貝の子プチキュー (日本傑作絵本シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834021431

感想・レビュー・書評

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  • 「自分の感受性くらい 自分で守れ」の茨木のり子さんの書いた童話。それが絵本になっていた!
    茨木のり子さんめあてで見つけた図書館の絵本。
    絵もよかった!山内ふじ江さんの包み込むような優しい絵。
    貝のプチキューが、力をふりしぼって目指した美しい世界。そこには星が煌めいていた。
    そこで出会ったカニさんと喧嘩になる。他愛のない喧嘩。その途中で、、、。

    茨木のり子さんらしい結末なのかもしれない。
    山内ふじ江さんのイカの夫婦、そして星月夜が美しい。
    せめて星達は全ての命を照らしていて欲しい。

  • 好きな山内ふじ江さんの絵が見られる本を探していたら茨木のり子さんが書いたこの本を見つけびっくり!こんな本あったんだ。

    そして、読み終わってまたびっくり!えっ、そう来るの⁈

    その容赦ない終わり方に暫し放心しました。その後じわじわと色々な思いが溢れてきました。プチキューが見た美しい星月夜。その下にあり続ける空のかいがら。

    切なくも美しい、そして独特な一冊でした。
    この絵、書くの難しかっただろうなぁ。

  • 1枚1枚を飾っておきたい位、美しい絵本です。
    原画展とかあったら行きたいな。

    絵本て色んな子供が登場人物になりますけど、貝の子供はなかなか斬新で、面白かったです。

    3歳息子は海や魚が大好きなので、ツボだったようです。

  • 海の中や星空の素敵な絵に癒されます。
    大冒険にでるプチキューだけど、あまりに儚く息耐えてしまう。
    それを、なんで食べるかなぁ、、、。蟹さん、こっちが泣きたいよ。
    読み終わった後、困惑してしばらくこの絵本が頭から離れませんでした。

  • 美しい絵にのんびりひたっていたら,思いがけないラストに衝撃を受けました.

  • 茨木のり子さんが唯一書かれた童話を絵本化したものだとか。
    とても大きなサイズの美しい絵本です。
    ある日、ちいさな貝の子プチキューは、まだ見たこともないものを見ようと歩いていきます。
    そうして満点の星を見た時は、しみじみ幸せでした。
    そのあと、カニの子と言い争いをしてケンカの途中で死んでしまい、カニの子に食べられてしまいます。(プチキューはしょっぱくて、おいしかった…)
    でもカニの子はプチキューの言っていたことが本当だったと知り、さめざめと泣きます。
    あとには、プチキューの貝殻だけが、ぽっかり口をあけて波にあらわれていました。
    プチキューが死んだことを誰も知らないけれど、その次の晩もまばゆいばかりの星月夜。
    その次も、その次も…。

    すごくすごく悲しくなりました。
    茨木さんがこの童話を書かれたのは、二十歳過ぎの頃。戦争によって奪われた青春を悼む思いが込められているんだそうです。

  • 子供のようだけど意外と強気なところもあるプチキュー。名前もとても可愛らしいです。
    大型の絵本なのでわ幻想的な美しい絵にじっくり触れられるのも魅力。

  • 読み聞かせをしながら泣いた! プチキューというネーミングセンスの素晴らしさ。それに愛らしさ。蟹も憎めないやつだ。

  • プチキューが死んでしまった時の悲しさといったらない・・・。
    海底から見上げた満天の星空は、とても美しい風景としてプチキューの目に映ったのだろうなぁ。
    そんなことを思いながら、挿絵を眺めていました。
    絵も海の流れや岩のゴツゴツ感がとても良かったです。
    原画を見てみたい!

  • 小さな小さな貝の子どもプチキューはひとりぼっち。さみしい時は泣き、おなかがいっぱいになると眠ります。眠っていると波のうたが聞こえてきます。つまらないなぁ、つまらないぜ。プチキューは聞きました。「なにが、つまらないの?」どこへもゆけないからさ うごけないからさ。そこで、プチキューは一度もいったことのないところへあるいてみよう。そして、冒険がはじまる。朗読のために書いた童話を絵本化したもの。著者が死去された後に絵が添えられた。唯一の絵本。なぜだか、悲しい。悲しむ必要なんてどこにもないのに。美しい言葉とはなんて残酷なのだろう。美しいからこそ、一際引き立つ。そして、貝の子を見るたびに思い出すのだろう。心に残る作品。読み継がれるたびに、貝の子プチキューはその姿を現すのだろう。そして、読者だけは知っている。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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