マルジナリア (福武文庫 し 203)

著者 :
  • ベネッセコーポレーション
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本棚登録 : 77
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828830636

作品紹介・あらすじ

強靭な思考力と該博の知識による、欄外の余白に嵌め込まれた絢爛たる鏤刻の小宇宙・-エドガー・ポーのひそみにならい書き継がれた多彩な断章の集積が、いま異色の読書ノートとして顕現する卓抜なエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 短い断章で次から次へと話題をつなげていく感のある「マルジナリア」の章は、なかなかにテンポよく、縦横無尽に考察をくりひろげてくれて、目をよろこばせてくれた感。それもふくめ、以下のトピックス、エピソードが印象に。「いたるところに中心がある」(ニーチェ「ツァラトゥストラ」)という考え方こそ、私にとっていちばん好ましい考え方◆フランスででたギヨン、ボエニック「自殺、その実行法」。完全自殺マニュアルより、20年近く前に同種のものが出版されていたとは◆対数渦巻を発見したベルヌーイが、これを「驚異の渦巻(スピラ・ミラピリス)」と呼び、自分の墓碑にもその形を彫り刻ませたのは、大先輩アルキメデスの真似をしたのでは?◆19c中葉のパリでなぜ邪視がインテリたちのあいだで取り沙汰されていたのか。作曲家オッフェンバックは邪視の持ち主と噂され、ゴーティエらがおそれていた◆性差をできるだけ少なくするのが今日の若者文化のようであるが、石川淳はあくまで陽根主義者として当代に屹立している◆

  • さらっと読めるタイプ。
    首切り機械ギヨティーヌの件が面白かったです。
    あと石川淳を読んでみたくなりました。

  • とりとめが無さそうでありながら、何となく『本について』というテーマで纏まっているようなエッセイ集。あとがきと解説には『読書ノート』とある。
    様々な本のタイトルが挙げられていて、どれも面白そうだが、きっと邦訳が無いものも少なくないんだろうなぁ……。

  • マルジナリア/

    アルキメデスの渦巻/パドヴァの石屋/イソッタの墓/サロニカ日記/ギリシア旅行スナップ/サン・タンヌ街の女の子/オッフェンバックの目/新釈『ピーター・パン』/E・Tは人間そのもの/エウリピデスと『メディア』について/性差あるいはズボンとスカート/SFをめぐる覚書/ある死刑廃止論/私の一冊/

    記憶力について/『乱菊物語』と室津のこと/石川淳『至福千年』解説/現代の随想「石川淳集」解説/石川淳『六道遊行』/大岡昇平さんのこと/埴谷雄高のデモノロギー/鷲巣繁男追悼/「ああモッタイない」/

    解説:出口裕弘

  • 古今東西、ありとあらゆること(といってもいいいほどのもの)を自由自在に述べる……私ごときが感心するまでもないけれど。「手もとに本がないので、もっぱら記憶に頼って書かなければならないが」と言いながら、ピーター・パンについて解釈できるだろうか、できちゃうのだ、この人は。

  • 2009/5/24購入

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