リーン開発の本質

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822283506

作品紹介・あらすじ

トヨタ生産方式の考え方はソフトウエア開発で活かせる!最強の組織に学ぶ人づくり、チームづくり、プロセス改善の秘訣。

感想・レビュー・書評

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  • 前書リーンソフトウェア開発を補足・補完する内容。
    リーン原則の再説明、リーンを導入する上での注意事項について触れられている。

  • トヨタ生産方式をソフトウェアに応用。その背景、本質を説明。具体的な方策を書いてはいない。日本の製造業を褒めまくり。日本人として、ちとうれしい。

  • 平鍋さんのサインがもらえてちょっと安くしてもらえるということで、初めて読書会というものに参加。
    またまた未知の世界だ。。。
    腰リール率高し!

  • ソフト開発の新しい常識。

  • 米国ソフトウエア業界におけるリーン開発の第一人者による、リーン開発の原則や指針などを具体的な事例を交えて解説した本。監訳者あとがきによると、前作『リーンソフトウエア開発』の「本質版」と呼ぶべきものに仕上がっているとのこと。(内容がある程度重複しているようなので、前作は読まず最初に本書を読ませてもらった。)
    21世紀になった頃から、アジャイルだとかXP(eXtreme Programming)だとかいったキーワードは業界でよく見聞きしていたのだが、恥ずかしながらそれらの概要さえ知らないままに来てしまった。一過性の流行かと静観していた面もあるが、どうやらそんな軽いものではないらしいと分かり、今更ながら学んでみることにした次第。

    まずアジャイルとは、XPなどフィードバック重視の反復型開発手法の総称であり、品質を確保しつつ短期間開発を実現するものである(と個人的に理解している)。一方、70〜80年代から成功を収め続けている「トヨタ生産方式」は海外で研究され、「リーン思考」として抽象化された思考方法と原理・原則にまとめられた。
    ソフトウエア開発業と製造業の現場で使われてきたこの二つの流れが、本書の著者によって合流し、ソフトウエア開発にリーンを適用する手法として確立したという経緯らしい。

    新人時代に研修でウォーターフォール(失敗事例として本書に登場する)やらV字モデルやらを学ばされた人間としては、本書を読んで目から鱗の落ちる思いだった。単体テストを先に決定することや個人ではなくチームとして業績を評価することなど、当時の職場で是非とも取り入れていてほしかったと感じた手法は一つや二つではすまない。

    原理・原則や実践のためのステップはそれなりに数が多いため要約は割愛する。ソフトウエア開発に携わるなら――それが会社であろうと個人であろうと――手元に置いておきたい一冊。

  • リーン開発とは、自動車のトヨタが独自に行っていたトヨタ生産方式またはジャストインタイムと呼ばれる効率的な製造方式を、ソフトウェア開発に応用した開発手法のことです。

    トヨタ生産方式といえば、在庫無し生産、かんばん、ムリムラムダをなくす、といったワードが有名ですね。戦後、日本の自動車産業が著しく発展する中で、「このトヨタって会社の生産性は異常に高いぞ!なんでや?!」って感じで、アメリカでトヨタ生産方式が注目され、リーン生産方式という名に変わり、研究が進みます。その後、そのエッセンスがアジャイルに組み込まれ、日本に逆輸入されることになります。

    面白いのは、自動車開発での考えを抽象化してソフトウェア分野にうまく応用しているところです。例えば、トヨタ生産方式では在庫を極力持たないことがキーになるのですが、ではソフトウェア開発における在庫ってなんでしょうか?リーン開発では、リリース待ちの案件や、仕様が決まって開発着手待ちの案件を、ソフトウェア開発における在庫とみなします。それらは何も価値を生み出さないものなので、極力持たないほうが良い。あると管理コストがかかりし、またリリースが延びることは機会損失になる、という考えです。

    他にも、「(仕様の)揺れ動き」や「機能の作り過ぎ」といったようなムダが、全部で7つあると定義されています。

    気になったワードの抜粋です↓

    「バリューストリームマップ」
    開発プロセスごとに、実働時間と待ち時間を見える化したもの。待ち時間は、リーン開発では在庫にあたり価値を生まないもののため、極力潰すべきものになります。開発フローを見直すためのツールですね。

    「プル型のスケジューリング」
    タスクは押し付けられるものではなく、自分で引っ張ってくるものだ!

    「決定をできるだけ遅らせる」
    ウォーターフォールだと、普通はできるだけ早く決定したいところですよね。けどそうではなく、あとから変更の余地があるものは、極力ぎりぎりまで決定せず、柔軟に対応できるようにする、という考えです。

  • 図書館。県内からの貸し出し。

  • 本書からはいろいろなことを考えさせられた。
    実例がこれでもかというくらい盛り込まれているのも良い。

    読み終わったら付箋を貼った箇所は30箇所ほどになっているし、アンダーラインを引いた箇所はもっとある。

    なかでも「すぐれたソフトウェア製品の開発形態は、もはやプロジェクトではない」というくだりには目鱗だったし、リーン開発からみたTOCに関しての考察が面白かった。

    また、平鍋さんによる12ページにもおよぶ「監訳者あとがき」も本書の読みどころのひとつで、これがついている分、原著よりも価値の高い本になっているのではないかと思う。

  • トヨタのリーン開発をソフトウェア開発に適用したらどうなるかに取り組んだ本。各社の豊富な事例が示唆に富む。

    ・欠陥を未然に防止する検査
    ・何かが起こるまで待ち、それから素早く的確に行動する。未来を予測するよりも、予測可能な成果を生み出せる。
    ・情勢によって計画はどんどん変えていかなければならない。
    ・標準は探索のベースラインにすぎない
    ・リーンにおける標準は、常に現場で指摘を受け、改善されるべき存在である。
    ・待ち行列は作業の2サイクル分が適当

  • 本書は、「大野耐一氏によるトヨタ式生産、設計、開発手法(カイゼン、JITのベストプラクティスに代表される方法論)」のソフトウエア開発プロセスへの適用法の解説書である。従って、徹底的にトヨタのプラクティスの神髄を深堀し、その魂をソフトウエア開発プロセスに注入するための方法を説く。 一般にプロセス論というと、ベストプラクティスの羅列とその解説に終始し、そのプロセスを運用する「人材」に対する視点に欠けることが多い。また、一方では手段にすぎないプロセスがあたかも目的のように扱われることも珍しくない。これにより机上の空論と呼ぶべき内容に堕落してしまう。CMMやシックスシグマの解説書などを読んでこのような失望を感じた人も多いだろう。 本書では、もちろんこのようなベストプラクティスの解説も多いが、「それはあくまでもソフト開発の手段に過ぎないこと」、「目的はユーザを満足させつつ自社の利益を確保すること」を強調する。人に注目し、組織をチームに変えることを説く。それはプラクティスというより、人格形成法であり、人材教育方法である。ソフトウエア開発プロセスの枠を遥かに飛び出し、組織論、経営論と呼べる高みに到達している。従って、ソフトウエア関係者ならずとも、読むべき内容を豊富に備えている。大野耐一氏の著書「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478460019/ichiromarin09-22/ref=nosim" target="_blank">トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして</a>」を除く多くのトヨタ解説書を遥かに超えた内容は、トヨタ方法を学びたい人にも最適である。久しぶりの5つ星。

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