子どもへのまなざし (福音館の単行本)

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  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834014730

感想・レビュー・書評

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  • 育児は育自。親育だとよくいうけれど、本当にそう思う。

    子どもを大切に育てることは、大人が自分を大切にして生きること。佐々木先生の言葉が沁みる。

    感謝して毎日を生き、自分が幸せだと思えてるか?まずは夫婦や家族仲良く、相手の幸せのために自分が生かされていると思えるような、親の人間力の向上が必要。

    親が疲れてるのは親の勝手、たしかにそうだなと思った。

    人間力のある親が育てれば、自然と、自分が愛され、大切にされていることが実感できるだろう。

    まさに、振り返ったときにいつも見てくれている、子どもへのまなざしが温かい、やすらぎの場をつくれる親になりたい。

    自分の親もいろいろ苦労しながら一所懸命育ててくれたことに感謝。

    一方で、人間力が伴わないのも自分。無理なこと、できないこともたくさん。日々、失敗を重ねながら、人格に厚みを増して、周りの人に頼りながら、子どもと一緒に成長し、幸せを分かち合っていきたい。

  • お母さんやお父さん、保育士や幼稚園教諭など、子どもに関わる人だけでなく多くの人に読んで欲しい!
    『子どものまなざし』を向ける大人の対応や子どものあり方を考えさせられる。
    教授や研究者の実験により証明されたことも挙げられているので勉強になる。

    *建物の基礎工事のように、乳幼児期は人間の基礎をつくる大事な時期!

    *赤ちゃんが望んだことはできる限り満たしてあげる。そうすると子どもは誰かを信頼することができるようになる。

  • 子供にやさしくしよう!
    一緒にいられるのは、ほんとに短い期間。
    大切にしよう。

  • 子育て中の保護者は読むべき。名著。古い本なのでどうしても時代にそぐわない点もあるが、大部分は時代を問わない本質的な内容だと思う。本は厚いが、優しいお爺ちゃんのような語り口で読みやすい。

    ・乳幼児の育児は建物の基礎工事。大学など後期の教育は内装工事。後の教育はやり直しがきくが、建物が建った後に基礎工事をやり直すことはほぼ不可能。

    ・親とだけいても社会性は育ちにくい。複数家族や子ども同士で行動させ、人と交わらせる。

    ・幼児のうちに可能な限り子供の要求を満たす。後から満たすより簡単で効果的。

    ・人間の体は必ず治る、成長する方に働く。邪魔をしなければ自然に良い方向に行くので、大人は最善を尽くしてあとは待つことが大事。

    ・失敗が人格に厚みを増す。子供が安心できるよう親が適切に対処しすれば「二度とするな」などと言わなくても極力やらないようにする。

    ・子供が親を信じられるようになるのは、子供が最も困っている場面で救いの手を差し出す時。

    ・反抗期は子供が成長する時。また親を信じているから反抗する。あまり抑え込まない。

    ・幼児期に保護され安心できた子供は、スムーズに社会生活に入れる。依存経験があるから自律心が発達する。

    ・発達には順番がある。首が座らないと寝返りが打てないように、運動面だけでなく、知能面も精神面も全て順番があり、一つのテーマをクリアして初めて次のテーマに行く。発達がうまくいっていない場合は一つ前に戻る。

    ・小さい時ほどお手本通りに育つ。親の言うことではなくすることを真似る。

    ・子供は厳しく育てられると「みせかけの前進」をするが、いつか大きく後戻りをする。

    ・将来幸せになるために今頑張らせるのではなく、今この瞬間を幸せにしてあげる。その積み重ねが将来の幸せに繋がる。

  • 次男が保育園児だった最後の頃にベストセラーだった本。
    孫の予定もないのに今更ですが、山脇百合子さんの挿絵も含めて当時とても読みたかった本を、今ようやく手に取ることができました。

    その当時から育児放棄されている子どもというのが少しずつ社会問題になってきていて、仕事の忙しさを言い訳に子どもに向き合おうとしない親や、公園デビューが怖くて家に引きこもる親子など、昔とは違う育児の問題がいろいろ出て来たのでした。

    ”では、なぜ現代のお母さんは、あるいは夫婦といってもいいかもしれませんが、育児が下手になったかということです。それは人間関係が下手になったからだと思います。(中略)親子関係だけを一生懸命やっても、親子の関係はうまくいかないし、育児の不安もなくならないのです。”

    子どもが社会的な存在として成長していくのに必要な、人間的な感情や感性をソーシャル・レファレシングと言います。
    ”ソーシャル・レファレシングは人間が社会的なルールを守りながら生きていくために、その基盤をなす重要な感情であるともいえます。人が人と共感し合って、そのことを誇りと感じ合って生きるために必要な感情なのです。”

    自律的な子どもに育てるために
    ”自分のやることを自分で決めて、楽しみながらのびのびとやってみる。危険なことは親や保護者に守られ注意されて、安心してやってみる。こういうことが子どもたちには必要なことなのです。”

