AI時代の勝者と敗者

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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251628

作品紹介・あらすじ

教師、弁護士、会計士、医者、科学者、記者――。これまで人間にしかできないと思われていた知識労働者の仕事でも、もはや機械のほうが有能になっている。
あなたの仕事は機械に置き換えられてしまうのか?
そんなAI時代に、人間は、企業は、どう対応すべきか?

アナリティクス界の第一人者が教える
スマートマシンの最前線、人間の強み、そして生き延びる道

AI時代に生き残れる仕事はこれだ!
ステップ・イン――自動システムの上を行く仕事
ステップ・アサイド――機械にできない仕事
ステップ・イン――ビジネスと技術をつなぐ仕事
ステップ・ナロウリー――自動化されない仕事
ステップ・フォワード――新システムを生み出す仕事

感想・レビュー・書評

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  • 図書館でジャケ借り。煽ったタイトルですけど、正当な内容です。多くの場面で AI という言葉じゃなくてスマートマシンと表現していたあたりに、AIを道具とみなす筆者のこだわりを感じて好感触でした。

    基本的なスタンスは スマートマシンを「人の仕事の"代替"では無く、"拡張"として使いこなそう」というものでした。それは最終章の「AI研究は進歩し、今ではAIの性能を向上させるだけではなく、その社会的便益を最大化することに研究の焦点を絞る時期に来ている。」という一文に集約されていると感じました。これは実感するところで、結局 ヒト や コト との接点をいかに上手く持たせることができるかが成果を決めるのだと思います。

    一応「仕事」がテーマなので、紹介される事例も業務システム的なものが多かったです。比較的最近の内容ですが、繰り返しも多く、少々冗長な所がマイナスポイントでした。

    全般的には、ブームが少し落ち着いてきて実活用の団塊に入った今読むのに程よい良書だと思いました。

  • 人口知能を用いて自動化して人員削減すると、そこから進化できなくなると(疑問の余地はあるが)指摘し、人間を排除する自動化ではなく人間の能力を拡張する方向性を打ち出す。これからの人工知能と人間との関わり方については、人工知能に処理できない大局観をもった意思決定などを行うステップアップ、人工知能が得意ではない日決定作業である人を説得するなどステップアサイド、人工知能に携わり、それを理解し改善するステップイン、人工知能が関わって来ない分野を見つけるステップナロウリー、特定の分野で新たな人工知能などを開発するステップフォワードを提唱している。IBMのワトソンやGoogleのDeepMindと並んでファナックとプリファードネットワークスの提携も挙げられているなど、興味深い点もあるものの、全般的にはいささか新鮮さに欠けるきらいがある読後感でした。

  • 貸出状況はこちらから確認してください↓
    https://libopac.kamakura-u.ac.jp/webopac/BB00280511

  • 拡張という観点から、AIと労働の関係が論じられていた。

    機械によって人間の能力は拡張するし、人間によって機械の能力も拡張する。具体的事例を上げながら、そうなりつつあることやそうしていくべきと論じてた。

    AI関係のことを知らないため、具体例の説明がわかりにくかった。

    原著は2016年のようなので、現在はもっと技術が進歩していると思う。それゆえAIと人間の関係は刻々と変化していっているのかもしれない。

  • 読み終わったけど、ほとんど理解できなかった・・。

  • 専門知識を必要とする仕事がまるっと機会に置き換わるわけではない。
    ただし専門知識をもとに案を出すという最も価値のあった部分がAIに置き換わる。
    あとはそれを人に説明したり、関係者の調整を行うという極めて人間的な部分が人の仕事として残る。
    ヒューマンスキルがあればあとは誰でもできる、機械と人の仲介役の仕事に成り下がる。

    ■拡張
    自動化でなく人のできることを拡張する。
    宇宙観察や新薬開発など膨大な終わりのない作業。
    ※ただし拡張を進めると結局自動化にいくのでは?
    ・高度な能力
    人間の判断のサポート、人間には測定できないことを可能にして人に判断させる
    ・便利ツール
    面倒な作業を代行

    ・ステップ・アップ
    全体を構想、管理する

    ・ステップ・アサイド
    人とAIの間をつなぐ

    ・ステップ・イン
    AIの現場装着

    ・ステップ・ナロウリー
    AI化しないマイナー領域

    ・ステップ・フォワード
    AIを導入する



  • 犯罪率の上昇が、大学教育を受けていない人の失業率の増加と賃金の低下で説明できるってすごいな、そうなんだ。

    体系化できるものは、いずれ自動化されていく、のは納得感あり。

    もはや、合理的な代替案を提示する、ところまで機械化は進んでいる。医療アドバイザーの自動化がそれである。

    デスキリング、とは、初めて聞いた言葉だな。自動化他によって人間のスキルが下がることを言うらしい。例えば、パソコンを使うことで漢字が書けなくなったり。そういう意味ではSIの世界でも同じかも。コードを書くことが減りかける人が減ったり。これは新卒の人のスキル育成の場を失っていることにも通じる。結局コードをかける人はどんどんいなくなる。

    なるほど、人間の特性はパターン認識、複雑なコミュニケーション、アイデア形成、か。パターン認識は自動化できそうな気もするけど。

    RPAの実例としてテレフォニカで、160ものプロセスを自動化した結果、ROIが800%、というのはすごいな。支払いや問い合わせなどを自動化したらしい。これにより人がクビになるか、というのはよく付いて回る話だが、基本的にはさらに高価値の仕事に回るだけ。

