累る-kasaneru- (プラチナ文庫)

著者 :
  • プランタン出版
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本棚登録 : 258
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829626016

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わって、もう胸がいっぱい…
    異母兄弟ものなんだけど、そこに謎めいた夢が絡んでいて、それが単なる近親ものから眩暈を感じるような前世の因縁と結びついて、思わぬ方へ展開していくお話です。
    大学生の異母兄弟である七緒と奏人の交互視点で、4部構成+SS、「秘密」「累る」の章ごとでテーマがリンク。両方の心情がはっきり伝わってきました。
    センセの作品では毎度の事ですが、一筋縄ではいかないストーリーテラーぶりで、話の世界に引きずり込まれて後半は涙が止まらず…

    奏人と七緒の生い立ちには酷く辛いものがあったけど、悪夢にうなされる原因がさらにミステリアスで、痛ましかったです。
    まさしく悲恋なんですよね…陵辱や信頼していた男の裏切りなど様々な非道への怒りや悲しみも結局届くことのなかった前世での無念をひしひしと感じます。
    四郎の悔やみきれない思いとオワタリさまの純粋な思いが、ナナホシと重なって切なくなりました。

    夢に苦しめられ、現実にも秘密を抱えてしまった奏人と七緒なんですね。相手を守りたいから、愛してるから起こってしまった悲劇だけど、それが奏人に自分の生き方を決意させたんでしょうね。
    夢から解放されて、二人の絆はさらに強くなったように感じられました。平穏にラブラブで暮らしてほしいです!

    笠井あゆみセンセのイラストが、物語の妖しい雰囲気をたかめてくれてステキでした。ダークでファンタジー入った世界観に欠かせない方ですね。
    エロ的にも大変萌えました。禁忌愛たまりません。キスだけでもすごく萌えたのに、奏人のはじめてHのつたなさとがっつき具合にまた萌え。
    オワタリさまの陵辱シーンは描写控えめでしたが、心ははげしく痛みました…控えめなのに、痛い描き方ってのが一番すごいです。
    心に残る異母兄弟&輪廻転生ものでした。

  • 日常切ない系のものでしか凪良先生を知らなかったので、こんなに仄暗い作品も書かれるんだなとびっくりしました
    仄暗い切甘...良質なBLを読めました...

  • オワタリさんの心が綺麗で苦しかった。
    途中で止められず一気読みしてしまいました。

  • はじめてこのようなジャンルの本を読んだので、内容はともかく挿絵があることに驚き、そして背後注意に驚きました。

  • 七緒がいなかったら奏人は生きてこられなかったかも。悲しいけれど、そう思わずにはいられない環境。だからこそ、ちゃんと出会えて良かったとも思う。お互いしか見ていない関係というのも、心配になるところはあるけれど。七緒のことを一番に考える奏人と、奏人を一番に考える七緒。「普通ではない関係」なのかもしれないけれど、これ以上ないくらい幸せなのだろうな。と思った。

  • 前世ものはお手軽にドラマチックな分、作者の力量が問われる題材だと思う。
    現世と前世どちらかに比重が多すぎてもダメだし、かといってどちらにも力を入れすぎて別の物語・キャラクターになってしまっても失敗。
    そんな中、やっぱり凪良さんは上手い。現世主人公たちの切ない過去と、それらを経て恋愛関係に至るまでを追いつつ、ちゃんと読者に前世カプにも感情移入させるように、その悲劇的な運命を上手く物語に絡めて描いていた。
    山場の暴走した村人エピに、物語を収束するための力技的なものを感じないではなかったが、積み重ねてきたエピソードのおかげでラストのハッピーエンドが生きた。途中、こらえきれずに落涙。二人が幸せになって本当に良かった…。
    表紙はエロエロだったものの、挿絵は意外にも心情を強く表すシーンばかりでこれまた良し。そして美々しい。
    虐待や前世での末路など、目を覆うばかりの描写が間接的にあるので、グロ・近親相姦が少しでも地雷な人は避けた方がいいかもしれません。
    でも自分は好き。なんで今まで敬遠していたのだろうと後悔しました。

