パスポート学

制作 : 陳天璽  大西 広之  小森 宏美  佐々木 てる 
  • 北海道大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784832968233

作品紹介・あらすじ

本邦初,まるごと一冊パスポートを考える書。豊富なカラー写真と共に世界各地のパスポートをみながら,その多面的な意味・役割について考える。様々な身分証明書,歴史との関わり,制度を規定する法律,無国籍や難民・移民の問題なども交え,体系的に考える。

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  • 考える人の最終刊 2017年春号に著者筆頭の陳氏の紹介記事があって興味を持った。が、高いな。図書館かな。鶴舞にあるみたい。

  • 様々な身分証明書,歴史との関わり,制度を規定する法律,無国籍や難民・移民の問題なども交え,体系的に考える。

  • 【書誌情報】
    『パスポート学 』
    [編]陳天璽・大西広之・小森宏美・佐々木てる
    判型: A5 並製
    頁数: 292
    ISBN: 978-4-8329-6823-3
    Cコード: C3036
    発行日:2016-10-25
    定価: 3,456円 (本体3,200円+税)

     本邦初,「パスポート」についてとことん追究する書。いまや身近な存在となったパスポートであるが,実は非常に多面的な意味や役割をもつものであり,各章ごとにさまざまな視点から解く。
     第1章では世界各地域のパスポートを豊富な写真と共に解説し,その多様さ,多機能さの背景となった各国の事情も紹介する。第2章では日本のパスポートの歴史的変遷を,日本の国境の変化にも触れながらたどる。第3章では船員手帳,母子手帳,在留カード,再入国許可書など旅券以外の身分証明書をみる。第4章ではパスポートの有効性を規定する法律やパスポート制度の成立の歴史を示し,出入国審査の現状と今後や,日常生活に溶け込んだパスポートについても考察する。第5章ではパスポートと国籍や戸籍との関係,難民や移民の問題とのかかわりについて考える。第6章ではパスポートと人々の関係の多重性・不均衡・ねじれなどについて,各人各様の物語からみていく。終章の座談会では研究対象としてのパスポートの魅力について,将来的な課題も含め,編者の自由な語りで読者を惹きつける。
     日本から出国する人の数は,2015 年には1600 万人に上った。これらの出国者はみな,パスポートないしそれに代わるものを使って国外に出て,帰国時にも同様の手続きを行う。それはもはや日常的な風景かもしれないが,なぜそうした手続きが必要なのか,そして国を出入りすることにはどんな意味があるのか。本書はこの根本的な問いに答え,パスポートについて体系的に考える手がかりを提供する。
    http://hup.gr.jp/modules/zox/index.php?main_page=product_book_info&products_id=930


    【目次】
    写真:各国のパスポート(①~㉝) [i-ix]
    はじめに(編者) [v-viii]
    目次 [ix-xiv]

      第I部 パスポートを視る 001
    第1章 世界のパスポート 003
    1.1 ヨーロッパのパスポート 004
      1.1.1 EU(ヨーロッパ)とドイツのパスポート 004
      1.1.2 イギリスのパスポート 008
      1.1.3 フランスのパスポート 014
      1.1.4 南欧 (スペイン、ポルトガル)のパスポート 018
      1.1.5 旧ソ連のパスポート 021
      1.1.6 旧ユーゴスラビアのパスポート 027
    1.2 アメリカのパスポート 031
      1.2.1 アメリカ合衆国のパスポート 031
      1.2.2 カナダのパスポート 033
      1.2.3 ペルーのパスポート 036
    1.3 アフリカのパスポート 041
      1.3.1 アフリカ人移民のパスポート
    1.4 中近東のパスポート 047
      1.4.1 アラブ諸国のパスポート
    1.5 アジアのパスポート 052
      1.5.1 韓国と北朝鮮のパスポート 052
      1.5.2 香港のパスポート 057
      1.5.3 タイのパスポート 062
      1.5.4 ミャンマーのパスポート 068
      1.5.5 マレーシアのパスポート 072
      1.5.6 ネパールのパスポート 079
      1.5.7 インドのアイデンティティ・サーティフィケート(IC) 085

    第2章 日本のパスポート 093
    2.1 通行手形 094
      2.1.1 通行手形とは 094
      2.1.2 往来手形 095
      2.1.3 関所手形 096
      2.1.4 管理システムとしての手形 099
      2.1.5 移動と本人確認 100
    2.2 偽文書と身分証明 100
      2.2.1 職能民の身分証明書 100
      2.2.2 さまざまな職の由来と権利 102
      2.2.3 偽文書を介した人の関係 103
    2.3 居留地制度下における外国人の内地旅行免状――国内旅行のパスポート 104
      2.3.1 外国人居留地と遊歩区域 104
      2.3.2 内地旅行制度の確立 105
      2.3.3 内地旅行の条件緩和 106
      2.3.4 外国人居留地と内地旅行免状の終焉 107
    2.4 戦前のパスポート 108
      2.4.1 賞状型のパスポート 108
      2.4.2 手帳型のパスポート 111
      2.4.3 移民と旅券 112
      2.4.4 戦後の旅券 113
    2.5 本土から切り離された地域とパスポート――奄美・小笠原・沖縄 116
      2.5.1 行政分離された地域とはどこか 116
      2.5.2 行政分離された地域の日本復帰 117
      2.5.3 特別地域と本土との往来制限と密航 117
      2.5.4 特別地域への渡航のための「身分証明書」 119
      2.5.5 琉球から本土への渡航手続き 120
      2.5.6 琉球住民の法的立場の確立と渡航手続きの整備 121
    2.6 日本が発行する現在のパスポート 123
      2.6.1 日本国旅券 123
      2.6.2 日本国政府の発行する旅券に代わる証明書 124
      2.6.3 北方領土との渡航文書 126