    大人から教わることも子どもを成長させるけれど、それは人格を育てることとは繋がらない。それよりも、子ども同士でたくさん遊ぶ方が、人格形成には必要であるらしい。
    ”人間の社会的な勤勉性の基盤は、友達から学ぶこと、友達に教えることによって育つものなのです。そして、さらに重要なことは内容で、それは「質よりは量」がたいせつだということです。”

    しあわせな子どもを育てるためには、まず親が幸せでならなければならない。
    それは経済的な、ではなく、夫婦仲よくだったり、良好なご近所づきあいだったり、とにかく親の心が穏やかに満ち足りていなければならない。
    親が満ち足りていれば、子どもに過大な期待をかけたり、子どもを支配しようとしたり、子どもを無視したりしなくなる。

    過保護で子どもがダメになることはないのだそうです。
    子どもの要求は出来るだけ満たしてやること。
    ただし過剰干渉は絶対にダメ。
    うーん、過保護と過剰干渉の線引きが難しいなあ。

    今更読んでもだけど、久しぶりの子ども肯定育児本、楽しかった。
    山脇百合子の絵もよし。

  • 他の育児本は買わなくて良いくらい、この一冊に書いてあることで、育児に対する充分な心構えができると思った。
    また、自身の周りにいる人達や義親、実親、近所の年配の方など、世代間ギャップがあり育児に関わってくる可能性のある人たちにも、優しい気持ちで接することができるようになった。

  • 妊娠中、色々な育児書を読んでみていたけれど、
    これ一冊読めば充二分だった。
    いま実際に育児をする中、これで良いんだ、
    こういう考え方をすれば良いのか、と自信を持たせてもらったり、改めさせてもらったり、背中を押してもらった感覚になった。そして時々胸が熱くなった。
    子どもが成長していく中、迷った時、悩んだ時、またこの本を手に取りたいと思った。
    夫にも読んでみてもらおうと思う。

  • 精神科医としての臨床の場での洞察とエビデンスを元に保育に関わる様々な人に向けた一冊。

    子育てに関わる人と子供たちに対する愛情と思いやりが一貫してこの本に溢れており文面がとても読み心地がいい。文章も柔らかな表現が多いので気づけばどんどん読み進んでいっている感じだった。

    どちらかと言うと子供との向き合い方や心持ちと言った部分に対しての姿勢や意識する視点を与えてくれる一冊。

    子育てスタート前に読めてテクニック的な子育て論ではない肩の力を抜いて子供と向き合う姿勢や心持ちというコアな部分を理解できたように思います。

    今後も時折読み返したい一冊。

  • これは、子育てのなるべく早い段階で、いやむしろ子どもを授かった時点で読むべき本かもしれない。
    母子手帳と一緒に配ってほしいくらい。
    20年以上前に出版された本だけど、きっと何年経っても子育ての本質は変わらない。
    「何より大切なのは、幼児期にどれだけ子どもの要求に応えてあげらるか」だと繰り返し書かれているのが印象に残った。
    過干渉はダメだけど、過保護はいくらでもOK。
    「甘やかしすぎていつまでも自立できなかったらどうしよう」と心配する必要はなく、むしろしっかりと自分の希望を聞いてもらえた子どものほうが、自立が早く問題行動も起こしにくいとのこと。
    どの章を読んでも心にグッと刺さる言葉ばかりなので、子育てに悩んだら何度でも読み返したい一冊。

  • もっと早く出会っていたかった!上辺だけではない子供との向き合い方において本質的に大切なことを考えさせてくれる色褪せることのない唯一無二の名著。モンテッソーリだとか自尊心だとか言うけれど、結局この本質さえ心に置いておくことができればいいんだよなと感じさせられる。
    自分の心と時間に余裕がある時に読まないと、回りくどく、かつ理想論に感じてしまうかもしれない。しかし、このひとつひとつの丁寧で子供目線に立ったメッセージは、心と頭をスポンジ状態にしておけばスッと入って、一生の宝になるだろう。
    私は子供が3歳になる頃にこの本に出会ったが、本当は子供がお腹の中にいる時に出会い、子供が少しずつ大きくなるたびに読み返していきたい本だった。ぜひこれからの出産祝いプレゼントの定番にしていきたい。
    ※一部、昔はよかった(今の世の中はおかしくなってきている)、母親は全エネルギーを子どもに費やすべき、といった今の時代にそぐわない考えもあるので、そこは勘案したうえで読むべき

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著者プロフィール

児童精神科医。1935年生まれ。新潟大学医学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学留学後、国立秩父学園、東京大学、東京女子医科大学、ノースカロライナ大学等にて、子どもたちの精神医療に従事する。現在、川崎医療福祉大学特任教授。
日本で初めてTEACCHを紹介し、普及に努める、TEACCH及び自閉症医療の第一人者である。
近著に『子どもへのまなざし』『続 子どもへのまなざし』『完 子どもへのまなざし』(以上 福音館)『「育てにくい子」と感じたときに読む本』(主婦の主社) 『アスペルガーを生きる子どもたちへ』(日本評論社)ほか多数

「2011年 『出会いでつむぐ私の仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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