超・反知性主義入門

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822279288

作品紹介・あらすじ

他人の足を引っ張って、何事かを為した気になる人々が、世の中を席巻しつつある…。

安倍政権の政策から教育改革、甲子園、ニッポン万歳コンテンツにリニアまで、最近のニュースやネットの流行を題材に、日本流の「反知性主義」をあぶり出してきた「日経ビジネスオンライン」好評連載中のコラムが、大幅な加筆編集を加えて本になりました。

さらに『反知性主義 アメリカを動かす熱病の正体』の著者、森本あんり・国際基督教大学副学長との、「日本の『宗教』と『反知性主義』」をテーマにした2万字対談も新たに収録。

リンチまがいの炎上騒動、他人の行動を「自己責任」と切り捨てる態度、「本当のことなんだから仕方ない」という開き直り。どれにも腹が立つけれど、どう怒ればいいのか分からない。日本に漂う変な空気に辟易としている方に、こうした人々の行動原理が、最近のニュースの実例付きで、すぱっと分かります。

エッセイ集として、日本の「反知性主義」の超・入門本として、お楽しみ下さい。

感想・レビュー・書評

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  • ネット上でおなじみのコラムニスト・小田嶋隆による社会風刺論集。この手の本にありがちだが、どんどんよどんでいく世相に対する皮肉は言えても、「では、どうしたらいいのか?」という建設的な視点が、この本にはほぼ皆無に等しい。筆者の立ち位置は「左派リベラル」といったところだが、個人が持っている不満を筆にぶつけても世界は変わらない。世相はどんどん筆者のいうところである「露悪化」の道を辿っているのに、良心的な市民はどのように立ち向かえばいいのかという視点が見られないのは、筆者に限らず「リベラル派」の人たちに多いのはどうしてだろう。本書の一番の目玉は、ベストセラー「反知性主義 アメリカが生んだ『熱病』の正体」の著者である森本あんり(この人は「男性」なのでお間違えないよう)との対談。「日本では『憲法』が、宗教の代わりになっている」という、二人の視点は実に興味深い。そして本書の中で、筆者の意外な過去が明らかになる。

  • インターネットがなかった時代、思ったことをそのまましゃべってしまう口の軽い人間がいても、彼の軽佻な声は周囲数人の耳に届くだけで、その場で揮発していた。個人の発言が炎上する危険はほぼ皆無であった。ところが21世紀に入り、スマホに向かってつぶやいた些細な言葉が記録に残り永遠に蒸し返されることとなる。ネット上にはゲシュタポさながらの言語サークルができあがりる。マスメディアも失言をネタとした謝罪と制裁をワンセットにしたシリーズ物のレギュラープログラムに仕立て上げる流れを定着させてしまった。テレビは制裁機関へと変貌を遂げる。他人の恥辱は群衆にとって最もポピュラーなスポーツ。些細な失言で大臣が相次いで失職させられていく。群衆という残酷な架空人格により生贄を求める社会が形成されつつある。実に奇妙で嫌な空気が流れている。

  • 思想についての本なので、主観的な考察になっていることに考慮して読むべきだろう。

    ここからも個人的な主観的な感想になるが、
    ほとんどの内容はとても納得のいく面白い内容だった。(いくつかは言い過ぎだと思ったりしたが)
    特に最後の対談は「反知性主義」というものについてよくわかり、とても面白かった。

    <メモ>
    登山、依存、宗教、自己
    P.22
    法律=みんなが守っているもの=実体のないもの
    P.250
    文章は、楽しむために読むものだ。
    楽しく読んで
    面白く時間をツブせればそれで十分。

    効率的は必ずしも良いものではない
    良いものは簡単には言えない測れない

  • 日経ビジネスの連載が面白く読んでみた
    小難しく理屈っぽいとこもあるが、納得感あり。
    反知性主義というのが最後までよく分からなかったけど、まあいいか

  • 小田嶋さんは、文章を書くときの頭がいい。一つ一つの文章の締め方がいちいちオシャレ。さすが、コラムニストとして生きているだけある。とは言っても、けっこうついていけない部分があったりで、反知性主義章について理解が深まったかと言われると、口ごもる。半分くらい読んだところで、話題になってる『紋切型社会』に似てるなぁと思った。あれほど尖ってないけど、目の付け所とか掘り崩し方に、同じ匂いを感じた。あ、あと構成について何も説明されることなく始まったので、そこだけちょっと読みづらかった。

  • 当代きっての名コラムニストの新刊本です。
    日経ビジネスオンラインに連載しているコラム「ア・ピース・オブ・警句」から誕生した書籍は本書で5冊目。
    私は本コラムの愛読者ですので、本書に掲載されているコラムはすべて読了済みですが、国際基督教大教授の森本あんりさんとの対談が巻末に収録されているので取り寄せました。
    小田嶋さんのコラムの魅力は、やっぱりその文章の面白さ。
    もはや至芸の域だと私などは勝手に評価しているのですが、小田嶋さんのコラムを読んだ方なら頷いていただけると信じています。
    もちろん、1編1編のコラムの内容もオリジナリティにあふれ、読みごたえがあります。
    その時々のニュースや社会問題を俎上に載せていますが、凡百の書き手とは明らかに一線を画しています。
    いいね、小田嶋隆。

  • 人間が感情生物であるからこそ
    「社会的な障壁を貫く本音」なるものが、判官贔屓とはまた違った意味で下駄を履き、SNSで闊歩する羽目になっているのかもしれない。

  • 2017/06/06読了
    反知性主義について色々読んでいた中の一冊。

  • イマイチかな、と思いながら読んでたら、最後の森本あんり氏との対談でイメージがひっくり返された。まさかアル中の話が出てくるとは。しかも納得感高し。オススメします。

  • 小田嶋氏らしい内容の本。出所はピースオブ警句のようだ。森本あんり氏とは小中高いっしょだったとは。小石川高校か。アルコール依存症を克服した話は印象的。

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著者プロフィール

1956年東京赤羽生まれ。早稲田大学卒業。食品メーカー勤務などを経て、テクニカルライターの草分けとなる。国内では稀有となったコラムニストの一人。
著作は、『我が心はICにあらず』(BNN、1988年、のち光文社文庫)をはじめ、『パソコンゲーマーは眠らない』(朝日新聞社、1992年、のち文庫)、『地雷を踏む勇気』(技術評論社、2011年)、『小田嶋隆のコラム道』(ミシマ社、2012年)、『ポエムに万歳!』(新潮社、2014年)、『ア・ピース・オブ・警句』(日経BP社、2020年)、『日本語を、取り戻す。』(亜紀書房、2020年)、『災間の唄』(サイゾー、2020年)、『小田嶋隆のコラムの向こう側』(ミシマ社、2022年)など多数がある。
また共著に『人生2割がちょうどいい』(岡康道、講談社、2009年)などの他、『9条どうでしょう』(内田樹・平川克美・町山智浩共著、毎日新聞社、2006年)などがある。
2022年、はじめての小説『東京四次元紀行』(イースト・プレス)を刊行、6月24日病気のため死去。

「2022年 『諦念後 男の老後の大問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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