人間学講話第3集 論語の活学 (安岡正篤人間学講話)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833412995

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  • 教科書に出てくる論語とは違う生きた人生訓がある

  • ”安岡正篤先生の研修会での講義録が中心。
    論語の読み方、味わい方、そして活かし方を学ぶ一冊。

    特に心にひっかかったのは以下のくだり。
    ・「倦む」→「やり直す」の繰り返し
    ・「孝」という字の真の意味は「連続・統一」(⇔ 疎隔・断絶)。それによって革命が成功する
    ・「忠恕」は、<一切を包容して、一切を進歩向上させてゆくのが大いなる造化の働きである>ことを意味する

    <読書メモ>
    ・東洋人は、…特に…中国民族は、ただ単に理想を前にかける、次代に望む、というだけでは満足できない。…過去を通して未来を考えておるのです。(p.62)

    ・えびというものは、生きておる限り殻を脱ぐ。…ということは、えびというものは、常に新鮮柔軟であるということです。だからめでたいのである。(p.70)

    ★私自身を考えてみても、始終倦む。ただ私は論語などを読んでおるものですから、自ずからこういう「倦むこと無かれ」というような語が頭に浮かんできて、またやり直しただけである。そういう意味から言うても、人間というものはやはり教えが与えられておらぬといけない。(p.81)
     #安岡先生にして! 倦む→やり直す のサイクルを実践。

    ・「明哲保身」という語があります。…善人でも本当によく出来た人は、むざむざ悪党の手に引っかかることがなくて、身を全うする、というのが本当の意味である。(p.95)
    ※晏子や子産

    ・人間は必ずしも知の人でなくてよろしい。才の人でなくてもよろしい。しかし、どこまでも情の人・愛の人でなければなりません。(p.110)
    ※慈悲・仁愛の心

    ・論語読みの論語知らず(p.129)
     人間というものは自分でわかったような心算(つもり)でも、なかなか本当のことがわからぬものである、ということが論語に徴して吾れ自ら、しみじみ感ぜられるという自分の体験をお話しするわけであります。

    ・「聡というのはどういう意味であるか、などというような講釈ならだれでもできる。(略)聡明叡智にしても、殿が藩を治められるうえに於て、どんなにお聞き誤りがなかったか、あるいはどんなに物事の見誤りがなかったか、といった殿ご自身についての講釈を承りたいのです」と。(p.163)
     #人間塾っぽい。大沢勘太夫 氏と三輪執斎先生との会話から。

    ・その「疎隔・断絶」に全く反対の「連続・統一」を表す文字がこの「孝」という字です。老、即ち先輩・長者と、子、即ち後進の若い者とが断絶することなく、連続して一つに結ぶのである。そこから「孝」という字が出来上がった。そうして先輩・長者の一番代表的なものは親であるから、親子の連続・統一を表すことに主として用いられるようになったのである。(p.172)

    ・革命のごときものでも、その成功・失敗は一にここにかかっておる。一昨年、百年を迎えたわが明治維新は、革命の中の大成功の例であるが、…(略)
     その立派に行われた理由の第一は、先輩・長者と青年・子弟とがあらゆる面で密接に結びついたということです。人間的にも、思想・学問・教養というような点においても、固く結ばれておる。徳川三百年の間に、儒教・仏教・神道・国学といろいろな学問・教養が盛んに行われ、またそれに伴う人物の鍛錬陶冶があったところに、西洋の科学文明、学問・技術がはいってきたために両者がうまく結びついて、ああいる立派な革命ができたのです。(p.172-173)
     #ソ連・中国、アフリカ・東南アジア の革命・建設との対比として。断絶・反抗・闘争ではいかんのだ、と。

    ★人間は進歩しようと思えば、統一がなければならない。(略)つまるところは先輩・後輩と長者・少者の連続・連結の役目をなすものでなければならない。要するに「孝」という字は、単に親を大事にして、親に尽くすという意味だけではなくて、<親子・老少、先輩・後輩の連続・統一を表わす文字>である(p.174)
     #連続・統一! ⇔ 断絶

