- Amazon.co.jp ・マンガ (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784832265554
感想・レビュー・書評
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この漫画のテーマは「距離感」と「ディスコミュニケーション」だと思う。
小坂俊史と重野なおき。ともに昨今巷に氾濫するいわゆる萌え系美少女四コマジャンルとは一線を画する、ある意味で手堅くスタンダードな四コマギャグを描き続けてきたベテラン作家。
そんな二人がタッグを組んで世に送り出した共著「ふたりごと自由帳」は、ほのかにしょっぱくほろ苦く、悲喜こもごもの人間模様が淡白な中にもぎゅっと凝縮された贅沢な一冊。
頭をからっぽにして読める話やからっと笑える話をお求めの方には向かないかもしれない。なぜならこの本は、喜怒哀楽の哀と楽の中間のような感情を底流としている。
この本に出てくる人々は少なからず人間関係に悩んでいる。しかしその一つ一つはとりたてて重大な悩みではない、人間だれしも体験する漠然とした寂しさ……「人間やってるなら避けて通れないよね」となんとなく納得しちゃうようなものである。
そこで取り扱われるのはディスコミュニケーション、人と人との微妙な距離感。
友人、恋愛、仕事……さまざまな題材を扱った中で、もっとも印象に残ったのは家族の死を扱った話。
その中で登場人物がポツリと呟く一言にずしんとくる。
「よく知らないひとの葬式ほど哀しいもんなんだね」
「お母さんがあの電車に乗ってなくてよかった 静かにしてあげられて本当によかった」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四コマギャグ漫画家2作家による、同人ショートショート作品集。
本人達曰く“笑いを意識しないものを目指した、しみったれたショート集”との事ですが、ギャグでもブラックでもシュールでもなく、叙情的で余韻が残る作品群でした。
コミックなのに、なんとも言えない読後感。
万人受けはしないかもしれないけど、個人的にはオススメ作品。
ただ両氏のギャグ漫画を知った上で読んだ方が、味わい深いと思われます。 -
圧巻。「遠野モノがたり」「中央モノローグ線」と小坂俊史を辿ってきたけれど、いちばん剥き出しのものすごさ。やろうとしている事はある意味高野文子とかにも接近してるんじゃないかな……。
特に終盤の「死」三部作→「足跡読み」までの流れは鳥肌が立つ。こんなに冷徹に、でも決定的な真実を、ここまでも見事に。ほんとにすごい。うわあああ……。
初めての出会いだった重野なおきは、小坂の「わびれ」を救うような、ストーリー巧みなハートウォーミング路線。絵も可愛らしくて、笑っちゃうようなアイデアの数々が楽しかったです。 -
小坂先生が好きで買ったんですけど、重野先生編も面白かったです。苦手になったきっかけを忘れた今、この本を読んだのは正解でした
小坂先生編はしっとりきれいなイメージ。
重野先生編は爽快に甘いようなイメージ。 -
恋愛アンソロジー?的な内容。小坂俊史には珍しい題材と思って読んでみました。なるほどと思える作品もあるものの、オチが理解しにくいものもあり、全体として今ひとつ。元は同人誌で発表したものが中心らしいので、コアな小坂ファン向き。重野なおきの他作品は知らないけど、本書の作品は、どれも手堅くまとめられている感じで可もなく不可もなくといったところ。
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正統派四コマ日本代表のツートップが、
同人誌に発表した実験作をまとめたもの。
作風をガラリと変えるのみならず、四コマ形式から離れたショートストーリー多数収録。
小坂パートのバラエティ豊富な引き出しには瞠目せざるを得ない。
愛情、友情に潜むドラマが僅かな音をたてる瞬間を切り取ってみせる手腕にため息。
別離、さらには死別までを四コマに落とし込む眼差しの強靭さに嘆息。
重野パートは、甘酸っぱかったりほろ苦かったりする恋愛ばなしがメイン。女子の愛くるしさと相まって読み応えがあります。学生時代を思い出すというか。 -
四コマ界のビッグネーム二人が同人で発表してきた作品を一部焼きなおして収録したもの。
普段とは違う両氏それぞれの一面にファンでも思わず感嘆のため息をついてしまう、素敵な一冊。 -
4コマでキュンってなる。
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2007年度個人的ベストオブ漫画。
グッティーの重野氏と先生になれませんの小坂氏が同人即売会コミティで出していた同人誌を採録した物。
重野氏の漫画の安定感もさるものながら、小坂氏のちょっと毒が入った4コマが秀逸。
4コマ好きで両氏のファンなら間違いなく買い。
つーかそんな人はもうもってるか。
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小坂俊史パートが秀逸。
小坂は、やっぱり4コマよりショート・ショートの方がいいのではないか。
重野なおきパートは色恋ネタが多くて、あんまり大したことはなかった気がする。