子どもへのまなざし (福音館の単行本)

著者 :
  • 福音館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834014730

作品紹介・あらすじ

児童精神科医が語る、乳幼児期の育児の大切さ。

感想・レビュー・書評

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  • 児童精神科医 佐々木正美氏をわたしは尊敬してます。

    自閉症児への教育アプローチ「TEACCH」プログラムを日本に広めてくれた方。

    親子のコミュニケーションの大切さ・意味を詳しく・やさしい言葉で教えてくれます。

    赤ちゃんが大きくなる過程で、

    ◎必要不可欠なこと

    ◎親子をとりまく周りの理解や環境を整えること。

    ◎「エリクソンの発達課題」などの考え方・認識が学べます。

    分厚い本なので、一見ハードルが高そうですが…内容は、難しい専門用語はいっさい使われておらず、一般向けに書かれた良書です。

    読むと、筆者の『子どもへのやさしいまなざし』を感じられると思います。
     お子さんの発達に悩む保護者・養育者の方へ特におすすめです。

  • あちこちで育児バイブルとして紹介されているので、手にとってみた。

    基本的には、「とにかく乳幼児期には子どもの要求に応える。そうすることで自信と他者を信じる力を身に付ける。これは人生の土台であり、乳幼児期にしかに身付かないもの。この土台がしっかりできていれば、成長しても問題行動などを起こさないもの。」
    というような考え。

    1998年初版だけど、今だによく唱えられている育児論なので、やはり教科書的存在なのだと思う。

    一方で、子どもの人格の原因をすべて親の育児方法に求めるような(著者はそんなつもりがなくても、そう感じてしまう)論調は、今困っている親を追い詰めてしまいそうだなとも感じた。

    これを正解とするのもいいけど、ひとつの育児論として参考にするくらいの心構えで覚えておきたい。

  • 2010年妊娠中に購入。

    時々ぱらぱらページをめくって読んでる。
    自分の子供を大事に育てていこう、と素直に思える本。
    子供に向き合う姿勢を見直すことができる本。

    2012年10月追記。
    子供がもうすぐ2歳。最近主張が激しくなってきた。どうしたらいいのかわからないときに、パラパラ読んで、気持ちを切り替えてる。


    2013年3月追記。
    イヤイヤ期真っ最中(2歳4ヶ月)。この子のために叱ってるのか、自分のために叱ってるのかわからなくなることがたまにあるので読み返してる。
    ・相手が私のことをどう思っているのかというのは、私が相手をどう思っているかとほぼ同じ
    ・こちらが相手を好意的に思えれば、相手だって必ず、そういう風に思うようになる(p58)

    (2016年7月)
    他の二冊「続・子どもへのまなざし」「完・子どもへのまなざし」も購入したけど、結局この本に戻ってくることが多い。
    下の子が産まれ、上の子に今までのように丁寧に向き合う余裕がなくなってきた。来年は就学も控えているので、いろんなことで頭がいっぱい。
    赤ちゃん返りなのか、わざとなのか、うっかりなのか、困らせるようなこと(小さなことから命にかかわることまで)をしてくることが増えた。つい、大声で怒鳴ったり、げんこつしたり、「あんたはアホなんか!?」みたいな叱責をしたりすることもあって、毎日反省したり、自己嫌悪で泣いたりしている。

    p60 親のほうが「それでいいんだよ、それでいいんだよ」といいながら、親のやるべきことをやってさえいれば、たいていは不足のない子に育っていくのだと思います。人の善意を信じられる子どもは、基本的には、親にそのように思われ、育てられた子どもだと思います。

    p69 親は大きくなってからでも、子どもを受容してあげればいいのです。小学生になろうと、中学生になろうと、その意味は大きいのです。必要なだけ十分受け入れてあげるべきだと思います。

    (2017年6月)
    上の子Fが小学校に入学して2か月ちょっと。
    「宿題やったの?」とか「さっさと準備して」とかいうことが増えてきた。どうしたもんかなー、と思って開き。

    ・幼い子どもにとって、母親は生きていくよりどころとして、かけがえのない基本的な存在です。子どもが健全に育っていくために、母親にたいして、どれだけプラスのイメージをもつことができるかが、とても大きな意味を持ちます。
     親の側からは、自分の子どもをまるごと、そのまま承認できるかという問題があります。それは、子どもに対して、「こうあってくれたらいい、ああでなくてはいやだ」と、そういう気持ちをもちすぎないことです。これは親の在り方の理想ですよ、けれども、それに近づける親ほど、子どもにとって安らげる親なのです。条件付きでない愛情を与えてくれる、こういってもいいと思います。(p298)


    ・いちどはどこかで、だれかに全面的に受容されることを経験しなくては、子どもは本当は前には進めません。そういう時親は、大きくなってからでも受容してあげればいいのです。小学生になろうと、中学生になろうと間に合うのです。十分、それはやってあげるべきことなのです。(p310)

