クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
- 日経BP (2014年6月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822250256
作品紹介・あらすじ
ある調査では、「自分はクリエイティブではない」と思っている人は75%にも上る。だが、どんな人でも自分の中に創造力を秘めている。ほんの少し背中を押せば、仕事でもプライベートでも、その力を存分に発揮できる!
アップルやサムスン、P&Gなど名だたるグローバル企業の成長を支えてきたデザイン会社のIDEO(アイディオ)。「世界でもっともイノベーティブな企業」にも選ばれた同社を牽引してきた創業者で、スタンフォード大学dスクールの創設者でもあるデイヴィッド・ケリーと、その弟でIDEO共同経営者のトム・ケリーが、本書で最新の「デザイン思考」のノウハウを語る。
創造力に必要なのは、アイデアと「自信」。その自信は、ちょっとしたトレーニングとアドバイスだけで、簡単に身につき、想像力・好奇心・勇気がみるみるあふれ出す。自分から行動し、人生を変え、イノベーションを起こす!
5カ国の約5000人を対象に、もっとも創造性がある国を尋ねた調査では、「日本」という回答がもっとも多かった。「日本人はクリエイティブ。もっと自信を持っていい!」と語る知日家の著者による、日本人の背中を押す名著が待望の邦訳。
感想・レビュー・書評
-
デザイン思考で有名なIDEOのケリー兄弟によるデザイン思考の本。
デザイン思考のやり方やワークショップについても書かれているのですが、
その前提となるマインドセット(クリエイティブコンフィデンス)の重要性について強調されています。
デザイン思考になじみがないと(自分も含めて)ついついスキル面に注目が集まっていってしまいますが、
そんなことよりもまずはマインドセット(自信も持つこと)なんだよ、という著者の主張からは、
現場でのリアリティーを感じてしまいます。
IDEOやd.schoolのデザイン思考に対する哲学を学ぶには適切な本だと思います。
それなりの分量なので、初心者は「HELLO,DESIGN 日本人とデザイン」から始めると、理解が深まるかもしれません。
※HELLO,DESIGN 日本人とデザイン
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4344034449#comment詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イノベーションとデザインのコンサルティングをしている著者による、創造的な発想とその実現についての話。ハーバード的な教育に基づく内容。実例もあってわかりやすい。学術的な理論を重視するのではなく、結局は、セミナーやブレーンストーミングを通じてやり方を身に着け、小さな成功を積み重ねることによって自信を持たせるということだと思う。
「クリエイティブ・コンフィデンスには、欠かせない要素が2つあります。斬新なアイデアを思いつく人間生来の能力と、アイデアを行動に変える自信です」p1
「(「天才的な想像力の持ち主は失敗しない」というのは誤り)モーツァルトのような芸術家から、ダーウィンのような科学者まで、天才的な想像力の持ち主は、失敗の数も多い。ただ、失敗したからといって、それを挑戦をやめる口実にしないというだけだ。「天才的ひらめき」が訪れるのは、ほかの人よりも成功率が高いからではない。単に、挑戦する回数が多いだけなのだ」p66
「(ケン・ロビンソン卿)本来、教育というシステムは、私たちの生まれ持つ能力を伸ばし、私たちを世界で成功させるためにあるはずだ。ところが実際には、あまりにも多くの学生が教育によって才能や能力を抑えつけられ、学習意欲を失っているのだ」p88
「創造性を手に入れるには、人と比べるのをやめるのが1つの方法なのだ。人と同調すること、他人の成功に追いつくことばかり考えていては、創造活動に付きものであるリスクを冒し、道を開拓することはできないだろう」p91
「イノベーションの火種になるのは、飽くなき知的好奇心、楽観主義、最終的な成功のために何度も失敗することを受け入れる能力、懸命に働く意欲、アイデアだけでなく行動を重視する考え方なのだ」p111
「組織、共同体、国家が繁栄するためには、行動を起こし、すばやいイノベーション・サイクルを開始し、なるべく早く実践から教訓を学ぶべきだ。そうすれば、ライバルたちがスタートラインでぐずぐずしているあいだに、全力疾走できるのだ」p166
「コダックは、20世紀に大成功した化学薬品主体の事業にこだわるあまり、21世紀のデジタル世界への投資を怠った。コダックが経営破綻という結果を迎えたのは、情報不足のせいではない。洞察を有効な行動へ変えられなかったからだ」p173
「(陶芸教室)教師は、クラスを2つに分けた。作品の質に基づいて成績をつけるクラスと、作品の量に基づいて成績をつけるクラスだ。「質」で評価される学生は、完璧な陶芸作品を作り上げるために全身全霊を注いだ。一方、「量」で評価される学生は、毎回ノンストップでろくろを回し続けた。そして、この実験の結果はもうおわかりだろう。学生たちの直観とは裏腹に、優秀な作品を作ったのは「量」で評価される学生たちばかりだった」p176
「準備が整う前に、アイデアを世に放つべし。まだ開発作業が残っていても、現実の世界での市場テストは貴重な洞察の源になりうるのだ」p204
「分析的な頭脳の持ち主は、たいてい行動を二の次にしてしまいます。しかし、何かに興奮したら、とにかく行動を起こすことが重要です」p208 -