    ・「忠」一字だけでも、「恕」一字だけでも、時どき使われておるけれども、<一切を包容して、一切を進歩向上させてゆくのが大いなる造化の働きである>から、どうしても「忠恕」でなければならん。(p.184)

    ★答案はちゃんと論語や四書五経の中に書かれてある。書物を読んでも、すぐ実社会の問題に結びつかないような読み方は駄目でありまして、こういうのを死学問・死読と言う。我々はすべからく活学・活読でなければならん。また本当に自分の思索とか、体験とかいうものが生きておれば、自ずから現実の問題に結びつくはずでありまして、今日の経済問題も、その点から言えば決して珍しいことではない。わかり切ったことである。(p.205)
     #これぞ、論語の活学!

    ・日本でも昔の人はよく泣いております。(p.216)
     #「感激を失った民族は衰退する」より。

    ・子曰く、人の過つや各々その党においてす。過を観てここに仁を知る。〔里仁第四〕
    党は類といってもよい。人は善かれ悪しかれ、その人らしい振舞いをするものである。ことに善功よりも、むしろその過失の方によくその人柄が現れる。(p.231)


    <きっかけ>
     第23回 人間塾課題図書。”

  • 人々はみな「利」を追って暮しているが、利を求めてかえって利を失い、利によって誤られ、際限もなく怨みを作っている。それは利とは何かを知らないからである。「利の本は義」「利は義の和なり」したがって本当に利を得ようとすればいかにすることが「義」かという根本に立ち返らなければならない。これは法則である。人間はいざ成功すると容易に頽廃・堕落する。これはいつの時代でも同じで人間は性懲りも無くこれを繰り返している。達人は性格が真っ直ぐで名や利を好まず、人間がいかにあるべきかまた為すべきかという義を好む。

  • 友人に借りました。難解な論語をわかりやすく解説してあり、私にも良く理解できました。

  • 重読

  • 13.8.17 プレジデント 小宮氏が重読する書籍

  • 小倉広氏の影響で、古典を読んでみる。40代、50代になるともっと共感する部分が出てくるのではと思う。わかりやすく説明されており、古典の入門書としては良い。

    【学】
    三大聖人:ソクラテス、釈迦、孔子
    キリストを加えると四大聖人

    君子、多能を恥づ

    人物たるや一番根本に携わっておかなければならないのは気力

    天命を知らないと、本当の人間にはなれない

    健康に一番悪いのは、私心私欲で腹を立てること

  • 内容としては孔子とか昔の偉人の考え、振る舞いを現代に活かそうというもの。以外にスラスラよめる。ただ、論語原文は不明w

  • 深い深い論語の解釈。味がある「人の己を知らざるを憂えず、己人を知らざるを憂う」「「勇を好むこと我に過ぎたり。材を取る所なし」の解釈に合点がいった。

  • 高校時代の漢文の授業からは学ぶべくもなかった「大人のための」論語ですw

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著者プロフィール

明治31年大阪市に生まれる。
大正11年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業
昭和2年に金鶏学院を設立。
陽明学者、東洋思想家。
終戦の詔の起草者の一人。
昭和58年死去

著書
『易學入門』『全訳 為政三部書』『東洋思想と人物』『暁鐘』『王陽明研究』『陽明学十講』『朝の論語』『東洋学発掘』『新編 経世瑣言』『新憂楽志』『老荘思想』『古典を読む』『人物・学問』『光明蔵』『政治と改革』『古典のことば』『この国を思う』『儒教と老荘』『旅とこころ』『王陽明と朱子』『人間維新Ⅲ』『憂楽秘帖』『明治の風韻』『天子論及び官吏論』(明徳出版社)

「2000年 『人間維新 III』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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