    第3章 移動と身分証明書 129
    3.1 越境とさまざまな身分証明書 130
      3.1.1 越境する人々と身分証明書 130
      3.1.2 身分証明書に対する信頼とその役割 130
      3.1.3 身分関係および居住関係の証明 131
      3.1.4 身分証明書をめぐる最近の動向 132
      3.1.5 身分証明書の今後 133
    3.2 出生届と母子健康手帳 134
      3.2.1 出生届と子どもの国籍
      3.2.2 妊娠・出産と非正規滞在
      3.2.3 妊産婦手帳の誕生と歴史 137
    3.3 外国人登録と在留カード 141
      3.3.1 日本に暮らす外国人――その登録と管理 141
      3.3.2 外国人登録制度 142
      3.3.3 新しい在留管理制度 144
    3.4 もうひとつのパスポート「乗員手帳」 147
      3.4.1 船員手帳 147
      3.4.2 国際航空乗員証明書等 149
      3.4.3 乗員手帳に準ずる文書 150
    コラム 日本国 「再入国許可書」 と私 150


      第II部 パスポートを考える 157
    第4章 パスポートの概念・理論 159
    4.1 パスポートとは? 国籍とは? 160
      4.1.1 パスポートを規定する法律 160
      4.1.2 国籍を規定する法律 162
    4.2 パスポートの歴史 166
      4.2.1 革命とパスポート 166
      4.2.2 パスポートコントロール緩和の要因 169
      4.2.3 20世紀のパスポート 170
      4.2.4 複数国籍時代のパスポート 170
    4.3 パスポートの機能と入管政策
      4.3.1 出入国審査とパスポート 171
      4.3.2 パスポートの国籍証明機能 173
      4.3.3 国籍を証明できないパスポート 175
      4.3.4 パスポートの未来 176
    コラム パスポートの表象 178
      インフォーマルなパスポートがもつ機能
      生存する人以外に発行されるパスポート
      映画で描かれているパスポート
      社会におけるパスポートの表象

    第5章 パスポートをめぐる政治 185
    5.1 パスポートとアイデンティティ 186
      5.1.1 アイデンティティとアイデンティフィケーション 186
      5.1.2 ある華人の生活史 187
      5.1.3 制度とアイデンティティ 189
      5.1.4 国籍変更とアイデンティフィケーション 190
      5.1.5 アイデンティティの政治性 192
    5.2 複数国籍, 無国籍, 無戸籍 192
      5.2.1 個人と国家を法的につなげる国籍, 戸籍 192 
      5.2.2 血統主義と生地主義 193
      5.2.3 複数国籍 194
      5.2.4 無戸籍と無国籍 196
      5.2.5 国籍・戸籍というシステムの有効性 200
    5.3 海外渡航の自由とパスポート 200
      5.3.1 パスポートをめぐる法制度 202
      5.3.2 海外渡航の自由への制約 今昔
    5.4 難民 206
      5.4.1 「難民」の定義とその数 206
      5.4.2 難民条約以前の難民に与えられたパスポートとビザ 207
      5.4.3 難民条約における保護 越境の条件化, 難民の身分証明書
      5.4.4 入国管理の厳格化と越境避難の困難化 211
    5.5 移民 212
      5.5.1 ヨーロッパでの2015年移民危機 213
      5.5.2 移民・難民とパスポート 215
      5.5.3 移民をめぐるメソ構造 216
      5.5.4 歓迎される移民 歓迎されない移民 217

    第6章 人とパスポートの関係 219
    6.1 日本人移民とパスポート 220
      6.1.1 パスポートと移民の歴史 220
      6.1.2 移住地の 「万葉集」にみるパスポート
    6.2 中国帰国者と身分証明 224
      6.2.1 中国帰国者の移動と身分証明 225
      6.2.2 ライフストーリーにみる身分証明とアイデンティティ
    6.3 帰化・国籍取得 230
      6.3.1 「帰化」とは何か 232
      6.3.2 帰化を申請する人々の想い 233
      6.3.3 日本における帰化の現状 235
    6.4 アスリートにみる国籍選択の背景――トンガ人の事例を中心に 236
      6.4.1 ラグビーブームと問われる選手の国籍 236
      6.4.2 初代トンガ人ラグビー留学生の来日の経緯 238
      6.4.3 日本居住者としてのトンガ人ラグビー選手 239
      6.4.4 ラグビー選手の帰化の動機 241
    コラム あなたはだれ?――パスポートが覆う,そのむこうの景色 243

    座談会 パスポート学の射程 251

    参考文献 [261-265]
    人名索引 [267-272]
    執筆者紹介 [273-274]

  • 東2法経図・開架 329.9A/C38p//K

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著者プロフィール

早稲田大学国際学術院国際教養学部 教授,博士(国際政治経済学)
おもな編著書・論文等 『無国籍』(新潮社,2005年),『忘れられた人々――日本の「無国籍」者』(編著,明石書店,2010年),『東アジアのディアスポラ』(駒井洋監修,小林知子との共編,明石書店,2011年),「日本における無国籍者の類型」(『移民政策研究』第5号,2013年)など。


「2016年 『パスポート学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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