取締役会の仕事

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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250614

作品紹介・あらすじ

社外取締役が会社を救う!(殺す?)

IBM P&G アップル ヤフー! フォード BHPビリトン レノボ、インフォシス――。世界的な企業の取締役会では、ボードメンバーがどのように行動し(あるいは行動せずに)、会社を成功へと(あるいは破綻へと)に導いてきたのか? 先進事例に究極のコーポレート・ガバナンスを学ぶ。

「われわれはここで何をしようとしているのか? いまこの会社が置かれた状況のなかで、どのような役割を果たすべきか? その役割を果たすために何を優先すべきか?……先頭に立つべきとき、協力すべきとき、何も関与すべきでないときを見きわめることは、取締役会のもっとも重要な任務である」(元フォード・モーターズ筆頭取締役 アーヴィン・ホカデイ・ジュニア)――本文より

感想・レビュー・書評

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  • 時代の変遷とともに多様化・複雑化する企業の経営環境にあわせて役割が変化しつつある「取締役会」に着目し、そのあるべき姿や課題と解決策について論じたビジネス書。

    著者は、取締役会が単なる形式的な役職だった時代から、機関投資家の台頭と圧力によって経営の監視役としてコーポレートガバナンスの担い手となり、さらに今日では経営者とともにリーダーシップを発揮することが求められていると主張し、経営理念やCEOの選解任にように取締役会が責任をもつべきことと、資本配分やリスクマネジメント等の経営幹部と協力すべきこと、さらには業務遂行等取締役会が関与すべきでないことを明確化し、経営幹部と適切なコミュニケーションをとることで、取締役会がうまく機能すると説く。

    著者の主張の裏付けとして、過去に実在の企業の取締役会が行った数々の成功・失敗事例も紹介され、アップルにおけるスティーブ・ジョブズのCEO復帰は「史上最高の決断」と評されるが、確かに取締役会の果たすべき役割が変化していることは理解できるものの、結果論に過ぎないのではという気もする。また著者自身が述べているとおり、取締役会自体のあるべきコミュニケーションも容易ではなく、絵に描いた餅になりかねない。「言うは易く行うは難し」という身も蓋もない感想を持ってしまった。

  • 社外取締役が会社を救う! (殺す?)

    IBM P&G アップル ヤフー! フォード BHPビリトン レノボ、インフォシス――。世界的な企業の取締役会では、ボードメンバーがどのように行動し(あるいは行動せずに)、会社を成功へと(あるいは破綻へと)に導いてきたのか? 先進事例に究極のコーポレート・ガバナンスを学ぶ。
    第1章 形式的な役職から監視役、そしてリーダーへ
    共同リーダーシップの新しいモデル
    取締役会による「史上最高の決断」
    監視者とリーダー
    注意義務と忠実義務
    リーダーシップ義務
    先頭に立つとき、協力するとき、関与しないとき
    取締役のチェックリスト

    第2章 もっとも大切なこと――基本理念を決める
    求心的なDNA
    遠心的なDNA

    第3章 価値を創造する取締役を雇う
    適任者を選ぶ
    事業を拡大する――インフォシス
    事業を統合する――レノボ
    外部の才能を活用する――RBSグループ
    会社を再建する――デルファイ

    第4章 機能不全を取り除く
    トラブルメーカーに対処する
    取締役を評価する
    経営幹部による評価
    残すべき人材を特定する
    どこで線を引くか
    取締役の反乱

    第5章 ボードリーダー、求む
    最優先事項――ボードリーダーに適任者を置く
    求められる資質
    ボードリーダーの6つの要件
    決裂から決断へ
    土台をつくる
    経験者は語る

    第6章 CEOの承継――究極の決断
    フォードでハンドルを握る
    取締役の責任
    社内から選ぶために
    グラクソ・スミスクラインの450度評価
    先手を打つ
    デューディリジェンスの重要性
    正しいCEOを選ぶための10の指針

