日経ビジネス経営教室 成功を決める「順序」の経営

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  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822274191

感想・レビュー・書評

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  • 「マックからマックへ」から始まった「プロ経営者」の原田氏ですが、成功者の評価が固まった後に出た本しか読んだことがありませんでした。
    成功が確実になってから、「当時こうだった」としか書いたものしか読んでいない、つまり、プロ経営者として改革、改革、そして、打った手がうまくいったことが分かってから昔を振り返った教訓しか知らなかった、ということです。

    もろ手を挙げてすばらしいと称賛されていたころの原田氏の本は、自慢話にしか聞こえなかったものです。最近になって、鴨頭さんの動画を見て、着任当初に誰もが提案した「店舗が多すぎる」を一切聞き入れなかった真相について、とても興味がわきました。

    原田氏がプロ経営者になる前、なにをしていたのか知ることは今までありませんでした。本書で、「大切なのは「シーケンス」です。」の一言をみて、かつてエンジニアだったことをベースにした考え方であったことは想像できました。

    慧眼が、データから神の目で真実を見つけたわけでも、純然たる「カン」でもなかったことが、この一言で分かりました。

    すべてをひっくるめて、「普通のこと」しか書いておらず、「普通のこと」しか言っていません。

    でも、それができたのは原田氏以外いなかったであろうことは、一冊読んですぐに実感できました。

    QSCにせよ、PPMにせよ、フレームワーク化にせよ、
    教科書で見かけたことは、誰にでもあります。
    それを、こんなに身近な企業で、こんなに現実に即して説明してもらえたことは初めてでした。
    さっと読めます。
    でも内容はかなり研ぎ澄まされていて、役に立ちます。
    良書です。

  • 日本マクドナルドの直近10年のV字回復を実現したプロ経営者原田氏の経営手法。退任前からまずはネットでその後マスメディアでもネガティブな伝えられ方が増え8月の退任でそのピークを見た感がある原田氏であるが成熟産業である外食産業でのこの長期にわたる右肩上がりの実績を否定するほどの根拠に乏しい報道ばかりだ。ホールディングカンパニーのトップに留まるのか注目されているが是非異業種活躍を期待したい。

  • つい一年前程にビジネススクールの課題でレポートを書いたことのあるマックと原田さんの経営
    わからないことだらけで苦労をしたのを覚えているが
    その当時のレポートに対する講師の方の解説にも驚いた経緯を思い出すと共にこうやって本人の書いたもので確認すると改めてそのスゴさとロジカルに考えられているストーリー性を感じ、あの時の感動を思い出した。

    あのレポートの直後に読んでいたら感動がもっと違ったかも知れないし、時間が経過して読んだ今でも、考え方の基本の部分を改めて抑えていかないといけないってことを感じるようになった。

    今はもう、レポートの課題になってないし
    原田さん自身 ベネッセに行ったし
    今はどんな経営しているのかなあ って気になったりしています。

  • マッキントッシュからマクドナルド、そして現在ベネッセでトップとして活躍する原田泳幸さんは日本を代表するプロの経営者。

    その原田さんが、主にマクドナルドで業績をV字回復させるために実施した施策の裏にある戦略について包み隠さず紹介している。

    表題にあるように、いくら施策を実施してもその順番を間違えると全く効果がないどころか、逆に業績の悪化にもなる可能性がある。
    そう考えると、試作を打ちタイミングや順番の大切さを知る事が出来た。

    気に入った言葉
    売る為の手を講じずにコスト削減をやったら本当に自殺行為ですよ。
    経営とは要はお金の使い方を考える事だと私は思います。
    目先の数字を落としてでも将来の成長の足を引っ張るところは切っておく。元気なうちにです。つまり「手術で元気になる」ではなく「元気になったから手術を受けられる」

  • 当社グループの会長兼社長に就任されるという驚愕のニュースが流れたので一冊読んでみた。
    過去にも原田氏の著書は何度か読んでいたのであるが、やはり経営をきちんとサイエンスしている、日本人には珍しいプロ経営者であることを再認識させられた。これといって特別なことをやっているのではなく、1つ1つの打ち手のつなぎ方が妙で、解説の楠木建一橋MBA教授の解説にもあるが、特別な球種を持っていない投手の配球戦略に似ている。球速も変化球も大したバリエーションがないけど、配球で打者を打ち取る。
    原田氏の経営采配もまさにそのとおりで、打ち手の並びが秀逸。そこには成功に向けたストーリーが存在し、誰が見ても聞いても「なるほどね」ということになるのだ。経営とはこのくらいシンプルな方がいいのだろう。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:673.973//H32

  • 優れた打ち手も順番(シーケンス)を間違えると失敗する。一方でありふれた打ち手でも順番次第で成功率が高まる。野球のピッチャーが配球の妙で打ち取る例えが分かりやすい。

