どうぐはなくても (福音館のかがくのほん)

著者 :
  • 福音館書店
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834022629

感想・レビュー・書評

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  • 道具を使わないで家を作るのは?鳥。鳥の巣作りは道具は使わないようだ。いろいろな鳥の巣が水彩の繊細な絵で描かれていて、見ていてとても楽しい。背景もいい。

  •  おそらく鳥の巣を、まじまじと眺めたのは、小学校以来なのではないかと思うくらい、関心が無いわけではないのだけれど、普段そう簡単に見られるわけではないし、仮に見つけたとしても、巣よりも卵や雛たちに目がいってしまいそうな気がする。

     というわけで、そのタイトルに目から鱗の思いがした、この作品は、300編近い動物文学作品を発表した、V.ビアンキ原作(1952年)を、ロシアの絵本やアニメーション文化に携わる、田中友子さんが文を書き、『もりのてぶくろ』でお馴染みの絵本画家、N.チャルーシナが絵を描いた、改めて鳥の巣を実際に見たくなる絵本です。

     そして、そのタイトルから改めて実感させられた鳥の素晴らしさは、人間が家を建てるときに欠かせない道具を一切使わずに、自分たちの巣を作ることが出来ることであり、その素材に何を使うかや、その形状、どの木に作るかといった、それぞれの拘りも印象的で、中には、ヨタカみたいに家が要らない場合もあるが、それを作るために、クチバシや脚を上手に使っていることも知り、その生まれ持った身体には、ちゃんとした理由があるのだなということを改めて実感させられると共に、それぞれに異なる木との関係性も興味深く、こんなところにも、時に厳しい自然社会で生きるもの同士の繋がりを感じさせられ、見ていて温かい気持ちになる。

     そうした関係性から、鳥と木が共に描かれる場面の多い本書では、チャルーシナの絵の、鳥は本物のような精巧な描き方で、木は色を幾重にも合わせた繊細な描き方と、それぞれに使い分けることにより、まるで、その霞がかったように見える朧な世界で、はっきりとした鳥の存在感が際立つようであり、背景の隙間に白色を入れているのも、更にそれを後押ししているようで、より印象に残る。

     その中で、特に私が目を惹かれたのが、カササギであり、勝手に不吉な印象を抱いていたのが申し訳ないくらい、その精巧な絵の、パッチリとした目、長く優雅な尾、そして黒色の毛の部分には、藍色のような青みがかった部分もある上品さであり、その美しさに、思わず見入ってしまう。

     また、カササギの、巣の中の卵を見守る、その優しい雰囲気に包まれた佇まいには、人間と同様の、子どもに向けた愛情の宿る親の眼差しがあり、こうした場面に、鳥も人間も同じ思いを抱えて生きていることの尊厳を感じられたことも、本書の意義の一つなのではないかと思わせた点には、きっと子どもにとって、鳥に対する慈しみの心を芽生えさせるものもあるのではないかと思い、大人にとっては、こうした親が子を見守る姿に、原初的な感動が込み上げてくるようにも思われ、そうした共感にも、同じ世界で生きるもの同士の繋がりがあることを実感させてくれるようで、私は嬉しくなる。

  • 科学絵本だけど、お話的な要素もあって、なかなかに面白い絵本だった。

  • たださんの本棚から図書館予約
    へー!すごい!
    野鳥には感心させられることばかりだけれど
    もっとも感動するのは「巣作り」ですよね
    知らなかったことがページをめくる度に
    へー!すごい!と
    学識豊かな作家たちからの贈り物
    平易な言葉とリアルな絵で楽しませてもらえた

    もう三年来てくれないツバメさん
    来年はどうぞ我が家に巣をつくってね

    表紙と裏表紙
    ワシは圧巻

    ≪ とりたちは どうぐなくても 家づくり ≫

    • たださん
      はまだかよこさん、こんにちは♪

      渋い作品を選書下さり、ありがとうございます(*'▽'*)

      その巣を作る、ひと手間ひと手間には、確かな知恵...
      はまだかよこさん、こんにちは♪

      渋い作品を選書下さり、ありがとうございます(*'▽'*)

      その巣を作る、ひと手間ひと手間には、確かな知恵があることを感じたことに加えて、何よりも親が子を想う気持ちが込められているようで、感動したのを覚えております。

      来年は、ツバメさん来てくれるといいですね☆彡
      2023/12/30
    • はまだかよこさん
      たださんへ

      いい本をご紹介くださってありがとうございました
      また来年もよろしくお願いいたします
      追っかけさせていただきます((´∀...
      たださんへ

      いい本をご紹介くださってありがとうございました
      また来年もよろしくお願いいたします
      追っかけさせていただきます((´∀`*))

      おかげさまで絵本の世界が広がった一年でした

      よいお年をお迎えくださいませ
      2023/12/31
    • たださん
      はまだかよこさん

      私の中で、初の追っかけをして下さる方とお会い出来て、とても印象深い年となりました!
      ありがとうございます(^∇^)

      私...
      はまだかよこさん

      私の中で、初の追っかけをして下さる方とお会い出来て、とても印象深い年となりました!
      ありがとうございます(^∇^)

      私如きのレビューでいいものかと思いつつも、やはり、同じ作品を読んで下さっているのを知ると、とても嬉しくて、実際に、子どもたちへ読み聞かせをされている、かよこさんのレビューやコメントは、私にとって、とても貴重なお話を聞いている気持ちにさせられ、得るものがありました。

      こちらこそ、また来年もよろしくお願いいたします(*'▽'*)

      それでは、よいお年をお迎え下さいませ。
      2023/12/31
  • どうぐを家のざいりょうにつかったら、がんじょうにはなるけど、チェーンソーとかを入れちゃったらひながまちがえてスイッチをおして、家の木のえだがきられちゃうんじゃないかと思った。

  • かしこいな。鳥たちの知恵

  • 人間は様々な道具を使って家を建てますが、鳥たちは道具を使わずにじょうずに巣を作ります。色々な鳥たちがそれぞれの巣を作ります。

  • いえをたてるとき、たくさんのどうぐをつかいますよね。でも、とりたちはすをつくるとき、どうぐをつかわないようです。どうやってつくるのか、とりたちにきいてみましょう──。
    枝や綿毛、そして唾液などを使った数々の鳥の巣を紹介した絵本。カササギの尾羽の美しさに惹かれ手に取りました。鳥の巣といっても、使う素材や形がまるで異なることが面白い。ツリスガラの巣は寝心地良さそう(笑)語り手の声のかけ方も良いですね、キツツキの時は身体を気遣ってどうぐを勧めていました。裏表紙のどうぐの使い方も良し。オススメです。

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著者プロフィール

ロシア児童文学者。翻訳絵本に『くちばし どれが一番りっぱ?』(ビアンキ著、福音館書店、2006年)、『どうぐはなくても』 (ビアンキ原著、福音館書店、2007年)他。

「2019年 『ビリービンとロシア絵本の黄金時代 改訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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