企業参謀―戦略的思考とはなにか

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833416948

作品紹介・あらすじ

手本と解答がない今、成功へのプロセスは自らが考えださなくてはならない。オピニオンリーダーとして、常に最先端で活躍を続ける著者の最善解を導きだす思考法を全公開。

感想・レビュー・書評

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  • ・ものの本質を考えるために、設問のしかたを解決志向的に行うこと。
    ×「残業を減らすにはどうすればよいか?」
    →ありきたりな回答しか出てこない。
    ○「当社は仕事量に対して十分な人がいるのか?」
    ○「当社は仕事の量と質に対して人間の能力がマッチしているのか?」

    ×「売り上げを伸ばすためにどうしたら良いか?」
    →ありきたりな回答しか出てこない。
    ○「シェアが伸びていないのか、マーケットサイズは増大しないのか、シェアを増やす方法ないか、シェアの決定要因は何か」

    ・現象から実行計画を立案しないこと。正しくは、現象→グルーピング→抽象化→アプローチ設定→解決策と思われる仮説設定→分析により仮説の立証または反証→結論→具象化→実行計画立案→実行。

    52マーケの強い会社は分析をルーチンワークで行えるよう、一定間隔で情報収集をやっている。
    分析のための情報収集を断片的に、思い出したようにやっている会社はマーケティングがあまり得意ではないはずで、断片的な分析や知識では正しい経営戦略は出てこない。万一できてもそれは運。必勝を期す戦略的思考家のものではない。

    183 KFSについては徹底的に挑戦する

    (まだ途中)

  • レジェンドコンサルタント大前研一の代表作にして、コンサル界の古典とも評される本著。
    著者の若手時代のメモ書きがベースになっているだけあり、内容は抽象的な思考姿勢から、実践的な理論とケーススタディまで多岐にわたり、ジャンルレスな一冊と言える。
    理論自体は高度なものもあるが、図解も多く、何より非常にロジカルな論理展開なので自分は理解しやすかった。特にPIMS、PPT、戦略策定プロセスは興味深い。

    また読み返して、内容を身につけたいと思える一冊だった。非常に良書。

  • 再読。
    ずいぶん歳をとってから改めて読んでみると、若い頃には読み取れなかったことがらが思いの外多く、大変勉強になった。
    KFSの大切さ、それは名前自体から自明のことだが、戦略的思考家とは、常にKFSが何であるかという認識を忘れない人のことであり、その人は、全面戦争ではなく、KFSに対する限定戦争に徹底的に挑む、
    という。
    そして経営とは常に相対的にみた状況判断から始まるということ。市場があって、コンペティターがいて、産業があって。そういう情景を見渡せられる人が参謀たりえる資格があるということだろうか。

  • 上司オススメの一冊

    【ざっと内容】
    大前研一当時の経済の見方や組織運営の仕方がギュッと詰まった一冊。抽象的な考え方から具体的な指標の見方まで幅広く触れられている。初版は1999年でそれ以来29刷もされておりロングセラーとなっている。

    【こんな人にオススメ】
    ・組織の中心人物、特にNo.1,2の人

    【感想】
    正直、自分にはまだちょっと難しかった……逆に本作をしっかり理解するためには普段からもっと大観的に組織を見る必要があるなと改めて感じた。
    戦略的な組織運営における考え方は参考になることが多かったので、組織のトップを目指す方々は是非一読してみては?
    数年後読んだら全く違うところに線を引いてそう。

  • 『企業参謀』は不朽の名作だと思う。通算3度目の読書だが、自分自身の戦略思考度が上がったと感じるとともに(初読では論理展開力に圧倒された「イカ漁」も今はやや強引で多少の稚拙と感じるまでになった)、本書を32歳のときに書き上げた大前研一氏の知的水準の高さに驚かされる。

    『企業参謀』『続・企業参謀』は間違いなく良い本だが、特に改変もせず合体して単行本化というのは芸がない。文庫化もされているのに。ということで星は3つである。

  • ■書名

    書名:企業参謀―戦略的思考とはなにか
    著者:大前 研一

    ■概要

    オピニオンリーダーとして常に最先端で活躍を続ける大前研一氏が
    ,最善解を導き出す戦略的思考法を公開
    1975年と77年に刊行され著者の出世作となった『正・続企業参謀』
    の新装版。手本と解答がない時代,成功のプロセスを自ら考えなく
    てはならない。そのための入門書としての位置づけだ。
    変革しなければならないのは個人であり企業だが,個人や企業が変
    わるには「こうすれば変わるのだ」という「気概」が必要になる。
    そのうえで著者は,戦略的計画の核心として(1)目的地に達した場合
    ,守り抜けるものでなくてはならない(2)己の強さと弱さを常に知り
    抜いていなければならない(3)リスクをあえてとる局面がなくては
    ならない(4)戦略に魂を吹き込むのは人であり,マネジメントのスタ
    イルである,とポイントを挙げている。さらに,経営者が備えるべき
    先見性の必要条件として事業領域の規定と明確なストーリーの作成
    だけでは不十分で,自らの経営資源の配分にムダがなく,また原則に
    忠実で,かつ世の中の変化に対しては原則の変更をも遅滞なくやっ
    ていくという十分条件が備わっていなければならないとする。
    (From amazon)