    (2018年10月)
    三月に第三子が産まれた。
    産後の余裕のない生活、イヤイヤ期と赤ちゃん返りの二歳児、丁寧な関わりが必要なのに、思考も睡眠も細切れで、子どもの前で怒鳴りながら物にあたってしまった。
    楽しく暮らすヒントが欲しくてこの本をまためくっている。
    ・喜びを分かち合ってあげる人だけでなく、子どもの不安や戸惑いを分かち合ってあげる人が、いつもそばにいてくれることの大切さ(中略)そういう人の存在に絶えず恵まれながら育った子どもと、「どんなもんだ、ぼくえらいでしょう」とふり返ったけれども、自分のことを見ていてくれる人は、誰もいなかったという経験を、旅重ねて育ってしまった子供とでは、ソーシャル・レファレンシングの感情や完成のはぐくまれ方は決定的に違うのです(p132)
     →末っ子に授乳してたり疲れてたりすると、上の子たちのけんかや困ったことを見て見ぬ振りしたり聞いてもスルーしてたり。「ママ、みてー」と呼びかけられても生返事だったり。ああ、よくないなと思った。
    ・乳幼児期に自分の要求をたくさんかなえられた子どものほうが、自律性が育つのが早いといいます。自分の要求を乳幼児期に、十分かなえられなかった子どものほうが、自分で自分の衝動を自制したり、困難なことを決断していく力は育ちにくい、要するに、自分を信じる力が小さく弱いわけです。
    ・ですから、なにごともうまくできない子どもには、こちらのいうことを性急にたくさん聞かせるという発想で育児をしたのでは、ますます自律性をそこなう方向へ追い込んで、だめにしてしまうわけです。こちらが子どもの言うことを、どういうことをどれだけ聞いてあげると、子どもは自信を回復し、人を信頼してくのかを考えてみる、こういう発想がいいのです。(p178)
     →後半部分は、思い当たる節が結構多い。自分にも、周りの大人にも。手間と体力が必要なものならしっかり望みをかなえてあげたいと思う。(お金はあまりかけられないが)

  • 佐々木先生の子育てに対する考え方が好きで著書を何冊か読んでいる。自分の子育ての頑張りを肯定してくれるような一冊。
    子どもの気持ちを受け入れ、可能な限り想いを叶える手伝いをする。子どもであっても1人の人として親としての責任を持ち接する。子どもの頃にこんな考えや行動ができる大人にもっとめぐり逢いたかったなと感じた。
    もしかしたら、子どもの為を思って行う「しつけ」も、自分の感情をコントロールできていないだけだったり、その子の為になってない場合もあるかもしれない。常に反省を繰り返すことが、親の責任でもあるのかなと思えた。
    「ソーシャルレファレンス」という言葉が本の中に出てくるが、これは誰もが覚えておいた方が良い言葉だと感じた。たとえ、子を持つ親ではなくても。
    子どもは3歳までに一生分の恩返しをすると言うけれども、それは本当だなと子育てをしながら感じている。そんな可愛らしい子ども達が自律した大人になれる様、楽しみながら子育てについて学んで行けたらと思う。

  • 子どもとの接し方に悩む度に読まなくては…と思っていた有名なこの本。題名、表紙から間違いなく良書なのはひしひしと伝わって来ていました。不真面目に伸ばし伸ばしにしていたら、子どもがもうある程度大きくなってしまいました。
    やっぱり遅かった。でも、読んで良かったです。そして、母子手帳とセットで全ての妊婦さんに配って欲しいとさえ思いました。

    ただ、自分に子供がいる人にだけ有用なのではないようです。孫、姪や甥がいる人、教育(特に幼児期)に携わる人、近所の子でもだれでも、子供に健やかに育って欲しいと思う人、会社で上の方に立つ人、沢山の人の心の基盤に優しく、そして厳しく訴えかける本でした。

    子供のことを主に書いてはいますが、現代社会やこれからの、社会全体の人と人との関わり合い方に警鐘を鳴らしています。

    保育園、幼稚園の時期がどれほど子供にとって大事か、力説されていました。なので、園選びはとても重要なのですね。

    また、昔はその日を食べていくのに精一杯だったのが、物が豊かになるにつれ、現代の親は自分がやりたいことがたくさんあるようになったとの指摘がありました。確かに、雑誌などで「お母さんでも〜したい」とかの文句を沢山見かけて来たなと思い当たります。その結果、余計に子供に必要な手をかけなくなってきていると。

