ザ・セカンド・マシン・エイジ

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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822250997

作品紹介・あらすじ

前著『機械との競争』で衝撃を与えたマサチューセッツ工科大学のコンビによる、膨大な調査・研究に基づいたテクノロジーと未来を描いた全米ベストセラー
(原題The Second Machine Age: Work, Progress, and Prosperity in a Time of Brilliant Technologies)

蒸気機関の発明によるファースト・マシン・エイジは18世紀後半に始まった。
いま、コンピュータを中心としたセカンド・マシン・エイジに突入した。
人工知能の急速な進歩によるデジタル・イノベーションは、グーグルの自動運転車やチェスやクイズで人間のチャンピオンを圧倒する人工頭脳ワトソンなどに象徴されている。
しかし、まだまだ序の口に過ぎない。

人類は蒸気機関によってもたらされたと同様の、それまでとグラフの向きが変わり始める点である「変曲点」にさしかかったと著者たちは見る。
人工知能の進化によって、これまでは不可能と見られていた仕事がロボットに置き換わっていく。その結果、消えていく職業は多い。
人間は機械と共存できるのだろうか。
ビジネスマン、経営者だけでなく、子供の将来を真剣に考える親たちの必読書でもある

感想・レビュー・書評

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  • 普段からITの現場で働いているとあまり感じないが、あらためて客観的に見ると、凄まじい時代に突入してしまったと衝撃を受けた。

    想像の産物でしかなかった技術が次々に実現されていて、今後もその流れはしばらく続くと思う。
    そのさまをもっと見ていたい。

  • 「ファースト」である産業革命がもたらしたインパクトは周知の通りだが、IT革命に伴う現今のイノベーションは、語り尽くされている感があるにも関わらず、具体的な未来は依然見えていない。本書では、人は何に価値を置くか、を1つのポイントとしている。多くの仕事がAIに代替され、余暇が増え且つ衣食住に事足りるようになった時、人は時間をどう使うのか。労働自体は無くならないにせよ、日常=仕事=雇用という概念は変わってくだろうし、そこに人の創造性の余地がある。もし無職(無所属)に不幸を感じるとしたら、旧来の価値観から解放されていないという点、セカンドマシンエイジの申し子ではないと言えるのかもしれない。

  • 前著の「機械との競争」とあわせて購入しました。まず全体的な感想から言うと、申しわけありませんが正直ほとんど感銘を受けませんでした。その証拠に数ページ読むとつまらなくなって読むのをやめてしまったので、全ページ読むのにかなりの期間を要しました(苦痛に感じたときもありました)。タイトルにも書いたように、ページのかなりの部分が他人(もしくは他の研究機関)の調査結果や発言を紹介しているため、「あなた自身の考えは何なの?」というのがよくわからず、自分の意見を表明しているときも、誰それはこういう調査結果を発表しているが私も同意する、という程度の意見表明です。その意味では、学術論文の第1章で既存研究についてのLiterature surveyというのを書きますが、あれが最後まで延々と続いている本、という印象でした。ためしにあるページをランダムに選んで、著者以外の人(組織)の研究調査から参照してきた部分にマーカーを引こうとしたら、ページ全部に線が引かれてしまいました(笑)

     また私は経済学の知識はそれなりにあるつもりなのですが、こと経済学に関する記述については恐ろしく表面的と感じました。想像するに、Googleでキーワードを入力して、出てきた論文のサマリーだけを読んで、ざっと記入しているのではないか、と感じる箇所が多々ありました。またやたらと「ノーベル経済学賞を受賞した・・・氏」が述べている(→よって間違いない)、というような形で経済面での自身の主張を補強していますが、例えばミルトン・フリードマンの発言のいくつかが、全くの間違いであったことは後世彼自身が認めていますし、ノーベル賞受賞者だから全部正しいということはありません。むしろ、やたらとノーベル賞受賞者の発言ばかりを持ち出すところに、著者の経済学の知識のなさをなんとか「権威」で補強しようという意図が見え隠れしていました。頑張って全ページ読みましたが、残念ながら最後まで読んでも星2つの評価は変化しませんでした。

  • 社会の発展度合いを計測する『社会開発指数』により人類史を捉えると、まさに現代は重大な転換点にある。その原動力となるのが
    ・デジタル化
    ・コンピュータの『指数関数的』高性能化
    ・『組み合わせイノベーション』
    である