    本書によれば、学習機能はそれなりにできているが、状況認識はまだまだらしい。それは、顔を認識して、ポイントサービスと連動させる、といったものだという。ただ、犯罪者データベースとつないで犯罪者かどうかは識別することはできている、という。何が違う? 基幹システムと繋ぎつつ、その状況を組み合わせて判断すること、かな?
    信頼度の提示が必要なケースと不要なケースがある。不要なのは特にリアルタイム性を求められるもの。翻訳の信頼度を出されても、どうしようもなかったりする。

    AIで目指すべきは自動化ではなく拡張、という主張もワトソンと同じ方向に見える。すなわち、人間の代わりをするのではなく、人間ではやりきれないようなものをやらせる。膨大な候補を絞り込んで作業減らす、とか、人間じゃ計算しきれないものをさせる、とか。自動化と拡張の例として、キャッシャーを出しているのは面白い。自動化はセルフレジ、拡張はバーコードスキャナー。セルフレジではパートを削るため労働する人からの反発はある、かつ、顧客に仕事を移管していて、面倒に思う人が多い。バーコードスキャナーは、それによってスピードがあがり、こなせる顧客数が増える、かつ、パートは顧客へのサービス(袋に詰めるとか)をする余裕が生まれる。 自動化は人の置き換えだが、拡張は人の弱みを補強したり強みをさらに強化する。考え方はわかるが、ROIの計算は人減らしが楽なんだよなぁ…

    拡張は4つに分けられる。まずは高度な能力と便利なツール。


    自動化に対して、人のアプローチは大きく5つに分かれる。保険引き受けや教師、フィナンシャルアドバイザーを例にそれぞれを説明していて、わかりやすい。

    ステップアップ:大局観をもった全体的な判断など今の技術ではできないことを人がやる。要は自動化の上をいく、ということ。
    保険引き受けでいうと、ミクロな視点ではなく、マクロな視点でやること。例えば、機器のリースが増えているので、所有の保険を見直すべきでは、など。

    ステップアサイド:コンピュータが苦手なことをやる。例えば、人を説得する、クレーム処理をする、といったこと。
    保険引き受けでいうと、保険診査の結果を人に伝える。特に審査で落ちた場合。これをコンピュータでやるのは難しい。

    ステップイン:システムを理解し改善する。
    いわゆる、追加教育をしてくれる人。

    ステップナロウリー:自動化するには狭い専門領域で生きる。
    あまり申し込みが多くないけど、確実に存在する保険商品の専門家、とか。

    ステップフォワード:自動化システムを構築する。

    自動化を検討するには、体系化されているか、自動化によって業務がどう変わるのか、などを考える必要がある、が、これは普通のシステム化と同じだな。


    なるほど、人間らしさの4つの知力は、概念の生成、アイデアの関連付け、知的シンボルの使用、抽象的思考、らしい。

    自動化は人間の役割を奪うが、拡張は人間の能力を高める、というのは、とても面白いね。確かにそうなんなけど、捉え方1つで変わるのね、と。

  • 多くの人が近いうちに起こるのではないかと恐れられているのが、機械が遂行する戦争である。世界各国の軍隊が、自律的な兵器システムの開発・配備を検討している。つまり、人間が介入しなくても目標を選択し、攻撃する兵器である。こうなると、事態が極めて悪い方向へ向かう可能性があることは容易に想像できる。そのため国連やNGO団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは自律型の殺傷兵器システムを禁止する国際条約の締結を求めている。これにはAI科学者の大半が賛同しているようだ。命の未来研究所のマックス・テグマークらが世界の軍事大国に向け、AI兵器テクノリジーの軍拡競争を始めないよう訴える公開書簡を発表した。すると、その書簡に署名する研究者が瞬く間に現れたという。自律的なAIの管理が話題になると決まって登場するのが、SF作家アイザック・アシモフが1942年に提示したロボット工学三原則である。その第1条は「ロボットは人間に危害を加えてはならない」、第2条は「ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。但し与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない」、第3条は「ロボットは、前景第1条および第2条に反する恐れのない限り、事故を守らなければならない」というもの。しかし、この原則に問題があると指摘する人は多い。社会的な状況ではこれほど単純にはいかないからだ。例えば、投資家ウォーレン・バフェットは、全米自動車販売協会が主催するフォーラムで、自動運転車にありがちな次のような問題を提起している。

  • 本書はAI時代に人間に求められているスキルを場合分けして説明している。著者の本はどれも非常に説得的で、本書も例に漏れず面白かった。AIの進出とともに人間が駆逐されるのではないか、という話は昨今よく聞くが、著者はそのような意見に対してはどちらかというと懐疑的で、どうしてもAIにできない部分は必ずあるため、そこを人間が行い、人間の仕事とうまくコラボし共存していくことが望ましく、またそれが可能であると主張している。
    やや脱線するが、AIの進出によって人々の所得配分比率は現状のままだとよりジニ係数が高くなるように作用する気がしてならないが、今一度どのような社会にしていきたいのかをよく見据えながら、それに向けて新しい社会の制度を構築していく必要があるように思える。

  • これからの時代。
    AIやロボットと否応なく共存していかなくてはならなくなる。
    そんな時に「人間ならでは」を考えるヒントがある。

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著者プロフィール

米バブソン大学教授。デロイトアナリティクス シニアアドバイザー。経営とIT をテーマに長年研究を行っており、これまでハーバード大学やシカゴ大学などで教壇に立つ一方で、マッキンゼーやアクセンチュアなどの企業で研究チームを率いた経験も持つ。データ分析をビジネスに活かすことを早くから提唱。2008 年の著書『分析力を武器とする企業』(日経BP 社)では分析力を磨くことが企業にとって競争優位になりつつある現象を取り上げ、ベストセラーとなった。また2009 年に国際分析研究所(IIA)を共同で創業し、リサーチ・ディレクターを務めている。

「2014年 『データ・アナリティクス3.0 ビッグデータ超先進企業の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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