- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834006643
作品紹介・あらすじ
バスケットボールはただのゲームですが、ニューヨーク、コニーアイランドでは、それはもっと大きな意味を持っています。多くの若者にとってそれは犯罪や貧しさ、失望にみちた暮らしから抜け出すただ一つの希望、最後の手段なのです。この本は地元のスターとして、ニューヨークの強豪校リンカーン高校のチームのメンバーとして、バスケットボールにかけた四人の高校生を追ったノンフィクションです。彼らは大学の奨学金を得て、この界隈から抜け出すことを夢見ています。彼らの夢と現実が深い共感をもって描かれています。
感想・レビュー・書評
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アメリカのバスケレベルはすごいと思います。跳躍力、瞬発力すべてにセンスがあり、秀でているんだとなんとなく思っていましたが、努力も大きいことがわかりました。
スポーツを楽しむだけでなく、バスケで人生を変えるんだ!という強い思いがバスケのレベルの差でもあるかもしれません。バスケの場面よりも高校・大学の組織的な部分が多く、スポーツ推薦の怖さも感じました。この1本のシュートで、自分の人生が大きく変わるとしたら・・・
「入れ!」と応援してしまいます。 -
プロローグ
夏
一流大学による選抜
エピローグ
謝辞
訳者あとがき -
少し古い本だが、とある限られたケースに凝縮された、プロスポーツに賭けるアメリカンドリームを的確に描写した力作だと思う。
NCAAと高校との関係、人種と貧困にまつわる問題、スポーツメーカーの暗躍…、私のようなNBA好きにとって、漠然とそういったものがあるんだろうな、と感じてはいながらも、その細部についてはまったく知り得なかった各トピックスについて、まさにノンフィクションのディテールを読むことができる。
お国柄か、表現も非常に率直だ。
ただ、活字を読むだけではやはり、成功をつかむ者と敗北して地に堕ちる者との間に横たわる紙一重の差がなんなのかは、分からない。
あるいは、登場人物に対する著者の情のようなものが、それを宣告するシヴィアな筆を控えさせているのかもしれない。
取材対象の1人に、ステフォン・マーブリーが含まれていたというのは、著者にとっても読者にとってもラッキーなことだったろう。 -
バスケットに青春をかける、NYの4人の黒人高校生の密着ノンフィクション。
彼らはコニーアイランドの黒人専用のようなスラム化した公団住宅で育ち、バスケ以外の希望が見いだせないような状況にあえいでいます。
4人とも高校バスケ界ではなかなかのスター選手で、何とか良い大学にスカウトされたいと思っています。そこからできたらプロに、というのが夢です。
しかし、四年制大学の推薦にはある一定の学力基準があり、劣悪な教育環境で育ってきた彼らには、なかなかその水準を満たすことが難しいのです。
4人のうち、夢を叶え、一流大学を経てプロのスター選手になれたのは1人だけ。
他の3人は、大学や短大に何とか入ったまでは良かったものの、芽が出ず、学業も全うできずドロップアウトして結局貧乏生活に戻ってしまったり、プロにまではなれなかったものの、きちんと大学を卒業したのに、親からのバスケへの期待のプレッシャーに耐えきれず若くして亡くなってしまったり……
素質と意欲があっても、幼少時からの教育と環境が伴わなければ、せっかくの才能を生かすこともできない……
当たり前のことかもしれませんが、改めて痛感しました。
華やかなNBA、あそこで活躍している選手達は、本当に恵まれて選ばれた、そして苦労を重ねてきた人たちなんだなあと…… -
前々から気になっていたバスケ小説ということで読書。
・あらすじ
ブルックリンの貧しい地域に暮らす黒人4人の少年。
バスケで奨学金を得る以外にはマトモな職にも就くことができないという状況の中、夢と現実の狭間で苦しむ少年たちの1年を追った作品。
複数の大学から引き合いがあるもの、実力はありながらも貧困の中で試験の成績が不十分なもの、夢を捨てドラッグディーラーになるもの、銃声が飛び交いドラッグが蔓延る地域でもがき苦しむ真実の姿が本当に胸に迫ります。 -
日本のバスケット人口は増えているのに世間でのあつかいは小さいなぁ。。。NBAの世界で成功するのはほんの一握り。いや、もっともっと少ないかもしれない。日本とは次元が違う。
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「誰かが成功しなきゃだめなんだ。誰かが最後まで行きつかなきゃだめなんだよ。まったく何でコニー・アイランドの黒人だけがわりを食うんだよ」・・・「うちの親父もラッセルの母親も、そう、あいつらはクレイジーだよ。だけど、そろそろ黒人が少しぐらいいい思いをしてもいい頃なんだ」
アメリカでのバスケットボール界ルポ。
斎藤孝の『使える読書』に載っていたことから読んだ。
といっても、私はNBAの選手一人すら知らないのだから、きっと面白さもイマイチだったのかもしれない。
前半部分はたれーーんと進んでいくのだけれど、後半以降のいよいよ大学を選ぶ、決める、というところになってくると、彼らは一体どうなるのだろうと夢中になっていた。
ただバスケットボールに夢中になる若者たちを書いているだけではなく、そこにある“問題”を鋭く書いている。
彼らにとって、バスケは、最後の一撃(シュート)なのだと書いてあるように、すべてがそこに向かっていることがよく分かった。
そして、まだまだまだまだまだまだまだある、差別の問題や貧困問題もすべてが関わってきているのだと改めて考えさせられたのだ。
【6/12読了・初読・大学図書館】