起業家の本質: ピンチをチャンスに変える5つの能力! (プレジデント・クラシックス)

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833419024

作品紹介・あらすじ

松下幸之助の「先見力」、本田宗一郎の「技術開発力」、盛田昭夫の「ブランド構築力」、小林一三の「顧客創造力」、稲盛和夫の「ビジョン実現力」-事業を成功させる必須の能力を解説。

感想・レビュー・書評

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  • 日本が誇る名経営者のハイライト集のようで、非常に面白かった。小林一三はあまりこれまで読んだことがなかったが、この人も素晴らしい。

    ■堀紘一
     成功する起業家と失敗する起業家の違いは何なのか。それは四つある。
     一つは、粘り強さである。それも、普通の粘り強さではなく、異常なまでの粘り強さである。これが起業家に一番必要な資質だと思う。
     …
     二つ目は、変われる人だ。もう少し具体的にいうと、目的を達成するためには、自分のアイデアや考え方に拘泥することなく変えていける人だ。…
     三つめは、ユーザー論理と供給者論理の両方で物事を考えることができる人だ。
     …
     四つ目は、好奇心が旺盛なことだ。

    ■松下幸之助
     要は心の持ち方です。経営者というのは、心の持ち方が非常に大事なんですよ。それがみんな、社員の気持ちに反映するから、一人で焦っていたら会社全体が動揺してしまう。ですから経営者は、商売の業とか技術といった職業的なもの以外に、人間的なものの考え方が必要ですね。つまり、経営者は技能的な手腕よりも人間的な”味”が問われるわけです。

    ■本田宗一郎
     本田宗一郎はこの(河島氏の)結婚話を喜んだが、どうしても関西出張のために結婚式に出席できなかった。せめて祝電だけでも打つつもりだったが、当時の本田は研究一筋で、俗世間のことはいかに重大な話でもすぐコロリと忘れてしまった。そこでさち夫人は、いつも重要な用件はメモに書いて研究資料の入ったカバンに荷札のようにくくりつけておく。
     しかし、これでも信用できないとなると、本田の指にメモを巻きつけてしまう。さらに作業着の内ポケットに荷札をつけたりしたが、河島の結婚式の祝電についてはどの方法も信用できなかった。そこでついに本田の眼鏡のフレームに祝電の電文を書いたメモをぶら下げることにした。これなら人と会うたびに「眼鏡に何かついてますよ」と注意されるはずである。
     そのたびに「これは河島の結婚式の祝電だ」と説明しなければならない。要するに何から何までこうしてさち夫人が面倒をみてきたのである。

    ■盛田昭夫
     元来、私は物理屋のせいか、ビジネスに奇跡を信じない。もちろん、運というものはあるだろうが、根本原理は必ず通る、という信念を持っている。ものごと、ショートサイトのいろいろなことに惑わされず、ロングレンジにみれば、必ず根本原理が通る、という考えを持っているので、こういう決定ができたのかもしれない。

     …安定したマーケットとは、結局、大衆の間に確立された信用によって裏付けされていなければならないのである。
     その信用とは、製品の品質が優れていることと、アフターサービスが行き届いていることに尽きる。この当然のことを実行するのに、私は10年かかった。また逆に言えば、10年ぐらいかけて地道に積み上げていかなければ、本当の信用はかちとれないということにもなろう。

    ■小林一三
     ≪私は実に運がよかったと思った。銀行のサラリーマンから会社の重役に昇格した、とは言うものの北銀事件が起こらなかったとせば、私は世間にある普通の重役と同じように、大株主の顔色とその御意見に従わねばならぬ場合であったかもしれない≫

    ■稲盛和夫
    「京セラが張りつめた状態にあると見える人たちは、自分のゆっくりしたペースをノーマルと思っているからであって、それは住む世界が違っているからだ。われわれの走りっぷりをみてあれはアブノーマルだ、今に倒れる、今に倒れるといっているけれども、二二年倒れていない。とすれば、それこそがノーマルであって、倒れると思っているほうのテンポがおかしいのではないかと思えないのは、逆に可哀想だという気がする」

     人間性を立派なものにしていかねばならないということを、箇条書きにしてみよう。
     まず、人間は誠実でなければならないということである。もちろん、誠実というのは真面目であるということだ。正直でなくてはいけない。決してウソは言わない。また卑怯な振る舞いがあってはならない。勇気があり、公明正大でなければならない。公私の区別がハッキリできること。公平であること。フェアであること。卑しくないこと。

  • プレジデントに掲載された著名な経営者に関しての記事をまとめた本。記事なので、そこまで深堀したものはない。それぞれの経営者がどういった人物だったのか。概要を知るにはよいかもしれない。ただ、興味ある人物ならば、一冊その人の本を読んだほうがよい

    ●メモ
    ・優れた経営者は読書量が多い
     だが時間がとれないため、耳学問となる
     優れた経営者は一般の人と同じ情報でも、そこから
     役立てるかどうかが大きく異なる
    ・企業家はすべてができなくてもよい。
     できる人に頼めばよい
    ・優れた企業家が必要な資質は「器量と才覚」「後継者育成」
    ・松下はビクターの融資を「蓄音機に耳を傾ける
     犬のロゴ」で決めた。別の会社で工場の買収は
     断った。「会社立て直しで1工場という枝葉では
     意味がない」から
    ・他人の意見も自分の中で消化、深く考えて自分のものにしてから発言
    ・トップはどんな難しい問題に直面しても解決しなければならない
    ・松下で有名なのは熱海会談
     販売会社への不満に反論したいことはあったが
     「松下が悪かった」と頭を下げ、自ら本部長代行
     となり、立て直しを図った
    ・先見性があったのではない。自然と先のことを考え
     そこへやってみたいことをみつけ、発表、実現
     それが実現されると「先見性がある」と言われた
    ・経営は自分の考えを全社員へ知らせないといけない
    ・五年後には会社をこうしようと、しょっちゅう考えている
    ・一般の人は交友関係が自分と似た立場になる
     本田宗一郎は人種、年齢も関係なく気が合うかどうかだった
    ・仕事に必要なのは行動。メーカーならば製品
    ・ソニーは低賃金だから生産基地をそこに作るのではない。マーケットのあるところに生産基地を設ける
    ・コンセプトを発信するところに企業の事業活動の始まりがある。新しい物語、ストーリーのある生き方の提案
    ・稲森和夫のエピソード。社員が暴力バーでもめ、
     一人留置所へ。それを稲森は「あいつ一人を残して
     のこのこ帰ってきたのが一番けしからん」と説教した
     その後、警察ともめた結果、詫びを入れさせた
    ・努力して努力してこれだけの数字しか出ない
     それから良くすることを考える
    ・稲森の考えに矛盾はなく、妥協としての処理がない

  • 松下幸之助、本田宗一郎、盛田昭夫。

    彼らが語っているのは経営ではなく、哲学だ。

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著者プロフィール

ドリームインキュベータ会長

「2017年 『戦略の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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