- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834017052
作品紹介・あらすじ
きりのなかではりねずみが体験したのは、あこがれ、おどろき、おそれ、そして、よろこび…、そう、人生そのものなんだ。映像の詩人と呼ばれ、世界的に評価の高いロシアのアニメーション作家ノルシュテインが、短編アニメーションの傑作『きりのなかのはりねずみ』を、新たに絵本として見事に表現してくれました。絵は、ノルシュテイン作品の美術監督でパートナーでもあるヤルブーソヴァが担当。詩情あふれる、美しく、味わい深い絵本です。
感想・レビュー・書評
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同じはりねずみ繋がりで、こちらも非常に人気のある作品。
ロシアの作家さんと挿絵画家さんという点も同じだが、こちらの元になる話は短篇のアニメーションの名作。宮崎駿が作者のノルシュタインをリスペクトしていたという話も有名だ。
はりねずみが友だちのこぐまの家にたどり着くまでの話で、ほのぐらい時間帯からの始まり。
「ひがしずんで あたりが うすぐらく なってきました。
はりねずみは こぐまの いえに でかけます。
ふたりで、おちゃを のみながら 星をかぞえるのです。
はりねずみは のいちごの はちみつにを もちました。
こぐまが だいすきなのです。」
道すがらこっそりついてくるみみずく。水たまりにうつるお星さま。
霧の中に浮かびあがる白い馬。かたつむり。銀色の蛾の群れ。蛍。
暗闇から現れる恐ろしい生き物たち。失くしたのいちご。
犬も現れる。そして足を滑らせて川に落ちるはりねずみ。
知らない「誰か」が助けてくれて岸にあがり、無事にたどり着く。
ひとりで霧の中を迷いながら行く道のりは、憧れ、恐れ、喪失、喜び、感謝、達成感
様々なものをもたらす。まるで私たちの人生のようだ。小さな子は、同じように小さく弱いはりねずみに自分の姿を重ねて、この冒険にドキドキするだろう。
そして「ひとりで」と書いたが、実はひとりではない。
窮地に陥ったときに、助けてくれた動物もいた。影のように見守るみみずくもいた。
目的地にたどり着けたのも、色々な出会いがあったからこそ。
心細い思いをたくさんしてきたから、こぐまに会えた時は「ああ、良かったなぁ」と読み手も思うのだ。この、「良かった」と思えることが、子供向けの本では一番大事。
ということで、大好きなラストの一文。
「はりねずみは、こぐまのおしゃべりをききながら、こぐまくんといっしょはいいなとおもいました。」
いいなぁ、ここが。ここを読むといつも、長年の友だちに逢いたくなる。
挿絵を描いたフランチェスカと、作者ノルシュタインは私生活でもパートナーだそう。
美術作品と呼びたくなるような幻想的な絵で、イマジネーションをかきたてられる本だ。
どの画面も暗い上に黒い小さめのテキストで、大勢での読み聞かせには不向きだが、
おうちでの読み聞かせにはぜひともお薦め。約8分。幼児から大人まで。
小さなはりねずみのけなげさと霧の中の不思議な情景が美しい名作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日が沈んで、辺りが薄暗くなると<はりねずみ>は、友だちの<こぐま>の家へと出かけます。二人でお茶を飲みながら、星を数えるのです。こぐまの大好きなの苺のハチミツ煮を持って歩いていく途中、霧に浮かぶ<白い馬>に心を奪われながら、深い霧の中をさまよっているうちに、川のなかに落ちてしまいます・・・ロシアのアニメ-ション作家ノルシュテインと児童文学作家セルゲイ・コズロフが物語+アニメ-ション美術監督のフランチテスカ・ヤルブ-ソヴァの絵は、醜い争いのない世界の静かで幻想的な絵本です。
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一般的な絵本って、何かしらの教訓や、分かり易く単純明快で面白いとか、読後の感情を設定している印象があるが(このくだりで笑う・感動等)、本作品は読者の感情操作の意図を感じないところに驚く。こんな絵本に親しめる国だから、独特なロシア文学が生まれるのだろうか。。
とあるPodcastで、「東ヨーロッパの絵本は子供を置いてけぼりにしちゃうような内容もあり、子供だからって過保護にしない」という発言があり、納得。
個人的には、最後のページが好き。
ずっとしゃべってるこぐまに対して、主人公のはりねずみが「こぐまくんと いっしょは いいなと おもいました」。
喋りっぱなしで相手の話を聞かない、食い意地の張ったこぐまだけど、はりねずみは、そんなこぐまがいいんだよね。友達って、そういうものだ。 -
はじめのほうで あとをついてきていたミミズクは 途中でどこかへ行ってしまった。なんでかな。
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さびしい絵本だった。きりの中の白い馬とかいろんなものが見えなくなるのがかわいそうだし、こわそうで、はりねずみは、どうしたらいいのって思ったと思う。
川で、はりねずみを運んでくれたのはだれだったのかな。どじょうかな。
ぶじにこぐまの家に着いて、ほっとしたんじゃないかな。こぐまはずっと一人でしゃべっているけど、はりねずみを心配してくれて、やさしいのかも。
でも、やっぱりさびしい絵本だと思う。(小3) -
絵は美しい。話はうーん。アニメも見たが、音楽が臨場感を出しているものの、やはり、話がうーん。
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ユーリー・ノルシュテインのアニメーションを拝見してお取り寄せ。霧の中は怖いものや不安だけではなく、優しさや愛情、美しいものが潜んでいた。 -
1歳半では少し難しかったかな。