とん ことり (こどものとも傑作集)

著者 :
  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834007657

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな絵本。
    林明子さん素敵

  • 「とんことり」というタイトルですが、ちょっと面白いでしょう?
    始めて手に取った時、私は「とんこ取り」か「とん小鳥」かで悩みました(笑)もちろん、どちらもはずれ。
    これは、何かの擬音です。何の音なのでしょうね。
    読み進めるとそれが分かります。分かったとき、とても温かい気持ちになります。

    主人公は、春から幼稚園に通う「かなえ」という女の子。
    山の見える町に家族で引っ越して来ました。
    何もかも知らないものだらけの中でひとり不安な「かなえ」ですが、郵便受けに届く「かなえ」宛の不思議な贈り物で新しい友だちと出会っていきます。

    挿絵は林明子さん。お好きな方も多いでしょうね。
    「かなえ」の切ない心の動きを、それは上手に表現しています。

    荷物の整理で忙しいお母さんは、届いた郵便には関心を持ってくれません。それで、郵便は「かなえ」だけの秘密になりました。ひとり遊びをする「かなえ」の傍らにあるのは、マトリョーシカ。ページを進めると、それで遊んだ形跡もあって、少女の寂しさを表現しているように見えます。

    届いたものの名前をつぶやきながら、ひとりおはじきをする「かなえ」。その向こうにもマトリョーシカ。ああ、これはあの時の私だ、と思い出して、ちょっぴり切ないのです。

    作者の筒井頼子さんは、「寂しい」とか「不安」とか「心細い」などという言葉は一切使っていません。
    それでもひしひしと伝わってきます。
    林さんの絵もそれをより一層引き立てています。

    郵便を届けてくれた子と、「かなえ」が出会う最後の方の場面では、相手の子の顔が描かれています。
    その表情もいいですよ。ラストの二枚の挿絵には、言葉はありません。
    春の風景の中で、「かなえ」のはじけるような笑顔が、やさしい感動を運んでくれます。

    お母さんと一緒に新しい幼稚園を見に行く場面もあります。
    その絵の中に、郵便を送ってくれた相手が存在しますが、この時はまだ「かなえ」はそれを知りません。
    でも読み手の私たちは、最後まで読んでから再びこのページに戻り、その子を探す楽しさを与えられます。
    「かなえ」を見つめる子を発見したとき、何だかとっても嬉しくなりますよ。

    子供の頃に抱いた不安や寂しさ。
    そして、友だちに出会ったときにそれらが満たされる素直な嬉しさ。
    しみじみと気持ちが温かくなる名作です。

    さて、「とんことり」って何の音でしょうね?それは読んでからのお楽しみ。皆さんもきっとその音を聞きたくなってきますよ。

  • 山の見えるまちに引っ越してきたかなえ。おともだちはまだ、誰もいません。そんな時、玄関から「とん、ことり」という小さな音が静かな家に響きます。引っ越しシーズンの春に読みたい絵本
    5・6歳から  (友だち)

  • 3歳8ヶ月息子

    「とん ことり」の意味がわからないまま読み始めたので、初めのイントネーションが小鳥だった…笑。「ことり」と手紙が落ちる音です…。

    転勤族なので、今後引越しがあったときにまた息子に読んであげたい。

  • 林明子さんの絵が好きなので手に取りました。引っ越ししてきた女の子が、ポストに何か入る音「とんことり」を聞いて、ドキドキするお話です。
    引っ越しでお母さんがバタバタしている横で、かなえが大人しく絵を描いたりして過ごしながら、ポストの音に耳をすませたり、届いたすみれやたんぽぽから、新しい友達に想いをはせたりする様子が愛おしい。
    小さな子どもの心の中は、親にもわからないところでどこまでも、広がっている。
    環境の変化でまだ不安の残る、「きょとん」とした表情から、最後に友だちができて笑顔に変わるところがとっても素敵です。
    娘が読むときに、「とん、ことり」とゆっくり言うところがかわいいです。

  • ◆おひっこしのドキドキ♡かわいいなぁ。◆スミレの花束、タンポポの花束、それが空き瓶に活けてある風景が好き。◆父が県内転勤族だったので、新しい住まいの様子や見知らぬ町の様子に胸がキュっとなる。こんな「とんことり」があったら、妹と二人、ずっと玄関から離れずに犬のように待っていたに違いない。◆新しい友達との出会いではないけれど、転校するときにみんながくれた「大きなビー玉」「大きなおはじき」「手紙」とか、親友がお母さんと選んで贈ってくれたキティちゃんの赤い腕時計・・・そんな宝物の手触りを思い出す素敵な絵本でした。【2013/09/17】

  • 不安げな表情から一転して、自転車に乗る二人の表情がとてもよかった!

  • 子供だけでなく、新天地での不安を払拭してくれる絵本。ポストの音をとんことりと表しているのも秀逸。

  • かなえは、あたらしい町に引越ししてきました。引越しのお片づけをしていると、郵便受けに”とんことり”と音が。見ると、すみれの花束が落ちていました。その翌日にはたんぽぽが。いったい誰がくれたのでしょう?お友達と遊びたい子どもの気持ちが、やわらかな絵とともに描かれた絵本です。年中さんから。(2013.12締切分)

  • 以前なら、なんだこんなの、と吐き捨てていただろう。
    ところが。本屋で立ち読みしていたら、嗚咽しそうになった。子供の楽しそうな表情やさびしそうな表情を描くのがうまいんだな。
    「火垂るの墓」と同様、いいかわるいか判断できない。というかそんなのどうでもよい。

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著者プロフィール

筒井頼子 筒井頼子(つつい よりこ)1945年、東京に生まれる。埼玉県立浦和西高校卒業後、広告会社などに勤務。その後、絵本、童話などの創作をしている。主な絵本に『はじめてのおつかい』『あさえとちいさいいもうと』『いもうとのにゅういん』『とんことり』『おでかけのまえに』『おいていかないで』、童話に『ひさしの村』『いくこの町』『雨はこびの来る沼』(以上、福音館書店)などがある。1989年にアメリカのエズラ・ジャック・キーツ賞新人作家賞を受賞。宮城県在住。

「2014年 『そうちゃんはおこってるんだもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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