- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828414836
感想・レビュー・書評
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記憶研究をしている心理学者が書いた本ではないので,細々した実験の話は一切無い代わりに著者の個人的エピソードを散りばめているに留まるものの,常に大局的な書き方で進んでいきます。エピソード記憶や意味記憶を含む宣言記憶,手続き記憶といったありふれた区分を一応採用しつつも,恐らく著者はこの区分に満足していない印象があります。例えば,エピソード記憶にも意味記憶にも言語化できないものがある。僕はこの点,何も反論できないし,むしろ賛同します。いつだったか,ヒト以外の動物の記憶にも「エピソード様記憶(episodic-like memory)」と呼べるような記憶があるという話が起きたことがありましたが,それを肯定する立場であれば,ヒト以外の動物は言語を使えないわけなので,エピソード記憶が宣言記憶と位置づけられる観点は排除されるべきで,新たに理論的な整理をしなければならないはずなのに,そういうことは一切行われていません(単に現象の羅列にとどまっている)。この本の「ざっくりした記述」を読むと,何が解かれるべきかという大局を見失わないという観点が重要であることが再確認されます。一般書であるという意味で工学的にもざっくりした記述であることが否めませんが,工学用語で記憶を語ることができる(可能性がある)ということも確認できると思います。ただ,忘却はエピソード記憶と意味記憶それぞれにあるということでいくつか説明があるのですが,「その例は意味記憶か?」と思えるものも散見されます。いや,この本を読んで「忘却はエピソード記憶的にしか成立しない」と考えるようになりました。(例えば,「徳川3代将軍の名前を忘れた」と言えるのは「昔は知っていた,言えた」ということを覚えているからで,そうでないと「忘れた」ではなく「知らない」としか言えない)それと,幸福・至福について述べられている最後の部分については僕はすんなり受け入れることはできませんでしたが,ある意味で救われるように感じる人もいるのかもしれません。
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思考の生理術と一緒に
同著、思考の生理術と一緒に読む事をオススメします。
忘却と幸福の関係がすごく刺さった。
そっか覚えていることはとらわれでもある。
過去に生きているとも解釈できる。
「次はこうしよう」と修正してきれいに忘れていた方が、ゆるしている状態だとも考えられる。
また一歩進めた。
いい本を読めてよかった。 -
人間の認知の基本がわかる本。
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忘却メソッドと
別の本とだいたい同じ内容。