  • 以前原田氏がカンブリア宮殿に出演していた時にも言っていたが、重要なのは、
    ・新しい顧客をどう開拓するか
    ・リピーターをどう増やすか(単価をどう上げるか)
    の2つであり、これを繰り返しながら成長していくために最適な順序で施策を実行していく、ということに集約されるといってよいだろうか。

  • 【読書メモ】

    ●「何のコストを削減しなくちゃいけないか」じゃなくて、「お金を使えば新しく何ができるか」を考えてアイディアを持ってこい、ということです。持ってきたら、じゃあ、そのお金をどこから捻出するか考えようと。そのシフトするところを切ればいいんです。

    ●「売る」ための手を講じずにコスト削減をやったら、本当に自殺行為ですよ。経営とは、要はお金の使い方を考えることだと私は思っているんです。

    ●大切なのは「シーケンス」です。土台がなければ柱は建たないし、柱がなければ壁は張れません。ある戦術を実行するためには、その戦術が実行できるための環境を整えておかなくてはならない。パズルを一つひとつ組んでいくように、戦略実行のシーケンスを考えるのが経営戦略というものです。

    ●先入観を捨てて、現場に足を運ぶ。そこで商売の「におい」を嗅ぎ取る。そのにおいを基に、新しい価値を生み出す方法を考えて、考え抜いて、「これだ」というものが出来上がったら、あとは「信じる」んです。データは、その成否を「検証」するためにあるものです。

    ●どうやって消費者を驚かせてワクワクさせるかという「サイコロジー(心理学)」と、理詰めで考えて、その「驚き」を含めた顧客満足をマージンに変えていく「サイエンス(科学)」。経営には両方とも必要だと思います。

    ●「やる」と言い出したことはやり切る。意地でも自分を正当化する。正確に書けば、正当化するまでやり切ってしまう。

    ●経営というのは、大きな組織集団を動かすことです。動かすためにはコミュニケーションが必要です。一番大切なのは、「複雑なことをどのようにシンプルに伝えて、期待する行動に結びつけていくか」という視点です。誰でも分かるようにフレームワークを設けてあげる。すると、伝達される情報が自ずと整理されていく。結果として、組織は落ち着きを取り戻すことができます。

    ●情熱には冷静を、冷静には情熱を。

    ●間違えていても「なるほど」と思わせるぐらいの勢いで言ってのければいいんです。間違えていても信じさせる力、これがリーダーシップですよ。でも、同時にゴルフコーチのように客観的に自分を見つめる「外の目」もひつようです。冷静な論理と、熱い情熱。組織だけじゃなく、経営者自身にも両方とも欠かせないと思っています。

    ●戦略とは違いを生み出すこと。

    ●「らしさ」から逸脱する取り組みをすべきではありません。低カロリーとかヘルシーが市場トレンドであり、顧客ニーズであっても、マクドナルドにとって最も利益が出るのは依然としてビッグマックであり、女性の客数を大きく伸ばしたのはクォーターパウンダーだった。

    ●ストーリーで戦略を構想する。QSCを徹底的にやった上で、100円マックで客足を増やし、これまでと違うことを体感させ信頼を取り戻した上で新メニューを導入した。施策個々を点で見ると話を見誤る。

    ●KPIを達成しなさいと言われると、KPIの向こう側にあるストーリーの成り行きがないがしろにされ、どうしても「今、そこにあるもの」だけに目がいってしまう。太くて強い因果論理に基づいたストーリーが静止画へと分断されてしまう。

  • 24ヶ月連続前年比マイナスだったマクドナルドをV字回復させた著者の経営戦略の解説書。QSCやマクドナルドらしさの徹底で商品と店舗の価値を十分に高めた上で100円メニューなどの値下げにより客数を増加させ、その後、高価格商品の投入により客単価を上昇させた。これらの戦略により、8期連続既存店売上増を実現させた。重要なポイントは「シーケンス(順序)」。場当たり的な「選択と集中」では他社との差別化は出来ないため、時間軸を意識した組み合わせと順序の経営戦略が重要と解説。

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著者プロフィール

長崎県佐世保市出身。元アップルコンピュータ株式会社代表取締役社長兼米国アップルコンピュータ社副社長。2004年よりマクドナルドCEOに就任。前任の創業者社長である藤田田が進めてきたバリュー戦略の見直しを次々に打ち出し、行き過ぎた安売りで失墜したマクドナルドのブランドイメージの建て直しに奔走、短期間で建て直した。その経営手腕の評価から、2009年12月に「GQ Men of the Year 2009」の一人に選ばれ、2011年10月には日本経団連の関連組織である経済広報センターより「企業広報経営者賞」を受賞した。その後、2013年6月にソニーとベネッセホールディングスの社外取締役に就任。2013年8月27日付けで日本マクドナルドの社長を退任。現在は日本マクドナルドホールディンクス株式会社の代表取締役会長兼社長兼CEOを務める。

「2014年 『バトンタッチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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