量子コンピュータが人工知能を加速する

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822251895

感想・レビュー・書評

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  • 大学の講義で量子に少し触れたがよくわかっていなかったので、試しにこの本を読んだ。

    量子は0と1、どちらでもあるという状態を認めることでだいぶわかりやすくなった気がした。
    量子コンピュータは0と1、両方である状態から、相互作用を考慮して、0か1を決める。機械学習は0か1どちらかを知っている状態で相互作用を定めるという、二つの関係もわかった。

  • 量子コンピュータについて知識ゼロで読みましたが、面白かった!

    特に解を導き出す方法がコンピュータとしては独特で、でも何故か人間の閃きに近くて、新しいような懐かしいような感覚を覚えました。

  • 量子アニーリングの基礎理論構築に日本人が大きく貢献していたことが誇らしい。
    実用に向けたフェーズで日本は遅れをとっているようだが、面白そうな課題はたくさんあるようなのでこれからに期待したい。

  • 可能な限りわかりやすく書かれており、なんとなく量子コンピュータのイメージが掴めた

  • 必ずしも厳密解を得られるわけではない、量子アニーリングの技術ではあるが、社会に応用できる可能性は十分にあることが述べられている。
    また、量子コンピュータに限らず、新たなイノベーションを起こすためには、研究者として「サイエンス」に没頭するだけではなく、専門の研究分野を超えた活動や、ハードとソフト双方を踏まえた多角的視点を持つこと、手を動かして実社会への応用を「エンジニアリング」する立場とを行ったり来たりすることも必要だということが説かれている。

  • 量子力学の専門家による量子コンピューターの話。難解な量子の世界について、簡単に説明しており、その概要がわかった。カナダの企業が製品化している量子コンピューターは、今のコンピューターの1億倍の処理能力があるらしいが、グーグルやNASAも積極的に開発に参画しており、今後大きく発展していく分野だと感じた。
    「従来型のコンピューターは、性能が次第に頭打ちに達してきたので、より高性能な量子コンピューターの開発が期待されているのだ」p15
    「従来のコンピュータの心臓部がプロセッサだとすると、D-Waveマシン(D-Wave 2X)の心臓部は量子ビットを実装する超伝導回路(ニオブという金属を使った超伝導)になる。価格は、約15億円。見た目は巨大な黒い箱で3m四方の大きさだ。箱の中には「希釈冷凍機」があり、超伝導回路を絶対零度に限りなく近くなるまで冷やしている。消費電力は、25kWで、そのほとんどが希釈冷凍機に使われている。25kWというと、スーパーコンピュータ京のおよそ1/500だ」p26
    「(量子アニーリング)金属を高温にしてからゆっくり冷やしていくと構造が安定するという「焼きなまし(アニーリング)」という現象を使ったもの」p28
    「量子アニーリング方式は、(主流と思われている)量子ゲート方式に比べて安定性が格段に高いのである」p32
    「横磁場をかけると0と1が同時に存在する奇妙な状態が実現する。横磁場をだんだん弱くすると量子ビットは、次第に上か下かどちらか決まった方向を向くようになり、横磁場がゼロになるころには、量子ビットがはっきりと0か1のどちらかになっており、その結果が、組み合わせ最適化問題の解を表しているのである」p36
    「物理学者ファインマン)量子力学がわかったと思っているうちは、量子力学がわかっていない」p126

  • 量子コンピュータの実現方法には、量子ゲート方式と量子アニーリング方式があるという。アニーリングとは、焼きなましということだそうだ。自然界の現象を借用したアルゴリズムだそうだ。絶対零度近くで、0と1の重ね合わせ状態にしたニオブ製の小さなリングの回路(量子ビット)に横磁場をゆっくりかけていくことで、回路が0か1になるという。それが解だそうだ。本書で説明されているのだが、???だな。

  • 量子アニーリング理論を提唱した西森先生による解説。

    ゲート方式の解説はほとんどなかったのはちょっと残念だけど、アニーリング方式の原理や適用可能な分野、現在の状況、D-Waveが何を作ったのかなど、とてもわかりやすかった。

  • 量子アニーリングという理論を使っている
    物理現象そのものを使って問題を解くらしいが、現状のコンピュータと全く違う原理なので戸惑った。
    汎用ではなく組み合わせ最適化問題に特化している。
    といってもその問題は非常に応用範囲が広いので十分ブレイクスルーになる。
    絶対零度近くに冷やす必要があるが冷やすのは小さいチップなので電力はスパコンよりずっと低いというのはなるほどと思った。
    ページ数はそんなにないがあまり詳しく説明されても多分パンクするので今はこれぐらいでいいと思う。

  • まえがきに、「専門知識がない人でもなるべく理解しやすいように解説する。」とあるが、
    「門外漢の私でもよく理解できた」とは言い難いかな。
    そんなに量がないので読み切るのはさほど苦でもない。
    量子コンピュータの仕組みや人工知能との関係のイメージがホンノリとつかめたのかどうか。
    基礎的な理論で大きく貢献している日本人研究者のさらなる活躍を期待します。

著者プロフィール

東京工業大学理学院教授1954年高知生まれ。1977年、東京大学理学部物理学科を卒業。1981年、カーネギーメロン大学で博士研究員となる。1982年、東京大学大学院博士課程を修了し理学博士を取得、ラトガース大学博士研究員に着任。1990年、東京工業大学理学部物理学科の助教授に就任。1996年より現職。1990年に日本IBM科学賞、2006年に仁科記念賞を受賞。著書に『スピングラス理論と情報統計力学』(岩波書店)、『相転移・臨界現象の統計物理学』(培風館)、『物理数学II ―フーリエ解析とラプラス解析・偏微分方程式・特殊関数』(丸善出版)、『Statistical Physics of Spin Glasses and Information Processing: An Introduction』(Oxford University Press)、共著『Elements of Phase Transitions and Critical Phenomena』(Oxford University Press)など。

「2016年 『量子コンピュータが人工知能を加速する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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