上巻の方に投稿しています。

  • 先日(2013.6上旬)に読んだ本の下巻です。この本では小説の形をとっていますが、15年程前(2000年頃)に日本の生命保険や、主に地方の銀行が、格付け会社の格付けに翻弄された事実が詳細に書かれています。

    当時は日本国債の残高ばかり強調されていて、他国との比較をその外見でしか私は判断できなかったのですが、いまも順調に日本国債が処理されていることを思うと、少なくとも15年前に評価された格付けは真実を表していなかったと言えます。

    実際のニュースにも流れていて私も驚いたのですが、「格付け会社の格付けは、単なる意見の表明にすぎない」と米国議会において、格付け会社の経営者が表明していて、格付けを信じた方の責任であるという考えられているようです。また、格付け会社は自分が得た情報により評価しているのであって、格付けされた会社が隠蔽している情報により誤った格付けがされていても、責任を負わないという姿勢を貫いています。

    この本を読んで思ったことは、格付けを見るときには、格付け会社の経営者の言葉や姿勢は未だに変わっていないことを念頭に、「自己責任で判断する」姿勢が必要だと思いました。

    ただ、今の資本主義を続けている限り、昔から何度となく起きているバブルが起きて崩壊するというのは避けられないようですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・エンロンは売上高で全米7位となり、フォーチュン誌により6年連続で「最も革新的な米国企業」に選ばれた後に粉飾決算の末に破綻、破綻の4日前まで、投資適格の格付けを与えていた(p28)

    ・問題は、ベテランアナリストの職人芸でやっている、金融機関や事業会社の格付けを、もっとコンピュータ化できないかということ(p29)

    ・エンロンは格付け会社に様々な情報を開示し始めたが、ラプター・ローハイド・ブレイブハート等のSPEの存在は隠し続けた、2000.8に80ドルという史上最高値をつけた(p33)

    ・ビルクリントン政権時代に、「コミュニティ再投資法」という法律が強化されて、低所得者でも銀行等から住宅ローンを借りられるようにした、その融資を増やさない金融機関にはペナルティが科せられた(p84)

    ・「トゥー・トウェンティ・エイト」とは、期間30年間の住宅ローンで、当初二年間は低金利だが、残り28年間は、6か月LIBOR(ロンドン銀行間出し手金利)プラス6パーセントの変動金利になる、貸出と同時に証券化するので銀行は大丈夫(p86)

    ・NINJAローンとは、無収入・無職・無資産(No income No job and No assets)の略、借りてくれた人には、仕事を紹介するとか、大目に借りてくれれば5000ドルのキャッシュ進呈等のサービスあり(p91)

    ・住宅ローンのセールスマンは、稼ぐ人は100万ドルを超える、契約書の年収や職業もセールスマンが適当に記入、住宅ローン会社も貸したローンを即転売するので、審査は無いに等しい(p92)

    ・格付け会社のRMBS(住宅不動産担保証券)の格付け用コンピュータモデルは、債権回収率:70%として損失率を弾き出している、価格が2/3になると回収率は36.6%となる、70%というのは、住宅バブルを前提とした設定(p94)

    ・格付けは、あくまでの一つの意見、過去のデフォルト率を統計的にサンプリングして、それをモデルに組み上げ、格付けという結果を出している、保証でもなければ保険でもない(p187)

    ・ヘッジファンドLTCM(1998)が抱えていた想定元本が1兆ドル、金融機関15社がドミノ倒しを防ぐために投じた額は37.5億ドル(p197)

    ・石原知事の肝いりで始まった「東京都債券市場構想」とは、証券化を通じてリスク分散する方法で、単独では社債を発行できない中小企業でも無担保・無保証で資金調達できるようにするもの、CBOオールジャパンという、アメリカのサブプライムローンに似ている(p207)

    ・ゴールドマンサックスは、バフェットのバークシャ・ハサウェイを引受先として、50億ドルの優先株発行した(p295)

    2013年6月30日作成

  • 現実の話しと結びつけているのに、リンクが薄い。専門用語もバンバン出てくるので、取っつき憎いといえば、とっつきにくい。

  • う~ん。面白く読みやすいのですが、リーマンショックの前後をまとめた域を出ないのかな、と。実名と仮名がごっちゃになっていますが、実名部分が多く、それって、作者がまとめただけだとすると、オリジナルが少なく、リーマンショックを経験した人なら、別に・・・という内容で、それが多いと思いました。

  • 良書

  • 副題は小説・格付会社だが、格付会社の実態だけでなく、それが近年ますますメジャーに存在になってきた背景を丹念に追った作品となっている。
    また、サブプライムローン問題の背景やリーマンショックに至るまでの経済・金融の裏側まで描いている。

  • 6

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黒木亮の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×