    コンピュータの高性能化は、チップの処理速度がおよそ18ヶ月で2倍になる『ムーアの法則』が知られる。これは科学者の努力によるものであり、ここまで加速度的な進歩が起こる産業は他にはない

    人工知能の発達は目覚ましい。これまでは、機械により雇用がなくなることは『労働塊の誤謬』とされていたが、今後は分からない。人間も馬のように、産業界から排斥される可能性もある。

    人間特有の能力として、『複雑なコミュニケーション』『パターン認識』『非定型の肉体労働』が挙げられる。特に、人間にとっては簡単な運動でも機械には困難な『モラベックのパラドクス』が興味深い。

    デジタル産業の強みは、情報伝達、複製のコストがほぼゼロの『限界評価ゼロ』経済であることだ。今や世界中のデータベースにアクセスでき、最高のアルゴリズムを無限にコピーして、しかも無料で利用できてしまう。

    デジタル経済は人々の生活を劇的に豊かにしておきながら、その費用は極端に低い(あるいは無料で提供されるため)GDPに反映されない。音楽産業がCDからストリーミングに転換した時、まるで産業が丸ごと消えてしまったかのような現象が、統計上では起こる。

    デジタルサービスの場合、物理的な障害がほとんどないため、すぐにグローバル化する。そして、一番が市場を独占し、その流れが『ネットワーク外部性』により加速する『ウィナー・テイク・オール』の世界である。

    その結果として、桁違いの所得格差が生じる。今後、大金持ちとなる可能性のある人間は
    ・エンジニアなどの高スキル労働者
    ・システムを所有する超資本家
    ・芸術、スポーツなどの分野のスーパースター
    である。

    機械によって代替されにくい人間の特徴として、『発想』が挙げられる。機械は答えを出せる一方で、問いを立てることが出来ない。今後の教育には、ラリーペイジやジェフべゾフなど、名だたる天才が受けたとさらる、個人の自発的な好奇心を伸ばす『モンテッソーリ教育』が効果的かもしれない。

  • 「ムーアの法則」=Digital発展の鍵 
     1年半ごとに半導体の性能が倍増する
     指数関数的進化 ①処理②記憶③通信(81)(87)
     例外は「バッテリー」 電子品ではなく化学
     増加率は一定だが、増加分は激増 特に期間の後半
     人は指数関数=非線形をイメージ出来ない

    「社会革命」へ ←産業革命から (152)
    ①Digital化   copy自在 限界コストただ
    ②Network化 時間・空間を超える 
     Global化 世界最適へ

    「補完イノベーション」が不可欠=社会変革難しい(168)
    ①社内体制 業務改革 組織・人事・運営の改革
      vs既得権・守旧派
    ②社会体制 規範 制度 体制の改革
      →秩序を破壊し、社会的混乱も
    ③日本は成功体験・社会意識から既存秩序維持が優勢

    Digital時代の三つの勝ち組(220)
    ①高いスキル労働者
    ②資本家
    ③スーパースター
    →負け組は一般労働者 
     分配は賃金所得から資本所得へシフト
    所得分布の変化(263)
    「正規分布」 厚い中間層
    「べき分布」 格差の拡大 ウイナーテイクスオール
    ☆翻訳が素晴らしい! 村井章子氏

  • computer

  • 2019/07/09再読 広島市図書館

    2018/06/ 丸善
    □8章 GDPの限界
    ●音楽が統計から消えた
    ●レオンチェフ 人間と馬
    ●人間は,非線形処理ができる最も安価な汎用コンピュータ NASAの報告書

  • 現在、話題になっている自動車の自動運転は経済学者が2004年の著書「新しい分業」でコンピューターには無理が仕事を判断したそうである。この例が示すように、コンピューターが予想を超えたペースで人間の能力を超えてきてる状況を筆者は「第ニ機械時代」と呼んでいる。筆者によると現在はその「第二機械時代」のほんの序章に過ぎないとして、その根拠として、指数関数的な高性能化、デジタル化、組合せ型イノベーションの3つの特徴に裏付けられているとしている。その影響は経済的、政治的に計り知れないものであり、企業経営者、政治家を含むリーダーが状況を的確に認識し、政策を実施すべきであり、そのための提言も行っている。より多くの人々が読むべき書であると思う。

  • 【請求記号】5000:1141

  • 産業革命によって扉が開いた蒸気機関、内燃機関などの"First machine age"に続くコンピューティングの"Second machine age"。自動化が進むこの時代における人間の教育・働き方、経済政策など、幅広い分野への示唆に富んだ1冊。

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