ウォール街のアルゴリズム戦争

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制作 : 永野 直美 
  • 日経BP社 (2015年10月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251079

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ウォール街のアルゴリズム戦争の感想・レビュー・書評

  • 「フラッシュボーイズ」とは何だったのか…

  • アメリカ証券市場のIT化の裏で起きていたアルゴリズム戦争、と言っても「電子せどり」的なかすめ取り系の取引だった訳ですが、そんな取引形態が誕生し、市場を席巻し、証券取引所のありようまで変えていってしまう、その経緯や背景を描いた本。
    金儲けをたくらむ悪い金融屋さんが仕掛けたのかと思いきや、従来のトレーダーがズルして儲けていることに憤りを感じたプログラマーがIT化を仕掛け、取引手数料を安くして、流動性を高めて…という中でこんな流れになってしまった、というのが何とも皮肉です。
    「電子せどり」的な取引は、いいとこ数分でポジションを手放して、その日毎に手仕舞いをするのですが、本の終盤にはそこから一歩進んでファンダメンタルズを踏まえたアルゴリズム取引の姿が示されたり、市場の是正に向けた動きがあったり、というのが希望として示されています。

    「フラッシュ・ボーイズ」を読んだ後だったので、まだしもとっつき易く感じたのですが、素で読むにはちょっと辛いかも。少し難しく、読みやすくもなく、また誤植が結構あって、特に第4部はそれが目に付きました。残念。

    末尾に解説を書かれている東証の方が「うちはアメリカとは違うんです!」とおっしゃっておられました。

  • 20年に渡って繰り広げられてきたアメリカ証券市場の舞台裏で起こっていたことが描かれている。
    ジョシュ・レヴィンというプログラマの存在を初めて知ったが、彼が業界を去ってから語った「無用な問題に取り組んでいる賢い人々を全員配置転換したらたぶん一年でがんの治療法を探せるに違いない」という言葉が印象的だ。
    今も動き続けているというレヴィンが創った「アイランド」はHFTに台頭される負の面を生んでしまったが、市場構造を良い方向にも変えてきたことは間違いない。
    今後は本来あるべき姿に向け改善が進むことを期待する。

  • 株がいかにアルゴリズムで支配されてるか分かった。人工知能の時代が確実にきてる。アルゴの発達で、スキャルピングが超高速で行われてる。つまり、デイトレは参加が難しいかも。
    市場がアルゴリズムに支配されている。

    しかし、米国と日本では市場構造が違うらしい。

  • この一冊ウォール街のアルゴリズム戦争 スコット・パタースン著 人工知能も登場、米株取引の実相
    2016/1/10付日本経済新聞 朝刊

     米国や日本など主要国での株式売買は現在、コンピューターによる電子取引として実行されている。売買注文には引き続き価格・時間優先の原則が適用され、同じ値段なら1秒でも速い注文が優先される。株式市場は今や時間が勝敗を決する世界だ。株式取引の高速化といえば光ファイバー網の直線的な敷設や取引所コンピューターの隣に自社のサーバーを置くコロケーションなどが想起される。本書で議論されるのは、そうした物理的な時間短縮の動きではない。







     主たる話題の第1は、取引所が売買注文の対当・執行のために採用するコンピューター・アルゴリズムの発展。第2は、人工知能を利用したアルゴリズム取引の台頭。第3は、そうした取引の進展が株価形成、投資家の収益に及ぼす効果を論じること。これらを強調するべく、アルゴリズム戦争という言葉が書名に付されている。


     株式売買で利益を得るには、誰よりも早く情報を入手し、早くかつ安く売買を執行する必要がある。投資情報面での優位性を利用しえなくなるなか、新たな利益確保の手段として登場したのが超高速取引であった。収益の源泉は機関投資家の逸失利益であり、その隆盛自体、手放しで評価はできない。


