科学による反革命: 理性の濫用 (思想史ライブラリー)

  • 木鐸社
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833202374

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  • サン=シモンを嚆矢とする社会学は、社会という人々の集団を、自然科学のモデルように固有の全体的法則性を持つものと考え、それを計画的に操作することを可能であるとした。それは史的発展論の土台を提供し、科学ではなく過度の理性信仰である科学主義をもたらし、社会を脅かした、とハイエクは指摘する。

    サン=シモン主義者、特にコントは社会学の楚として有名であるが、そもそも社会学、あるいは社会科学というのはどのような限界性を持ち、どこまで言及できるものなのか。社会に対して社会学の成果をどのように工学的に反映することができるのか。ハイエクは根源的な問いを投げかける。

    その反面、ハイエクの限界性も明らかになる。全てが人間に規定されて動いている以上、全く自由な人間同士の行動から現れる法則性を観察することは不可能である。人間同士の関係性の中で全く自由な人間などいないからだ。

    社会を学問的にどう捉えるか、ということを考える上で一つの視角を提供してくれる一冊。

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著者プロフィール

1899~1992。ミーゼスとともにオーストリア学派の資本理論を展開。景気研究所の所長を務め、『貨幣理論と景気循環論』『価格と生産』を出版。市場制度擁護の論陣を張り、計画経済・ケインズ主義・福祉主義を批判。第二次世界大戦後に渡米。シカゴ大学で『自由の条件』を出版。法思想家・心理学者の顔も持つ。後に帰欧。

「2021年 『自由の条件Ⅲ 福祉国家における自由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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