クリエイティブに生きるため、生まれ変わるための考え方や行動の仕方を、世界でもっともクリエイティブなデザインコンサルティング会社IDEOの創業者からアドバイスを受けられる本。
自分としては、非常に良い具体的なアドバイスがもらえたといった印象。
ただし、具体的といっても、手取り足取りで、こうすれば上手くいきます、というような即効性があるような特効薬ではないため、自己啓発的なものを求めたりすると、肩透かしをくらうかもしれません。
アドバイスを受けて自分に合わせてカスタマイズし行動する、というスタンスじゃないとこの本の良さに気づかず、ピンとこないかもしれないです。
色々なビジネス書などを読んでから、あるいは、一度これをざっと読んでみてから、他のビジネス書を色々読み漁って再び読む、などの読み方が良いように思います。 -
クリエイティビティを妨げる「恐怖」について知る。
恐怖を克服するためのマインドセット
1. 人と比べない
2.次のステップをぎりぎり実施可能な範囲に定める
3.失敗が当たり前の事だと知る→ゲームだと捉えテスト、実験を繰り返す
勇気とは、小さなステップの積み重ねにすぎない。
唯一の正解がない問題に直面した時、焦って判断を下そうとせず大きく網を張る。
0.着想→創造的体験を積極的に求める、見知らぬ環境に飛び込む
1.共感→他人(エンドユーザー)の観察、理解
2.統合(意味づけ)→パターン、テーマを見つけ、実現可能なフレームワークや原則に落とし込む
3.アイデア創造と実験→アイデアを素早くラフな形で表現、迅速なプロトタイピング→フィードバック
4. 実現→デザインに磨きをかける
「何かやってみる」今すぐ、全力で。
「計画を減らし、行動を増やす」
「修正、修正」
「時間の制約をつくる」
シンクタンクではなく、行動するための場所、グレートグループとして存在する。
1.ユーモアを忘れない
2.他の人のエネルギーを活用する
3.上下関係をなるべくなくす
4.チームの仲間意識や信頼を重視する
5.評価を後回しにする
行動するための刺激
1.助けを求める
2.周囲からの圧力を作る(環境)
3.聞き役を集める
4.本気でやらない
5.ハードルを下げる
制約をすばやい行動へと結びつける方法
1.問題の実行可能(一番やさしく、すぐできる)な部分に取り組む
2.目標を狭める
3.中間目標を定め、社会的な協定と結びつける→活動にリズムをつけるため、小さな締切をたくさん組み込む
-
IDEO創設者のケリー兄弟による共著。原題は「Creative Confidence」(創造力に対する自信)。人間は誰しもがクリエイティブであり、その能力を解き放てばイノベーションを起こせると説く。そのためのツールや思考法、成功の実例などが豊富に紹介されている。読んでいると、dスクール(著者の1人David Kelly氏がスタンフォード大学内に設立した、デザインを学ぶ教育機関)に参加してみたくなる。
誰にでも創造性は備わっており、それを活かす手法はそれこそアイデア次第でいくらでもあることを学べた。その意味で、確かに自信は付いた気がする。
400ページ近い厚さのため読了までにかなり時間がかかってしまった。
覚えておきたい点:
・「良くは見えるけど、良いと感じられない」ような立場や仕事からは抜けだせ。
・自分の得意なこと、お金を稼げること、そして自分は何をするために生まれたのか(やりがいのある仕事は?)――の3つが重なる領域を探せ。 -
クリエイティブな仕事は芸術家ではなく、クリエイティブと知ること。そしてその自己肯定感を認めてくれるコミュニティに身を置くこと。それがないなら作ること。に尽きると思う。
-
今やどんな業種も知識労働化し、どんな仕事にもクリエイティビティが必要になってきた。
デザイン思考―デザイナーの見方・考え方をビジネス、特にイノベーションに活用する事例が取り上げられ、世間ではデザイン思考セミナーなども盛んに行われている。
そんなデザイン思考の本家、デザイン・コンサルティング・ファームIDEOの創業者による、デザイン思考を行うための心がけを説いたのが本書である。
デザイン思考の手法はインターネットで手に入るし、関連書籍も多数ある。しかしいくら手法を覚えても、自分はクリエイティブだという自信がなければ、よい発想は生まれない。そして本書の一番大切なメッセージは、
「誰でもクリエイティブになれる!」
というものだ。
人々の創造性を阻害しているのは、自分がクリエイティブでないという思い込みであり、クリエイティブ・コンフィデンスを身につけることがまず必要だ。デザイン思考のさまざまなツールは実は、そのためのワークショップである、さあ実践しよう!
このような著者のパッションが本書のあらゆるページから感じられ、すぐそばで語りかけられるように、今すぐやろう、という気持ちになる。
何かを変えたい人、変えられなくて停滞している人、とにかく元気が欲しい人、さまざまな人にお勧めしたい。 -
とても丁寧な本だった。翻訳が良かったのか、作者が良かったのかわからない。でも兄弟が病で倒れたときに約束したという本なのだから、それだけ時間が込められていたのかもしれない。もちろん気持ちも。
最初から最後まで読むのに3日しかかからなかった。自分でも驚き。基本的に遅いはずなのに。
でも最初から、とてもエネルギーをもらったし、自分の毎日をどのように彩っていくか、ワクワクしながら読めた。これを読んでいるとき、同時に大学院の課題も進めていた。これは、「ホレ、課題かけかけ、大丈夫」とヒゲのおじさんに言われているようでならなかった。それはある意味で癒しであり、キュートな二人のおかげであり、この本はこういう論文のためにあるのだと確信した。それは論文を書くことはクリエイティブであることを証明した一つかもしれない。
そのくらい熱がこもるこの本。何かあったら読み返して元気の源にしたい。