  • 父親の隠し子と愛人の病気(のちに死亡)のため引き取られてきて兄弟として暮らすように。

    ほんと父親がクズではらわた煮えくり返りまくり。
    お母さんが隠し子だった奏人を虐待するのもつらい。
    虐待はいかんけど、お母さんもつらいよなぁ~!
    ほんとお父さんがクズ。

    ほどなく海難事故でお母さんも亡くなり、
    父親は自分勝手なので兄弟二人で
    身を寄せ合うようにして暮らします。

    単に近親相姦ものかなと思ってたら、
    ここから不思議な夢を見るようになり、
    俄然和風ホラー物へと話は進んでいきます。
    「オワタリ様」という呼び名で
    丁重に守られているはずの男巫女が
    実際には監禁され集落の慰み物になっていたという
    内容的には割と王道な感じの和風ホラー。

    兄がオワタリ様の生まれ変わりで、
    弟がその世話係の生まれ変わりなのです。

    細やかに描写されてはいるものの、
    輪姦等の陰惨さは直接的ではなく、
    主軸はきちんと恋愛ものなので読みやすいかと。
    (逆に陰惨さを求めると生温いと思う)

    オワタリ様を愛していて助けたかったのに
    オワタリサマのために殺人を犯し、
    悲惨な最期を迎えさせてしまい、
    自分自身はもっと悲惨な死を迎えます。
    でもこの辺も一番グロいところは
    フェードアウトなので読みやすいかなと思います。

    前世に苦しんで元凶の村へ行ったら、
    当時の村民がまだ存命で襲い掛かられたのが
    一番怖かったです。
    前世より今が一番怖いですから…。

    兄弟二人で結ばれることも
    前世の苦労を思えばそれぐらいいいじゃんと
    許せてしまったし、何よりも
    クソオヤジに二人の関係をばらして
    鬱憤(私の)を晴らせたのはスカッとしましたw
    でもクソオヤジはモテるので再婚するんですよね…。
    それが腑に落ちないし悔しいです。

    読みやすくてほどよく楽しめる和風ホラーでした。
    でも和風ホラー嫌いな人はダメかな~。
    後、表紙と口絵のエロさに期待した人は
    がっかりするほどエロがないと思います。
    ラストに吹っ切れたエロがあるかと思ったよね…。

    kindleで読みましたが、口絵はカラーの絡み絵で
    股間が真っ白に抜かれてました。紙もかな。

  • 久しぶりの黒凪良だった。
    もうガッツリと

    途中で止める事が出来ず一気読み。
    純愛だね。これは
    読んでてツラく苦しくなったけど
    オワタリさまの純粋な思いに救われた。

  • まさか凪良センセと笠井絵師のコラボが読める日が来ようとは。読んで納得の絵師さまでした。しかも転生もの、マジ兄弟、モブレ…引き出しの多さに平伏。痛々しいけど、全く不愉快ではないのは流石だなぁと思いました。

    腹違い兄弟の弟攻め。兄弟以外みーんな悪者w受けの母親が父の不倫の子・攻めを引き取って虐待。だけど頑として弟を守るお兄ちゃん受け、マジ天使。

    前世の、村人に巫女という名目で性奴隷のように扱われ軟禁されている受けと、口が聞けない世話係の攻め。ナナホシテントウがこれまた話に花を添えている。

    ホラーミステリ要素がちりばめられて良かったです。

  • すごく興味をそそられる構成で、でもすごく不穏な雰囲気も感じてドキドキしながら読み進めました。ぐいぐい惹き込まれて恐ろしさも感じつつ先が気になって一気に読んでしまいました。終盤はふたりのお互いを想う気持ちにとても胸がいっぱいになりました。終わり方もとてもよくてホッと安堵しました。

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著者プロフィール

1973年生まれ、京都市在住。2007年、BLジャンルの初著書が刊行され、デビュー。17年『神さまのビオトープ』を刊行し、高い支持を得る。19年『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で「本屋大賞」を受賞する。同作は、22年に実写映画化された。20年『滅びの前のシャングリラ』で、2年連続「本屋大賞」ノミネート。22年『汝、星のごとく』で、第168回「直木賞」候補、「2022王様のブランチBOOK大賞」「キノベス!2023」第1位に選ばれ、話題を呼ぶ。翌年、同作の続編にあたる『星を編む』を刊行した。

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