    ■気になった点

    ・一点の汚れも許容できないという方針で臨めば、戦略立案には
     無限の人員と時間がかかる。

    ・問題に立ち向かう時は、「何が出来ないか」ではなく「何が出来る
     か」を最初に考える。そして「出来る事」を出来なくしている制約
     を1つずつ執拗に剥ぎ取る戦略を考えていくことが大切だ。

  • 大前研一氏と本書についてその高名をしらないものは、本書の題名「企業参謀」を見たときに、まるで小説のような題名であることから、一見自伝的書籍かと思うかもしれない。
    しかし、「企業参謀」の題名の横に「戦略的思考法とはなにか」と書かれているように、これは戦略的思考というものはどういったものであるのか、もしくはどのように思考する
    ことが戦略家であるのかという、くしくも洋書で翻訳された題名「Mind of the Strategist」に帰結される内容である。

    本書は、発行以来、数多くの言語に翻訳され著名なビジネススクールにおいても教科書的に機能している戦略的思考に関する書籍で、内容についてはあえて発行当時1975年当時
    から変更を加えていない。さらに大前氏は、本書を著作したときにおいて未だ30代前半であったということであるので、如何にその戦略家たらしめるゆえんやマッキンゼーという
    組織の強烈なまでの成長速度(当然、大前氏はその組織で十分に機能していたわけである)を促す環境であったかが伺い知れる。

    本書は戦略的思考法について、ビジネスにおける想定や実例、または国政への利用法と多岐にわたる為、書評として網羅的なものを作成することが非常に難しい。
    また、内容が安易ではないので、Amazonの書評にも多くあるように数回は読み込む必要がある。既に5回目という人物もざらにいる。

    1回目を読了した上で、直観的に影響を感じざるを得ない個所をいくつか紹介して初回の書評としたい。

    まず基本的なことではあるが、戦略的な思考を行うに至っては精緻で詳細な分析をもってそれのベースとしなければならないということである。他者に説明する段になって、それを
    気付き考え直すようでは戦略的思考法ができていないという訳である。
    また、戦略上仮説や仮定で設定した数値は、ある程度推定であっても現実の数値に近いものとする為には、その仮定とした数値をある一方向から算出するほかにもう一方から算出
    することで、その仮定した数値の蓋然性を向上させ大枠の事実と近似したものを取得する必要があるという。これには、思考と分析の”しつこさ”が必要で、おそらくこれをことある
    ごとに実践しているのとしていないのとでは、要求水準に対する結果つまりはアウトプットの質が異なるのであろう。
    こういった、実際にトップコンサルタントがどのような過程や結果をもって、サービスとしているのかを感じることが出来る事は大きいし、実務上求められる要件以上をアウトプット
    しようとする実務担当者には非常に有益なものであろう。
    これを端的に表現しているのが、著者自身がケーススタディを自ら構想し解決策を自ら提案する部分で、そのストイックさもさることながら、実例に基づく思考経路を理解するには
    もってこいである。このケーススタディを聞いただけで、本書への興味関心がわくと思うのでさわりだけ紹介すると、ニュージーランド沖に日本イカ船団が大量にイカがとれるという
    ことで大挙したものの時間経過とともに乱獲が原因でイカが捕れなくなった。さらにはニュージーランド側から日本政府水産省へ、漁船行動に対するクレームがあがっているという。
    この解決策とその導き方を戦略的な思考法で、考察しようというものである。

    こういった、ケース毎に解を模索していく中で、2,3度著者が注意喚起している事にフレームワークに関する事柄がある。
    課題解決や事業戦略に用いられるフレームワークは、他社の戦略で用いられていることを見た経験や実際に利用してみて間が抜けたものになった経験というのはビジネスに携わる場で
    は少なからずあると思われる。課題解決法には、あるパッケージ化された方法論というのは存在せず、基本的にはオーダーメイドで思考、分析されるものであることを著者は強調して
    いる。
    BCGの考案した、PPMについてもより詳細に説明し、如何に精緻で"しつこい"分析の上に利用する事が望ましいのかGEとBCGの採用事例から紹介されている。また著者(マッキンゼー)
    はこのPPMを2×2の4つの分類ではなく3×3の9つの分類にわけ、ポジショニングに対してそれぞれの戦略を当てはめるということをさらに製品系列毎に実践するような多大な労力を伴う
    うえに非常に精緻な分析がなされているものを紹介している。
    さらに、KFS(Key factor for Success:成功のカギ)というのが、新規参入や事業には存在し、多角的な視点がなくKFSを分析せずに安易な考察でもって失敗に陥った多角化における
    新規事業例をタービンメーカーの事例等を用いて紹介し、KFSをつかむことが大きく事業の成り行きを左右する事を知ることができる。

