てぶくろ (世界傑作絵本シリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (16ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834000504

感想・レビュー・書評

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  • 道を歩いていると、たまに可愛い落とし物に出くわす。
    小さな靴や、靴下、冬だと、てぶくろ。
    おそらく、大人に抱かれた子供が窮屈で脱いでしまったのだろう。
    ぽつん、と置かれたちいさなてぶくろを見ると、その頼りない小ささに愛しさを感じる。
    落とした子は拾いに来るだろうか。
    気まぐれで脱いでしまったお気に入りのてぶくろを無くして、残念がっていないのだろうか。それともせいせいしてるのだろうか。

    さて、ここにも、てぶくろが片方落ちている。
    雪がしんしん降る中、おじいさんが森を歩いていて落としたてぶくろだ。
    手首のところにふわふわの毛皮がぐるりと付いたミトン型のあたたかそうなてぶくろ。

    そこに、一匹のねずみがかけてきて潜り込んだ。
    「ここで くらすことに するわ」

    そこへカエルがぴょんぴょん跳ねてきた。
    「だれ、てぶくろに すんでいるのは?」
    「くいしんぼねずみ。あなたは?」
    「ぴょんぴょんがえるよ わたしもいれて」
    「どうぞ」

    そこにまた兎が走ってきて―――。

    どんどん増えていくてぶくろの住人。
    その間にも雪はどんどん降り積もります。

    表紙の絵がもう、めっちゃ好みで気になっていたこの絵本。
    ストーリーも楽しく、ニマニマしながら読了した。

    でも最後に大きな謎が残ります。
    それは
    【何故、こんなにたくさん動物たちが入れるのか?】

    私は、「おじいさんは熊より大きい巨人だった」説を提唱します。
    文中には「おじいさん」とだけで、人間とも何とも書いていない。
    1ページめの小枝にてぶくろが引っ掛かっているように見える絵も、実は小枝ではなく大木だったのです。

    そう、肝心なところを文中で言及しない叙述トリックだったのです!

    なんて、おバカな仮説を立てましたが、いかがでしょう。

    ウクライナの子供たちも、日本の子供たちも、この絵本であの日落としたてぶくろの現在を想像して楽しむのでしょうか。

    ######################

    私の上手くない感想を読んでくださり、ありがとうございました。感謝しています。

    今年も大変お世話になりました。
    来年も皆様にとって平穏な年になりますように。
    生きてりゃ何とかなるかもしれません。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      5552さん
      「絵本図書館」はレファレンスブックですからねー
      トルンカの絵本をもう一冊だけ「おじいさんのおくりもの」理由は書きませんが、、...
      5552さん
      「絵本図書館」はレファレンスブックですからねー
      トルンカの絵本をもう一冊だけ「おじいさんのおくりもの」理由は書きませんが、、、
      トルンカがテキストも書いたナンセンスな「ふしぎな庭」や、様々なイラストを載せてカタログになっている「夢みるイルジー」も捨て難いのですが。

      猫は自分が好きなモノを挙げているだけですが、夜型さんは、そう来ましたか!って感じで素敵なチョイスでしたね。。。
      2022/01/06
    • 5552さん
      猫丸さん

      『おじいさんのおくりもの』ブクログで検索したら、他のレビュアーさんがあらすじを書いてらして、うっかり読んでしまいました。
      ...
      猫丸さん

      『おじいさんのおくりもの』ブクログで検索したら、他のレビュアーさんがあらすじを書いてらして、うっかり読んでしまいました。
      よいお話ですね。好きなストーリーです。
      他の2作品も含め、手に入ったら読んでみますね!
      でも、ブックオフとかには全然ないですね…

      夜型さんがもし、本屋さんの店員さんだったら、ブックコンシェルジュとしても人気が出そうです。
      猫丸さんはその「好きなモノ」が、個性的で素敵です。
      猫丸ブックカフェ、とかあったら行ってみたいですね。
      2022/01/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      5552さん
      猫が開くお店は、注文の多いナントカだから、、、
      5552さん
      猫が開くお店は、注文の多いナントカだから、、、
      2022/01/07
  • 勝手に始めた「人気の絵本の特徴を見つけよう」の試み7冊目。
    こちらも名作の絵本。
    リアルな話をするとうさぎの段階でもう手袋に収まりきらないでしょ‼︎とツッコミ入れたくなるが、そこはご愛嬌。
    手袋のお話なだけに、冬の寒い時期にぴったりの絵本。
    展開がそこまでなく、ワクワク感はややかけるので星3つ。

  • 物語はすごくシンプルですが、どこか愛嬌のある、微笑ましさを感じました。
    こいぬにびっくりする、オオカミやクマって・・

    様々な動物たちが登場するが、これを人間に例えると、皆で助け合う優しさや思いやりの精神を感じられて、素朴な民族性が現れているように思われました。

    その素朴さは、表紙の周りの花柄のデザインにも感じられて、民族衣装の「ソロチカ」に刺繍されているような、素敵なそれは、平和のシンボルのようにも、私には見えてしまう(本来は、魔除けの意味だそうですが)。

  • てぶくろの中には入りきらないよ~ってくらいにおともだちがたくさん!かわいくて面白い名作です。
    おともだちがいっぱい出てくるから、声の演じ分けが大変(笑)

  • ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ウクライナ民話であるこの絵本は注目を集めています。5552さんが書かれた絵本・『てぶくろ』のレビューを読んで、もう一度絵本を開きたいと思っていてやっと。
    先日A新聞にも『てぶくろ』が取り上げられ、最後に来たのっそり熊がてぶくろに無理やり入り込み、以前にいたくいしんぼねずみ、ぴょんぴょんがえる、はやあしうさぎ、おしゃれぎつね、はいいろおおかみ、きばもちいのししたちを追い出す様子を、ウクライナ侵攻と結び付けてありました。
    30年前に息子たちに読み聞かせした時、小さなてぶくろを差し出し「お母さん、手袋にねずみやカエルが住むのはわかるけど、オオカミやイノシシが住めるはずがない」と、見向きもされませんでした。おじいさんの全体像も描かれていなかった。
    あれやこれやと教訓などの考察論議は棚上げして、絵本の世界を満喫しましょう! とやかく言わず5552さんのユニークな仮説にもろ手を挙げて賛成です。
     
      5552(コニー)推す痛快仮説
              ”てぶくろ”は巨人の国の伽噺らむ

    • しずくさん
      5552さん、おはようございます!
      お名前を出したら迷惑かなとためらったのですが勇気を出して入れてちゃいました。久しぶりに詠んだのでこちら...
      5552さん、おはようございます!
      お名前を出したら迷惑かなとためらったのですが勇気を出して入れてちゃいました。久しぶりに詠んだのでこちらこそ恥ずかしい限り(^_-)-☆
      返歌まで戴き嬉しかったです! 
      ありがとうございました。
      『挨拶歌』というのは初めて知りました。
      ぐぐってみたけれど見つけられないの・・・。
      2023/03/11
    • 5552さん
      しずくさん、お返事ありがとうございます。

      挨拶歌、たしかにぐぐっても出ませんね。
      前に読んだ本で、歌人の穂村弘さんが漫画家の萩尾望都...
      しずくさん、お返事ありがとうございます。

      挨拶歌、たしかにぐぐっても出ませんね。
      前に読んだ本で、歌人の穂村弘さんが漫画家の萩尾望都さんに、萩尾さんの名を入れた短歌を贈っていたんです。
      もしかしたら、「挨拶歌」という言葉ではなかったのかもしれません。
      2023/03/11
    • しずくさん
      再返信をありがとうございました。
      もしかして贈答歌ではないのよね?!
      穂村弘さんの本はほとんど読んでいないのですが、彼だったら造語で生み...
      再返信をありがとうございました。
      もしかして贈答歌ではないのよね?!
      穂村弘さんの本はほとんど読んでいないのですが、彼だったら造語で生み出した可能性はありうる。 
      頭の隅っこに留め置いて、巡り合うのを楽しみに!
      2023/03/12
  • 昔はクリスマスシーズンになると、手袋つきの形で売っていた。
    秋冬に生まれた友人の子供の御誕生祝いに贈り物にしたことがある。

    魅惑の四次元的空間ともいえるおじいさんの手袋。
    わたしも入れるかな?と思いながら読むのかな。

    絵も発色がとてもきれいで、素敵な本だと思う。

    • つこさん
      goya626さん、コメントありがとうございます。本当に名作ですよね!ページをめくるたびに幸せな気持ちになります。
      goya626さん、コメントありがとうございます。本当に名作ですよね!ページをめくるたびに幸せな気持ちになります。
      2021/04/25
    • goya626さん
      不思議も不思議の手袋ですから、こどもたちの目は釘づけでしたよ。
      不思議も不思議の手袋ですから、こどもたちの目は釘づけでしたよ。
      2021/04/25
    • つこさん
      goya626さん、大人も釘づけです。本当に不思議ですね。
      goya626さん、大人も釘づけです。本当に不思議ですね。
      2021/04/25
  • 手袋からひょっこり顔を出してる動物が
    可愛いのは置いといて
    手袋に窓つけてたり梯子かけてたり
    太々しさに思わずにんまり♪

  • ウクライナ民話だったんですね。
    動物たちの表情が可愛いです。じっくり絵を見てください。

    混沌とし始めている情勢。
    どうか、心温まるお話の世界のように平和が続きますように。寒い時に読みたくなる絵本。

  • そうそう
    新読書社からラチョフの同工異曲「つぼのおうち」(松谷さやか訳)が出ていました。

    暦から絵本へ | 村瀬学の小径
    http://jidoubunka.com/custom38.html

    てぶくろ|福音館書店
    https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=41

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      記録として
      ウクライナ民話の絵本が話題 書店“平和を考えるきっかけに” | ウクライナ情勢 | NHKニュース
      https://www3...
      記録として
      ウクライナ民話の絵本が話題 書店“平和を考えるきっかけに” | ウクライナ情勢 | NHKニュース
      https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220302/k10013509651000.html
      2022/03/03
  • 初めてこのお話を読んだ時、オオカミの登場で他の動物たちが食べられてしまうのではと思った。予想とは異なり、動物達が仲良く手袋から顔を出してホッとした。

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著者プロフィール

うちだりさこ 1928年、東京に生まれる。早稲田大学露文科卒業。1964年、ポーランドに留学。ロシア、ポーランド、チェコなどのすぐれた児童文学・昔話・絵本を翻訳、紹介した。主な訳書に、童話『きつねものがたり』『ぞうのドミニク』『ロシアの昔話』、絵本『おおきなかぶ』『マーシャとくま』『もぐらとずぼん』『しずくのぼうけん』『くった のんだ わらった』(以上、福音館書店)、『ちいさなヒッポ』(偕成社)など多数。1997年没。

「2020年 『てぶくろ ウクライナ民話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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