積木の恋 (プラチナ文庫)

著者 :
  • フランス書院
4.04
  • (87)
  • (96)
  • (50)
  • (8)
  • (4)
本棚登録 : 671
感想 : 56
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829625163

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 終盤でリアルな第三者というか世間の反応の描写にぶつかってちょっと、いやかなり、落ちてもうた…けどもほんまええ話やった〜!

  • 『心に傷を持った捻くれた人物が、不器用ともいえる朴訥で一途な人物にほだされて行く』という、あるあるパターンでしたが、二人どちらの心情もわかるわ~。良かった。登場した女子・万里さんが蓮くんと友達になれそうで好印象。ただ、クリスマス編が、おばあちゃんとの事をレストランの経営者夫婦に誤解されたままで終わってしまったのが悔しくて不満。

  • たとえ裏切られても飢えない想い、それが本当の愛です。
    詐欺師であった蓮からの酷い仕打ちにもかかわらず、出所する日を調べて待っていてくれた加賀谷。
    俯いて凍てつく雪道を歩き出した蓮が加賀谷を見た時、驚愕や恐れと一緒に愛を感じたのではないでしょうか。蓮にとって幼い頃から与えられなかった温かさを加賀谷は無償で与えてくれます。
    丁寧な文章で綴られたお話を読み終わって、聖書の言葉がふと浮かびました。
    愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず高ぶらない。
    この世で最も強いもの、それが愛だと思います。
    朝南さんのイラストも繊細な容姿の蓮と真面目で慈愛に満ちた加賀谷の雰囲気そのままでした。
    表紙の印象的な白い馬がお話の中に出てきた画集の馬だそうです。
    本物の絵が見たくなりました☆

  • 2011年11月14日 開始、読了

    主人公の生い立ちや職業、そのことに対する意識の変化、後悔して真っ当に生きようとしてもそれを許さない周りの環境など、丁寧で緻密な描写にぐいぐい引き込まれる。
    読み終わった後、主人公には本当に幸せになって欲しいなと祈るような気持ちになった。
    切甘が好きな人にオススメ。

  • 読んだ作品中一番好きな物語。
    主人公の名前とかも併せて。

    結婚詐欺師ならぬ「恋愛詐欺師」の五十嵐蓮。幾つも場数は踏んで来た。紙一重で訴えられる事無くうまくやってきたつもりだった。加賀屋に出会うまでは。
    総合病院の長男の加賀屋聡、見るからに人が良さそうなカモ。蓮は可哀想な生い立ちを語り金を引き出し、いつものようにドロンを決め込むはずが加賀屋にだけは罪の意識がついて回る。

    互いに抱えている相手への「嘘」と「真実」。
    蓮が半世をリセットするきっかけを与えてくれたのは加賀屋の深い慈しみがあったから。

    しかし。それだけで終わらせないのが凪良さん。
    後編の方がキツい。エグられる。ひとと争うこと、素直に意思を伝えることが出来ない蓮に切なくてたまらない。
    加賀屋でよかった。怒るじゃなく叱る、淋しいをキチンと教えてくれる相手でよかった。

  • 医大研究員×詐欺師。

    恋愛詐欺師の受けは攻めをターゲットにして、恋人として付き合うことに。攻めを好きにるほど罪の意識が芽生えはじめて…。攻めも受けにある罪の意識を持っていた、というのが帳尻あわせじゃないけど自分的には昇華できて良かった。
    あと、攻めがイケメンではないけど清廉でクリーンなイメージが読んでいて心地よい。ちょっとヘタレなのにきめるポイントは外さないのも良い。

    受けは不幸な生い立ちから、お金を騙しとる詐欺師になってしまったんだけど、読んでいて不快ではない。むしろ、隣室の虐待している親や、出所後のバイト先の家族にムカついてしまう。まー、前科者の受けは甘んじて受け止めないといけないとは思いつつ、せめて説明しないと信頼もなにもないじゃない。

  • 嫌いじゃないし良かったけど、凪良さんだーって読んだので、物足りなさを感じた。
    凪良さんのいわば原点に近いお話だと勝手に思うので、そういう意味では、今の凪良さんと比べてはいけないと知りつつもつい比べてしまった。

  • この作家さん、いいなぁ……
    痛すぎず、それでいて何気に切ない部分が萌えだわw

  • 両極端な人生を送ってきた二人のゆっくりと進む恋模様が心地よく、幸せになってよーと願わずにはいられませんでした。
    人は、知らず知らずのうちに自分に欠けているものや足りないものを持っている人を好きになるのかなーと感じました。

  • 綺麗で危うくて痛々しい愛を信じられない恋愛詐欺師蓮と、彼のターゲットとなったお金持ちのお坊ちゃん加賀谷。
    孤独で捻くれた男が不器用で真っ直ぐで純粋な思いに解きほぐされていく…というある種王道の展開ですが、蓮の深い孤独、心のひだが丁寧に描かれていく展開が穏やかであたたかい。
    人の気持ちに深く寄り添う優しさが溢れていて、蓮と加賀谷、どちらもいとおしくなりました。

    本編は130頁程度のボリュームなので展開がやや性急に感じたのが少し残念だったかな?
    無事結ばれた後も蓮の抱える根深い痛み、加賀谷の家族との問題、元犯罪者の前科者であるという罪は消える事も無く、世界は二人のために全てに都合がよく優しく回るわけでは無いというシビアさがリアルで突き刺さります。
    レストランオーナーとの誤解が解けないままなのはとても辛いのですが、みんながみんな善人なわけでも何もかも受け入れてくれるわけでもないし、人はそう簡単には変われないけれどそれでも生きていくしか無いんだよなぁと。
    恋人である加賀谷は勿論、信頼して話が出来る同世代の友人、万里に出会えて良かったね、という気持ちでいっぱい。
    詐欺師として偽りの生を生きていた蓮の本名が「透」なのも印象深いです。
    家族であり友人であり恋人である、そんな存在になりたいと告げて「透くん」と忌み嫌い逃げ続けてきたその名前を優しく呼んでくれる加賀谷のぬくもりが穏やかで心地よかったです。

全56件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

凪良ゆうの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×