    第7章 適任者を探す
    ミスマッチが招く結末
    第一に要件、第二に能力
    戦略的な基準の重要性
    リーダーシップ委員会

    第8章 CEOを解雇する
    CEOのつまずきを見逃さない
    明確な戦略の欠如
    実行力不足
    不適切な人事
    問題を発見したあとは?
    対話のドアを開けておく
    早期発見・早期介入
    モトローラのCEO交代劇

    第9章 リスクをチャンスに変える
    リスクとチャンスのバランス―─ゼネラル・エレクトリック
    買収する側の取締役会のリーダーシップ――プロクター・アンド・ギャンブル
    売却する側の取締役会のリーダーシップ――ローム・アンド・ハース
    諮問委員会(アドバイザリー・ボード)

    第10章 距離を置く
    干渉しすぎずに関与する
    境界線を引く
    飛行禁止区域
    鏡をのぞく
    「境界線を決める文化」をつくる

    第11章 リーダーシップの有無がもたらすもの
    居眠り運転――AIG
    協力体制が会社を救う――タイコ

    第12章 コーポレート・ガバナンスを再定義する
    ボードがチームを世界の頂点に導く

    ■取締役の総合チェックリスト

  • 事例が盛りだくさん。それも、殆どが著者達自ら当事者らにインタビューした内容で構成されているだけあって、よくあるちょこちょこっと調べたような上部だけの浅い紹介でなく、現場の空気感まで伝わってくるような、リアルなストーリーを感じられるしっかりとした記述が良かった。
    さらに、これら膨大な事例から、取締役会のあるべき姿、リーダーシップのあり方を、チェックリストという形に落とし込むことで上手く纏めている。忙しい人は取り敢えずこの部分だけ読むというのも良いかも。

    日本のプライム市場の一般的な水準が本書のレベルに到達するのはまだまだ遠い未来だろうから、正直、いち実務担当者である自分には、本書から得た知見を今すぐ活用する機会はなかなかないのだが、こうした先進的な企業の教訓を今知っておくのは、決して無駄ではないと信じている…。

  • 取締役会の仕事という、非常にニッチなところに向けて書かれた本である。

    具体的事例が実名とともに多く載っていたが、ほとんど外資系企業であり聞き慣れない会社も多かった。
    また、それら具体的事例から抽象的事柄を掴み取るのは、ボーっと読んでいたらできなかったので、その部分で難しさがあると感じられた。

    将来、取締役会で活躍する自分をイメージしながらは上手く読めた。

  • 取締役会における適切な役割とは何か、豊富な事例とともに考えられている。

    事例が多いのは面白いが、そこから学べる共通の要素などが少なく、また定性的な内容となっている。

  • 現代のコーポレートガバナンスにおける取締役会の役割がよくわかる。取締役から見た執行サイドとの関係づくりなど、多くの事例を踏まえて、取締役の視点で企業をみさせてくれるので、興味深い。

  • 一昔前の「取締役」と言えば終身雇用の「アガリ」的位置付けであった。いま取締役に求められるのはまさにDirectionである。とはいえ取締役の機能を定義することは難しい。業務が極めて非定型だからだ。

    本書はケーススタディを列挙しその役割と機能を問う。冒頭のアップル社の事例は取締役会が主導を握り復活と成長を成し遂げた最たるかつ稀有な事例と言えよう。

    多数の成功事例や失敗事例、チェックリストなど、取締役を極力科学しようと試みているが、やはり定性的になっており成功事例の反復性や再現性が低いのは今後の課題だろう。

  • 陥りがちなミスに対してチェックリストがあってよい。

  • レビューはブログにて
    http://ameblo.jp/w92-3/entry-12005379342.html

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著者プロフィール

(Ram Charan)世界的に高名な経営アドバイザー。世界的大企業のCEO、取締役会、経営幹部らと40年以上にわたり協働してきた。過去40年間にわたり、世界中のトップ企業のCEO、取締役会、経営幹部と仕事をしてきた。

「2022年 『Talent/Strategy/Risk 人材・戦略・リスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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