    ※子供の心に思いやりの気持ちは放っておいても育つわけでは無いのです。誰かが誰かを思いやっている姿を、日ごろから身近にたくさん見る必要があるのです。

    ※どうすれば、子供が自分のことが好きになれるかと言うと、自分のことを好きになってくれる人に、たくさん恵まれることだと思います。

    確かにそうだなぁ。この手のことを書いている本を時々見かけたことはありますが、しっかりと納得いく理由がここまで書かれている本は初めてでした。

    その時は必死でも、今思い返すと後悔してしまう子育てをしてきてしまっていました。そして、今の私も、幼い頃の育てられ方で、そうなるべくしてなってしまっている部分もあるのだと少し納得がいきました。この本に遅ればせながら出会って、この先の志が定まりました。

  • 定番の子育て書、とのことで読んでみる。

    現在子育て1年生なので、やっぱり乳幼児期の話が気になってしまう。乳幼児期の育児がその後の基礎になる、ということは心に留めておきたい。若干プレッシャーに感じる日もあるが…。
    我が子のことが大好きだ、という気持ちを優しく肯定してくれる本だなぁと思う。この子のことをたくさん抱きしめてあげたいなって時に背中を押してくれるような。
    子どもが大きくなって、子どもとの関わり方が変わってきた時にもまた読んでみたい。

  • 乳幼児期は家の基礎と同じで、大きくなると取り返しがつかないほど大切な時期である

    ありのままのわが子を受け入れる

    子どもが望むことはできるだけ聞いてあげる

    子どもの性格や生き方は親の影響を大きく受けることがよくわかる。
    現代の子育ては孤立しやすく、昔とどんどん変化している様がよくわかったし自身でもそう感じる
    どこかへ連れて行ってもらった記憶より
    「爪切りしてもらった」ことが嬉しかったというエピソードは印象的だった。

  • 仕事と育児と家事で毎日があっという間に過ぎるなか、時間に焦って感情的になり息子の悲しい顔を見てハッとする。この世で一番大切な我が子に悲しい思いをさせるくらいわたしの仕事は、大切なんだろうか?自己実現も、育児も、って難しいのかもしれない。切り替えが難しい、言葉の発達がゆっくりなのはわたしのせいかもしれない。と思い悩んだときに友人が「育児の哲学」みたいな本だよと教えてくれて、読み始めました。

    3歳の息子を育てる母として、健康に育ってくれればそれだけで幸せだ、と自分に言い聞かせつつも、健康で挨拶がしっかりできて、地頭が良くて、日本語以外にも英語でコミュニケーションも、、と願うのはどの親御さんも同じなのではないでしょうか。
    妊娠中にアグネス博士の育児書を何冊も読みましたが、それって親の遺伝子と地頭がそもそも違うのでは?と思わせられる部分あり。こちらの本は、育児のもっと根源の部分のスタンスについて、とてもわかりやすく言語化されています。
    私は冒頭部分で、いろんな思いがこみあげて胸が熱くなって泣きました笑
    こどもの要求に応える=こどもがじぶんでできないことを、代わりにやることで絶大な信頼が積み上がる
    何度も何度も言い聞かせて、できるようになるまでひたすら繰り返す

    こんなにたくさん絵本読んでるけど発語しない、うちの子大丈夫かな?と漠然とした不安を抱えながら育児をしていたわたしの背中を押して応援してくれる本でした、ありがとうございます。
    子に携わるすべての方に読んでもらいたい一冊です。

  • 子どもが親の希望どおりのことをしてくれることに喜びを感じるのではなく、
    子どもの希望にこたえられることに幸福を感じられる親であってほしい。

    この本の中にはグッと心に響く言葉がちりばめられています。

    親とはなにかを考えさせられました。
    子育てに迷ったときにまた読みたいです。

  • 確かに小さい時に「だっこ」とねだっても「自分で歩きなさい!」と怒られた記憶しかありませんが、常に抱っこをしてあげたとしてもその後歩けない人間になんてならないんですよね。いかに小さい時に愛情と手間をかけられるかが重要なのだと骨身にしみて分かりました。でも子供に対して常に受け入れ準備万端の状態を保つって難しいんですよね…。って言い訳になっちゃうんで反省します。

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著者プロフィール

児童精神科医。1935年生まれ。新潟大学医学部卒業。ブリティッシュ・コロンビア大学留学後、国立秩父学園、東京大学、東京女子医科大学、ノースカロライナ大学等にて、子どもたちの精神医療に従事する。現在、川崎医療福祉大学特任教授。
日本で初めてTEACCHを紹介し、普及に努める、TEACCH及び自閉症医療の第一人者である。
近著に『子どもへのまなざし』『続 子どもへのまなざし』『完 子どもへのまなざし』(以上 福音館)『「育てにくい子」と感じたときに読む本』(主婦の主社) 『アスペルガーを生きる子どもたちへ』(日本評論社)ほか多数

「2011年 『出会いでつむぐ私の仕事』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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