     超高速取引も桃源郷ではなかった。普及とともに収益機会は減少に転じた。残された道は取引所のコンピュータープログラムの特性を踏まえ、自らの売買注文が取引の待ち行列の一番前に出るよう発注プログラムを工夫することであった。株式取引の電子化が行き着いた先の一つは、プログラマーが生殺与奪権を握る世界であった。市場の効率性は向上したが、アルゴリズムに組み込まれたフィードバック・ループが暴走して「フラッシュ・クラッシュ」という価格の暴落を招くこともありうる。


     もう一つの世界は投資判断に人工知能を利用したアルゴリズム取引である。リーマン・ショック直後、誰もが株式市況の回復を考えていなかった2009年2月、人工知能は買い場と判断し、積極的に株式を買い増し、利益獲得に大きく寄与した。


     これが著者の見立てによる米国株式市場の実相であり、取引はプログラマーと人工知能が支配する世界に化したとされる。本書では、こうした株式市場の構造変化を促した天才プログラマーたちによるアルゴリズム開発競争や株式市場への挑戦を軸として、取引の変貌が物語風に生き生きと描かれている。株式市場のありようについて深く考えさせる本である。




    原題=DARK POOLS


    (永野直美訳、日経BP社・2400円)


    ▼著者は米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の金融担当記者。著書に複雑な金融商品を扱う数学者たちを描いた『ザ・クオンツ』がある。




    《評》同志社大学教授 鹿野 嘉昭

  • この本に書いて有ることと現実が全くリンクしない。

  • HFT業者由来の注文の割合が年々増加しているが、そこに投資理論はなく、相手を早く出し抜くだけのスピードゲームの結果でしかない。そんな状況に至るまでのノンフィクション。マッチングエンジンの基礎を作り上げたレヴィン氏の話が興味深いのと、フラッシュクラッシュについて、判明している範囲で経緯を載せられているのが良い。中長期投資もAIに取って代わられる未来が示唆されている。アルゴリズム取引やHFTを描いた類書は多いけど、これ1冊で充分だと思った。
    ゲスト解説で東証の人がポジショントーク炸裂させてて、逆に不安。

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ウォール街のアルゴリズム戦争の作品紹介

著者スコット・パタースンの日本語版への序文から(抜粋)

二〇一二年に本書が米国とヨーロッパで出版されたとき、この話を信じる者は少なかった。何百年もの間、営業を続けてきた権威あるニューヨーク証券取引所のような公開市場に対して、ちっぽけな企業が影響力を行使できるものだろうか? 批評家たちは、混雑する立会場上で大振りな手信号で合図する慌ただしいトレーダーがいた古い取引所が既に存在しないことに気づいていなかった。新しい市場は、ニューヨークの忙しい大通りから遠く離れたニュージャージー州郊外にある巨大なサーバー・ファームからなっていた。

 別の展開が懐疑的な人々を沈黙させた。二〇一二年と二〇一三年に米国の取引所と高速取引会社に起きた一連の不具合は、新しい市場が以前にも増して危険であることを証明した。その頃から、米国の規制当局が厳しい取り締まりを始めた。二〇一五年、米国証券取引委員会は、選ばれた優待客(別名:高速トレーダー)に複数の取引所の仕組みを漏洩した罪で本書で取り上げた取引所のダイレクト・エッジに罰金を科した。一四〇〇万ドルという金額は取引所への罰金としては当時の史上最高額だった。

 コンピュータが主導する市場は、こうした理由から全く新たなレベルの開示基準を求められる。規制当局は、素早く追いつかなければならず、取引所と高速トレーダーの仕組みを理解しなくてはならない。さもないと、このゲームは続き、定年後のために働く一般投資家が損をすることになる。
 一つ明らかなのは世界が前進するということであり、取引所は電子化され、コンピュータ主導になるということだ。ロマンチックなイメージではあっても立会場で手を振るトレーダーの日々に回帰することはない。この変化には優れた面もある。以前より安く取引ができ、全般的により効率的だ。
 だが、恐ろしく賢いプログラマーによって設計された非常に複雑なコンピュータ・アルゴリズムに制御され、取引所は遥かに不透明でもある。

ウォール街のアルゴリズム戦争はこんな本です

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