日本いまだ近代国家に非ずー国民のための法と政治と民主主義ー

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828416229

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  • 角栄本でもあるけど、もっと本質的な民主主義入門。
    恥ずかしながら、自由主義と民主主義の違いを知らなかった。

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    今我々が研究しなければならないのは、魚にとって最も棲み易いのはどの程度の汚れか――これである。最も適した腐敗の度合いを、もっと研究しなければならない。

    例えば、英国が国として一番発達したのは、政治がほどほどに汚れていた時だ。178
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    マキャヴェッリの曠古の業績は、政治学を独立の学問として確立したことにある。192

    マキャヴェッリに対する非難攻撃は、本来、何に由来するのか。それは、政治学は、倫理学、神学と密接不可分である、或いは、そうでなければならないという思考法にある。

    政治家にとって重要であるのは力である。力の要請は倫理道徳よりも優先する。195

    マキャヴェッリにおける中心的分析概念は、ヴィルトウ(virtue)。

    「活力」、進んでは「生命力の発揮」という意味である。効力でもある。能力でもある。「徳」と訳すのであれば、古代中国における為政者の徳か。197

    この君主の徳を、田中角栄は、「方針をキチンと示す」ことであると表現する。226

    「方針の決まらん政治家は役人以下だ」ということになる。228
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    近代が生まれるこれによって、議会の機能が根本的に変わったのである。中世における議会の機能は裁判所である。ユダヤのサンヘドリン(宗教議会)と同じ。245

    近代自由主義の発端は、国王と雖も議会を通さなければ税金を課すことが出来ない、法律を作ることが出来ないということ。これがリベラリズム、つまり自由主義の第一歩である。246
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    デモクラシーでは英国よりアメリカが先輩249

    カネが問題じゃない。原則が問題だ。俺たちの代表である議会を通さないで税金を課した、それが問題だ。253
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    行政権力から人民を守るのが司法権力

    人民を国家権力から守るための「チェック・アンド・バランシズ」のポイントは何か。司法権力による行政権力の抑止である。308

    裁判所こそ、行政権力の恣意から人民(国民)の権利を守る城塞であるからである。317
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    ある証拠をないとするなんて、何とも、はて面妖な。そう感ずる人も居るでしょう。

    デモクラシー諸国における裁判は、近代科学と同じ方法論的構成を取っているのである。

    昔の科学とは違って、「此処に真理があって、それを発見する」のだとは考えない。真理であるかどうかは、科学が決める。325

    「真理(事実)を発見する(模写する)」という考え方は、素朴模写説となる。カントの認識論以前の考え方なのである。326

    デモクラシー諸国における裁判の要は手続きにある。手続きだけにある。333
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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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