    最後に、本書を読んでいて非常に気付きが多い事がわかるのであるが、これをもって思考法の練習が開始されるのであって膝を叩いて終わるのではないことは言うまでもなく、それを
    考えると数回読み込んで実践に移していかなければ身に付かない内容であるのは明確である。

    よく大前研一氏自身がかつてメディアへの露出も多く、思想が合わないので本書を手に取ることを躊躇される方もおられるかもしれない。
    実際に、大阪市長である大阪維新の会が参考にした、大前研一の平成維新の会の根源的な思想である小さな政府を論じる片鱗が本書においても見え隠れする。
    企業においても、戦略的思考に基づく戦略立案集団は特に実践的で有能な集団にのみ携わらせるべきであるといった個所は、特にそうなのかもしれない。
    しかしながら、大前氏は政治的な思想は別として戦略立案の側面ではプロフェッショナルであることに違いはない。
    そのプロフェッショナルに触れることは、間違いなく自信を磨き上げることの手助けとなるであろう。

  • 内容

    1部 戦略的思考とはなにか
    戦略的思考入門
    企業における戦略的思考
    戦略的思考方法の国政への応用
    戦略的思考を阻害するもの
    戦略的思考グループの形成

    2部 戦略的経営計画の実際
    戦略的に考えるということ
    “低成長”とはなにか
    戦略的思考に基づいた企業戦略
    戦略的計画の核心
    先見術

    大前氏の中で最も好きな本で、マッキンゼーの新人時代に大前氏が書いた手記がそのまま書籍化されたものである。

    フレームワークが云々という話が中心ではなく、物事の考え方について実例を挙げつつ記述している。

    1975年に初版が発売されているので古すぎるという指摘があるかもしれませんが、物事の本質をどうやってとらえるかという方法に関しては古いも新しいもないと思うので★×5の評価です。

    日本のイカ漁を例にしたケーススタディは骨太かつ題材もかなりユニークで面白かったです。

    本来ケーススタディの回答はこのレベルにあるべきで、巷で「地頭」とか「フェルミ推定」とか言われる小手先のテクニックとは一線を画しているレベルの書であると感じました。

  • 大前研一の処女作。

    前半のほうは足工方法として、コンサルティングの手法を利用することでためになるけれども
    後半のほうは内容が複雑になりすぎて、すぐに活かせたりする内容ではないので、読むのには腰が引けるし気合を入れる必要がある。

    戦略的思考というよりも、企業においての戦略の色合いが強く大企業幹部向けであろう。
    だが、将来、組織の肥大化が考えられるタイミングで読むことができればと思う。

  • 〈書評〉
    戦略とは何であるか、参謀とはどうあるべきか、企業はどのような体制で企業戦略を作り実行していくべきかというテーマについて、考え方のエッセンスと、エッセンスを具体的なケーススタディに落とし込んだノウハウが書かれている。しかし、著者も言及しているように前者(エッセンス)が重要であり、後者はケースバイケースのため枠組みとしては利用できるが、紹介している型をそのまま当てはめる既製服のよう使い方は想定されていない。

    本書が書かれた時代と今では社会背景などは大きく異なるものの、問題解決/戦略的思考の手引きとしては、現代でも充分に活用できるエッセンスが散りばめられていると思う。

    〈メモ〉
    ・「戦略的」=事象を本質的な境界線を頼りにバラバラに分離させ、自身の目的達成に有利になるように組み直し、攻めに転ずること。
    →「本質的」な分解と再構築とは何かを考える

    ・企業戦略の立案において、自社状況などの内部に目を向けるのはもちろん、市場や競合他者などの外部にも目を向けて、分解と再構築の見通しを立てる必要がある。

    ・特に、市場における「KFS」が何にであるかを掴むことが最重要事項の一つである。

    ・参謀心得
    →「If」を恐れない:常に代替案を探り、どんな状況にも対応できる構えを取るべき。(※日本人は古くは中国、近代では西洋などの先行事例への依存、そして言霊的なシャーマニズムに由来して、「もしも」に対する準備をする慣習が薄い)

    →完璧主義を捨てる:完璧な戦略は存在しない(無限の資源が必要)。競合相手より一枚上手を行くだけで充分。

    →KFSには徹底的に挑戦する:二項の完璧主義を捨てるに反するように見えるが、KFS、戦争におけるセンターピンが何であるかに関しては、妥協せず試行錯誤を繰り返して探り続ける。

    →制約条件に制約されない:「何ができないか」ではなく、制約条件を取り払った状態で「何ができるのか」を考えた上で、制約条件を突破するためにはどうしたら良いかを考える。

    →記憶にたよらず分析をする:惰性や常識にとらわれず、本質的な分解と再構築に向き合う。

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著者プロフィール

1943年、福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号を、マサチューセッツ工科大学大学院原子力工学科で博士号を取得。(株)日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社。 以来ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長を務める。現在はビジネス・ブレークスルー大学学長を務めるとともに、世界の大企業やアジア・太平洋における国家レベルのアドバイザーとして活躍のかたわら、グローバルな視点と大胆な発想で、活発な提言を行っている。

「2018年 『勝ち組企業の「ビジネスモデル」大全 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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