- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822806262
作品紹介・あらすじ
殺人事件でウソの自白を強いられて有罪となり、43年間無実を叫び続けている石川一雄さんと支援者の壮絶な闘いをまんがで読む。「この事件には多くの疑問が残されている。それを黙殺せず、キチンと検討する精神こそ、人間のための裁判所のもののはずである」(鎌田慧)
感想・レビュー・書評
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迂闊にも、なんと去年の12月3日に身罷ったことを全然知りませんでした。
勝又進はまだ63歳の若さで、ということは、かつて我が家の書庫の片隅でみた1969年頃の「週刊アンポ」に載ったマンガを描かれたのは、26歳頃だったのですね。
この本は警察権力による部落差別を根幹とする冤罪事件=狭山事件をわかりやすく知ることのできる本です。
1963年以来、犯人にされた石川一雄氏は、45年間も無実の罪で人生を蹂躙され続けているという「それでも私はやってない」どころではない、警察と裁判所によるとんでもない破廉恥なでっち上げ事件です。
勝又進はベ平連のシンパだったとか社会派という言葉では納まりきらない、まさに数少ない筋金入りの反権力志向の漫画家・イラストレーターだったと思います。確か大学で原子核物理学を専攻されたことからも反原発闘争に積極的に関わってこられた訳ですが、そういえば同じ頃に「櫻画報」でパロディ最前線にいた我が愛する赤瀬川源平も、前衛芸術家として尊敬していますし千円札の模写印刷で国家権力を震え上がらせ(?)たりしましたけれど、あくまで芸術=反芸術としての表現においてのみで、社会的な行動をするという風ではありませんでした。
一昨年『赤い雪』で日本漫画家協会賞大賞を受賞された時はびっくりしました。もちろんそれまでに様々な童話の挿画や絵本を描かれていたことは存じていましたが、颯爽と闘う漫画家のイメージで凝り固まっていた私は、恐くてまだ読めずにいます。
それは、つげ義春の『紅い花』へのオマージュなのかどうか、ああ、やっぱり読みたい、近々読みます。詳細をみるコメント0件をすべて表示