暗黒大陸中国の真実〈普及版〉

  • 芙蓉書房出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829504079

作品紹介・あらすじ

中国と中国人の本質を70年以上前に鋭く見抜いていたアメリカ人外交官がいた。新聞・雑誌・インターネットで大反響を呼んだ本がソフトカバーの〈普及版〉で再登場。

感想・レビュー・書評

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  • 中国の領事館に勤務したリアリストなアメリカ人が、本国のアメリカ人に向けて中国の真実の姿を告発している内容。書かれたのは1933年。満州事変とか上海事変のすぐ後。数年過ごした自身の体験談を中心に、当時の中国と中国人を辛辣な悪意の満ちた表現で罵倒してます。特徴を短所とするか長所と取るかは表裏一体なので、毒舌であることを分かって読めば、中国という国と中国人という民族の特徴がある程度理解できる。一言で言えば面子と親族は大切にするが、徹底的な個人主義のリアリストと言った評価になるのか。アメリカの国益のことを考えて、当時のアメリカ政府の対応を批判しいろいろと提言している。前半の多くはアメリカ人宣教師達への批判も多い。終盤、当時の日本と中国の関係やその辺の歴史が本音トークで語られているところは歴史の勉強になります。どちらかというと日本びいきな視点なので保守派の日本人に好まれる内容だけど、当時の日本の気持ちは良く分かる。

  •  上海副領事として中国に渡り第一次上海事変を体験したアメリカ人ラルフ・タウンゼントがその経験に基づいて書いた本であるので、日本人が書いた本とは異なる目線で書かれているだろうと期待して読んだ。
     中国人と中国共産党とは別であるが、現代の中国を理解するために本来の中国人の本質を理解することは大事であると思う。特に、3章本当の中国人、5章進歩のない布教活動、8章阿片では、今まであちこちで読んできた事柄の信憑性が高まり、また目新しさも感じながら読んだ。中国をより正しく理解するための必読書である気がする。

  •  底本が1933年刊行(戦前)という点、本書が普及版、つまり抄訳の可能性ある点を考慮しながら読む分には、戦前期中国の負の一面を切り取った書と見れそう。あくまでも、一米国人の体験的叙述でしかないが…。
     個人的には買うまでもなかろう、との結論。

     ただ、底本発刊年月日を目立つように書いていないのは、誤導のきらいなしとしない。内容以前に、こういう手法は個人的には余り好みではない。
     芙蓉書房出版ですか。

  • 現在北京に在住する身として非常に興味深く読んだ。1933年という本作が書かれた時代に起きていた事と今起きてきている事の本質が全然変わらない事に驚く。ここでの中国人とは一般的に漢族を指している模様で、満族やチベットを別ものとして扱っている様子がうかがえるのが興味深い。2016年現在の中国人の一部が、現状のハチャメチャさを文化大革命が起きたためと理由付しているが、それ以前から同じ様な事をやっていたのであれば関係ないことになる。その一方、著者が中国人は変わらないと言い切っているが、同じ漢族の流れを組む現状の台湾人や香港人を考慮すると、やはり社会環境に起因するのではないかと思われる。以下、もろもろと気になった所を抜粋。

    P7 中国の現状を把握している外国人は1)宣教師2)民間事業者3)政府役人である。1)は援助を打ち切られることを恐れて真実を話さず、2)は不買運動や罰則を課される恐れがあるので真実を話さず、3)は在任中に外交辞令的な事しか言えない。現場を知る者が事実上”さるぐつわ”をはめられて真実を述べる事が出来ない。

    P28 あらゆる分野で教育を受けた者が多数おり、億万長者が多く資金も潤沢にある。必要なものはすべてそろっており、しっかり監督すればちゃんと働き、仕事熱心でもあるが、致命的に正直さと協調性に欠け、誠実そうに見えていざという時に裏切る。”一人なら上手くいくが、二人なら仲間割れ、三人なら足の引っ張り合いになる”

    P30 中国に来ると病みつきになる人がいる。古美術や芸術品に興味がないものはそれが社会に向く。なぜかくもこの国は混沌としているか知りたくなるのである。そして現代中国情報関連となると急に歯切れが悪くなり、真実が見えてこない。知らぬは恥と何とかして調べたくなるが、一旦足を踏み入れるとそこは底なし沼であり、驚きの連続である。ただそれは自分の判断と推量が正しいかを確認するだけのゲームとなり、たどり着くのは”諸悪の根源は事件の当事者であり、自称愛国者だ”となる。

    P38-39 南京にできた政府が何をしているかというと目覚ましい成果を上げているような印象を海外に植え付けるためのプロパガンダに全力投球しているだけで、国民のためになる事はなにかやったか?無きに等しい。民主主義、共産主義といった○○主義は中国には存在しない。なんでも中国に入ると中国化してしまい、元の名前さえ分からなくなってしまう。中国人は○○主義のために戦っているようだが、そんなことはない。

