ブルーザー・ブロディ 30年目の帰還

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828420332

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  • 超獣。
    キング・コング。
    インテリジェント・モンスター。

    ブルーザー・ブロディ。

    プエルトリコでの突然の死から30年。

    昭和のリングを彩った大レスラー ブルーザー・ブロディの評伝が、平成が終わろうとする今、出版された。

    「ハンセンにはプロレスラーの凄さを、ブロディにはプロレスの凄さを教えられた」と天龍源一郎はかつて語った。

    カーリーヘヤーに長いあご髭。
    毛皮つきのリングシューズ。
    「移民の歌」をテーマに、チェーンを振り回し、雄叫びを上げながらの入場シーン。

    試合が始まれば、クラシカルなレスリングもあり。
    打点の高い強烈なドロップキックあり。
    フィニッシュは、キングコング・ニードロップ。

    当時のインタビューに加え、プエルトリコでの急死の新証言。
    バーバラ夫人へのインタビュー。

    闘う哲学者ブロディの言葉は、今でも我々ファンにプロレスリングとは何かを語り続ける。

    こんな凄いレスラーは、もう二度と出ないかもしれない。

    ブロディ革命は、続いている。

  • 『超獣』ことブルーザー・ブロディの没後30年を機会に
    出版された本。著者はファンから絶大な信用を誇るプロ
    レスジャーナリスト及びエッセイスト、フミ・サイトー
    こと斎藤文彦。

    いまから30年前の7月17日(日本時間)、プエルトリコ
    ・バイヤモンのフォアン・ラモン・ルブリエル球場で行
    われていたWWC(ワールド・レスリング・カウンセル:
    カルロス・コロン代表)の興行開始前、同会場のシャワ
    ールームにて、プロレスラーのブルーザー・ブロディが
    刺殺された。刺したのは同じくプロレスラーで同団体の
    ブッカーも務めていたホセ・ゴンザレス。ブロディは病
    院に搬送されたが、翌18日に死亡が確認された。享年42。

    この作品の冒頭で、作者は我々に問いかけている。
    「いまから30年前の7月18日、“あなた”はどこにいて、
    そのニュースを耳にしたのだろう」

    ・・・僕は何故かコレをハッキリ覚えている。
    場所は今は無き新宿厚生年金会館の楽屋口。僕はコンサ
    ート設営のアルバイト中で、同じ場所に居たプロモータ
    ーの人からこの話を聞いた。この日の仕事は本当に上の
    空となってしまい、周囲には少し迷惑をかけたかも。そ
    の日の帰り、新宿三丁目駅売店で購入した東スポでソレ
    が真実であることを知り、強い絶望感に苛まれた・・・。

    ブルーザー・ブロディという選手、好き・嫌いで言えば
    僕は決して好きなタイプの選手ではなかった。しかし、
    当時の日本プロレス界に於いて、凄く重要な登場人物だ
    ったことは間違い無い。なぜなら、我々の考え得る「夢
    のカード」の一方には必ずブロディの名前が入る。好き
    だろうが嫌いだろうが、認めざるを得ない。それがブロ
    ディだった。

    この本の構成は、書き下ろしとなるブロディの生い立ち
    からフットボーラー・新聞記者としてのキャリア、そし
    てプロレスデビューから死に至るまでのストーリーと、
    当時週刊プロレスに掲載されたインタビューの2本立て。
    流れは終始淡々としているのだが、その分あの時の感情
    がリアルに蘇ってくる。

    あの時、僕はホセ・ゴンザレスに殺意を覚えたし、絶対
    に実現することの無いハンセンvsブロディを思い絶望し
    ていたりした。でも、30年経った今では違う感情を持っ
    ている。

    ブルーザー・ブロディは、きっと刺されるべくして刺さ
    れた。そして、ホセ・ゴンザレスにはそうしなければな
    らない事情がきっと在ったのではないか?と、今は思っ
    ている。

    ブルーザー・ブロディという唯一無二のプロレスラーが
    全盛期のうちに亡くなったからこそ、僕らは今でも「IF」
    の話をいくらでも出来る。もしブロディが実力の衰えた
    晩年をさらけ出してキャリアを終えていたら、こういう
    状況にはならなかった、と思う。間違い無くスキャンダ
    ラスな事件であり、二度と在ってはいけないことだが、
    ブロディはそういう「最後」を我々に提供してくれた。
    そんなプロレスラーは、他に居ない。

    昭和プロレスファンであれば、昭和プロレス最後のエー
    スガイジンについてもう一度検証すべき。好き・嫌いの
    レベルで語るワケにいかないレベルにいた男の人生には、
    必ず何かがあると思うので。

  • どのジャンルもそうかもしれないが、特にプロレス界は記憶のジャンルだと思った。空前の80年代を経験したものにとってはなおさら。

    ブッチャーの「ブロディはフレンド、ホセもフレンド、カルロスもフレンド、みんなフレンドなんだ」との言葉が忘れられない。不幸な事件について、特にその後、その始末記を端的に表すとすると、そういう言葉に収まるのだろう。

    ただネット、YOUTUBEで語られつつある事件の背景として、88年当時のブロディのメンタリティ(全日ファーストをベースとしたプライド)への切り込みが少なかったので、この本だけではもやもやは残るようには思う。

    とはいえ、構成・まとめ方、そしてちょっとしたエピソードの挿入が上手な良書。

    また、ブロディが、鶴田に対してもそうだが、やはりレスラーとしての猪木に対しても特別な感情を抱いていたことがこの本でもよくわかる。

  • プロレス関係の本の中でも非常によくまとめられている本だと思う。ありがとうございました。

  • 118-10-15

  • ブッチャーとの関係、鶴田・天龍への評価など、知らないことが多くて貴重。

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著者プロフィール

1962年1月1日、東京都杉並区生まれ。オーガスバーグ大学教養学部卒業。スポーツライター。コラムニスト。専修大学、帝塚山学院大学、大正大学で非常勤講師として教壇に立つ。在米中からプロレス記者として活動。プロレスライター歴27年。主な著書は『テイキング・バンプ』『デケード』『シーズンズ・グリーティングス』『レジェンド100』(以上、ベースボール・マガジン社)、『プロレス大事典』(小学館)、『ボーイズはボーイズ』(梅里書房)、『スポーツで楽しむアメリカ英語』(岩波書店)など。

「2008年 『みんなのプロレス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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