起業家の本質: ピンチをチャンスに変える5つの能力! (プレジデント・クラシックス)
- プレジデント社 (2009年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833419024
作品紹介・あらすじ
松下幸之助の「先見力」、本田宗一郎の「技術開発力」、盛田昭夫の「ブランド構築力」、小林一三の「顧客創造力」、稲盛和夫の「ビジョン実現力」-事業を成功させる必須の能力を解説。
感想・レビュー・書評
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日本が誇る名経営者のハイライト集のようで、非常に面白かった。小林一三はあまりこれまで読んだことがなかったが、この人も素晴らしい。
■堀紘一
成功する起業家と失敗する起業家の違いは何なのか。それは四つある。
一つは、粘り強さである。それも、普通の粘り強さではなく、異常なまでの粘り強さである。これが起業家に一番必要な資質だと思う。
…
二つ目は、変われる人だ。もう少し具体的にいうと、目的を達成するためには、自分のアイデアや考え方に拘泥することなく変えていける人だ。…
三つめは、ユーザー論理と供給者論理の両方で物事を考えることができる人だ。
…
四つ目は、好奇心が旺盛なことだ。
■松下幸之助
要は心の持ち方です。経営者というのは、心の持ち方が非常に大事なんですよ。それがみんな、社員の気持ちに反映するから、一人で焦っていたら会社全体が動揺してしまう。ですから経営者は、商売の業とか技術といった職業的なもの以外に、人間的なものの考え方が必要ですね。つまり、経営者は技能的な手腕よりも人間的な”味”が問われるわけです。
■本田宗一郎
本田宗一郎はこの(河島氏の)結婚話を喜んだが、どうしても関西出張のために結婚式に出席できなかった。せめて祝電だけでも打つつもりだったが、当時の本田は研究一筋で、俗世間のことはいかに重大な話でもすぐコロリと忘れてしまった。そこでさち夫人は、いつも重要な用件はメモに書いて研究資料の入ったカバンに荷札のようにくくりつけておく。
しかし、これでも信用できないとなると、本田の指にメモを巻きつけてしまう。さらに作業着の内ポケットに荷札をつけたりしたが、河島の結婚式の祝電についてはどの方法も信用できなかった。そこでついに本田の眼鏡のフレームに祝電の電文を書いたメモをぶら下げることにした。これなら人と会うたびに「眼鏡に何かついてますよ」と注意されるはずである。
そのたびに「これは河島の結婚式の祝電だ」と説明しなければならない。要するに何から何までこうしてさち夫人が面倒をみてきたのである。
■盛田昭夫
元来、私は物理屋のせいか、ビジネスに奇跡を信じない。もちろん、運というものはあるだろうが、根本原理は必ず通る、という信念を持っている。ものごと、ショートサイトのいろいろなことに惑わされず、ロングレンジにみれば、必ず根本原理が通る、という考えを持っているので、こういう決定ができたのかもしれない。
…安定したマーケットとは、結局、大衆の間に確立された信用によって裏付けされていなければならないのである。
その信用とは、製品の品質が優れていることと、アフターサービスが行き届いていることに尽きる。この当然のことを実行するのに、私は10年かかった。また逆に言えば、10年ぐらいかけて地道に積み上げていかなければ、本当の信用はかちとれないということにもなろう。
■小林一三
≪私は実に運がよかったと思った。銀行のサラリーマンから会社の重役に昇格した、とは言うものの北銀事件が起こらなかったとせば、私は世間にある普通の重役と同じように、大株主の顔色とその御意見に従わねばならぬ場合であったかもしれない≫
■稲盛和夫
「京セラが張りつめた状態にあると見える人たちは、自分のゆっくりしたペースをノーマルと思っているからであって、それは住む世界が違っているからだ。われわれの走りっぷりをみてあれはアブノーマルだ、今に倒れる、今に倒れるといっているけれども、二二年倒れていない。とすれば、それこそがノーマルであって、倒れると思っているほうのテンポがおかしいのではないかと思えないのは、逆に可哀想だという気がする」
人間性を立派なものにしていかねばならないということを、箇条書きにしてみよう。
まず、人間は誠実でなければならないということである。もちろん、誠実というのは真面目であるということだ。正直でなくてはいけない。決してウソは言わない。また卑怯な振る舞いがあってはならない。勇気があり、公明正大でなければならない。公私の区別がハッキリできること。公平であること。フェアであること。卑しくないこと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
松下幸之助、本田宗一郎、盛田昭夫。
彼らが語っているのは経営ではなく、哲学だ。