    P86 世界は国際法に準じて動いているが、中国人が国際法を尊重するようになったら世界が平和になるか、違うのである。逆に彼らの強烈な国民性のため中国関係がギクシャクする。彼らは舶来のものであれば、優れていようが何しようが、とにかく何でもかんでも拒否である。なぜかは説明がつかない。長く中国に暮らしても、知恵を絞ってもわからないクロスワードパズルのようなもので、正解が分かるようであればそれは中国人になってしまったのである。

    P100 神学校の土地を中国人に貸し出すと居座られ、政府に依頼して何とか出て行ってもらうように説得。出て行っていないのに出て行ったという証拠写真を送ってくる。この辺りは日本のODAのその後を調べたジャーナリストの話と全く同じ流れてある。あるべきではないものがある、出来上がっているはずのものが全くできていない、それらを偽の写真でごまかそうとする。

    P138 アメリカ人の寄付でできたミッションスクールで学んだ中国人は、卒業後にキリスト教徒は無関係の仕事に就く。民間、政府、盗賊であれ、儲かりそうであれば何でもいい。そしていつの間にか反米となる。これぞ中国人である。

    P187 目指すものが違うから戦うということは中国ではありえない。目指すものは賄賂、略奪、なんでもいい、ただ金である。ただし一般大衆にはできず、一握りの頭目だけができる。その集団に入れば、命の危険があってもメシだけは食える。気まぐれにあ頭目に騙され、生贄にされるかわからないが、それも承知の上であり、誘いを断る方がよっぽど危険である。

    P200 中央政府と名乗る政権が2,3ある。諸外国は国民党を中国政府としているが、首都が南京に移っても各国公使は北京に住んでいて動かなかった。外国人にとっては北京が首都で中国人にとっては南京が首都である。去年は首都は洛陽にありとも言われた。おかしな話だが、他に色々ありすぎてこの程度の事をおかしいという人はいない。

    P208-209 中国に憂国の士がいないわけではないが、口先だけで行動が伴わないから役に立たない。仲間内で供用をひけらかすだけの評論家となってしまい、改革はいいものだというような当たり前の事を言って喜んでいる。中国の学者はよくいつか世の中が良くなるというが、良くするのではなく、自然によくなると考えている。ただ金儲けだけは別で、全精力を注ぎこむ。大志を抱き、国を憂い、何をすべきか考えても実現は出来ない。協力者がいないからである。汚い手を使って政府高官の座に登り、しがみつく人間は数知れず、例外があるとしたら力がない人間だったというだけのことだ。

    P256-257 1925年₋1927年にかけて反英運動が最高潮に達していた。排外主義はいつもの事だが、ある特定の国に狙いを定めて集中攻撃をする。戦果、例えば金を借りられるとか、同情を得られる等が得られたら攻撃を緩め、新たな獲物を探して集中砲火する。20世紀最初の英時期はアメリカで、在中アメリカ人への危害、不買運動が起こった。しばらくして収まったのは、同情させて融資を引き出した方が得策だと読んだからだけである。

    P284 アメリカ国務省は、一般国民が手に入らない中国の専門家からの確かな情報を入手しておきながら、アメリカ一般国民の意見を聞いて行動する集団である。中国現地にいる調査官はなぜ自分たちの意見と逆の政策を採るのかといぶかしがるが、国務省は新聞の切り抜きを見て国民の要望を判断する。ヨーロッパ情報と違い、中国の情報が極端に少なく、中国駐在調査員がいくら頑張っても偽情報に騙されたアメリカ世論を正すことは出来ない。世論というものは、信頼できる情報がいきわたって初めて政府の指針となるものである。信頼すべき情報網が遮断され、偽情報があふれ、結果として苦労しているのである。

  • 約100年前のアメリカ人外交官が見た中国の真実。非常に手厳しいコメントが多いが、それが主流派の意見。にもかかわらずキリスト教教会関係者はどのような仕打ちを受けても実態を理解しないという。こうしたことが当時の国際世論を形成し、日本の情報発信が少なさが徐々に首を絞めていったのではないかと推察している。

  • 衝撃的すぎるのと、よくこの時代に出たなと驚くことばかりだ。

  • 1930年頃のアメリカ人外交官(上海・福建省副領事)を勤めた人が書いた本。もしこの本の内容が50%信頼できるなら、日本人は永遠に中国という国を理解できずだまされ続けると思う。姿形は似ていても全く別の人種だと思ったほうが良いみたいだ。たとえ80年経過したとしてもその気質は変わらないだろうし日本人の気質も変わらない。

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著者プロフィール

(Ralph Townsend 1900-1976)
アングロサクソン系アメリカ人。コロンビア大学卒。新聞記者、コロンビア大学英文科教師を経て国務省に入る。1931年上海副領事として中国に渡る。満州事変に伴う第一次上海事変を体験。その後福建省の副領事として赴任。1933年初めに帰国。外交官を辞め、大学講師のかたわら著述と講演活動に専念。親日派の言論を展開したため、真珠湾攻撃後は1年間投獄される。6冊の著作すべてに極東アジアに関する鋭い知見を披露している。

「2020年 『続 暗黒大陸中国の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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