しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん (幼児絵本シリーズ)
- 福音館書店 (2014年2月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (24ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834080490
作品紹介・あらすじ
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん あさまで よろしくおねがいします あれこれ いろいろ たのみます」……夜、眠りにつく前のひととき。男の子はぐっすり眠れますようにと、しきぶとん、かけぶとん、まくら、の寝具たちにそっとお願いをします。彼らは「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と男の子を優しく、暖かく、包み込んでくれるのでした。漫画家・高野文子が子どもたちにおくる、お休みなさいの絵本。
感想・レビュー・書評
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高野文子初めての絵本執筆、ということだけで手に取った。この時点(2014年)で、「黄色い本」以来12年間本を出していなかった。それから同年にもマンガ本を刊行したが、またそれ以降沈黙している。ともかく寡作なのだ。今も沈黙しているけれども、未だに存在感はずっとマンガ界ではハンパない。
さて、絵本である。
基本線は筆だ。
今回も、過去の表現を捨てている。
3歳くらいの男の子の
寝る前の不安
おねしょ、手と足の冷え、怖い夢
しきぶとんさん
かけぶとんさん
まくらさん
にお願いしたら
まかせろ まかせろ おれに まかせろ
とっても頼もしい答えでした
きちんと守ってくれました
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん
いつも いろいろ ありがとう」
男の子には毎晩
寝る前に
読んであげたいですね -
漫画家「高野文子」さんによる、初めての絵本は、『幼児絵本シリーズ、2才から4才むき』ということで、ターゲットをはっきりと絞ったものになっていますが、これが意外にも、大人が読んでもハッとさせられるものがあって、面白いです。
まずは表紙を見ると、子どもが見ても一目瞭然な、シンプルで分かりやすい絵でありながらも、どこか愛嬌のある、ほのぼのとした雰囲気に加えて、とてもリラックスしている男の子の表情も印象的ですが、その理由は本編を読めば明らかになります。
それにしても、「さん」を付けるだけで、その物自体の印象がこんなにも新鮮に感じるなんて、私にはとても意外で、口に出してみると、それらはまるで、人間の友達のような親しみやすさでありながら、改めて、普段恩恵を受けている事への感謝の気持ちを抱きたくなるような、かしこまった気分になるのだから、言葉というのは面白いもので、思わず子どもも、「さん」付けしたくなるのではないでしょうか。
そして物語は、まさに友達のような心強い信頼感と敬意をもって、男の子は寝る前に、とても丁寧にお願いをしますが、それは男の子が密かに抱えている不安の裏返しでもあり、そんな心細さには、きっと大人の方も、かつての自分を思い返すような気持ちに立ち帰るのではないかと思い、「しきぶとんさん」の文章だけ、試しに掲載してみたいと思います。
しきぶとんさん しきぶとんさん
あさまで ひとつ おたのみします
どうぞ わたしの おしっこが
よなかに でたがりませんように
(男の子のどこか不安げな表情は、見ている私も共感してしまいそう)
まかせろ まかせろ おれに まかせろ
(男の子は不安で思わず、横向きになりますが、ここで初めて、しきぶとんさんに表情が浮かびます)
もしも おまえの おしっこが
よなかに さわぎそうに なったらば
(しきぶとんさんの手が現れて、男の子のお尻をそっと支えてくれます)
まてまてまてよ あさまで まてよと
おれが なだめておいてやる
(そして、男の子を両手で持ち上げるその姿、私にはとても心強く感じました)
いかがでしたでしょうか?
これをお休み前に読み聞かせしてくれたら、きっと子どもの不安も解消されて、安心して眠りにつけるのではないでしょうか。
こんな感じで、「かけぶとんさん」と「まくらさん」も展開していきますが、本書には、子どもの眠りを促進する効果もありそうで、それは、それぞれの絵の背景が段々と暗い色になっていくことや、終盤の、飛行機の高度の推移と、その下の文字の色のグラデーションが下に行く毎に濃くなっていく感じに、私はまるで、「羊が一匹、羊が二匹」のような、次第に瞼が重くなる印象を受けましたが、実際は、夜明け前を表しているのだと思います。右下の段々と浮上してくる丸は太陽のように見えますしね。
まあ、それでも捉え方は、人それぞれだと思いますし、本書の洋題が『SWEET DREAMS』なのも、是非本書を読んだ子どもたちが素敵な夢を見られますようにといった、高野さんの願いが込められているようで、私にはとても微笑ましく、温かいものを感じられましたし、読んでいて、とても優しい気持ちになれますよね。
ちなみに、若竹色っぽい見返しは、ちょうど男の子の着ているパジャマと似た色であることから、始まりのそれは、寝る前に着替えたそれで、終わりのそれは、脱いだそれで、今日も無事に一日を始められるといった、しきぶとんさん達との心の交流の始まりと終わりを表しているのだと思い、こんな細かいところにも丁寧な作り方をしていて、私はこのような評価ですが、対象年齢への読み聞かせでしたら、☆プラス1で良いと思います。 -
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ベルガモットさんこんばんは!
もしかして‥と思ったら、やっぱりおねしょのお話だったんですね。実は私も同じく低学年までおねしょしてたので、当...ベルガモットさんこんばんは!
もしかして‥と思ったら、やっぱりおねしょのお話だったんですね。実は私も同じく低学年までおねしょしてたので、当時を思い出し身にしみるお話になりそうですね。
それと共に高野文子さんがこんな雰囲気の絵本を書いたこともちょっと謎です。2022/08/05 -
111108さんこんばんは!
コメントありがとうございます♡
いまだにおねしょする夢をみてびっくり飛び起きることがあります
しっかり者の1...111108さんこんばんは!
コメントありがとうございます♡
いまだにおねしょする夢をみてびっくり飛び起きることがあります
しっかり者の111108さんでも同じご経験とは、勇気だして告白して救われる思いです
高野文子さん、謎多き漫画家さんなんですね!
ファンの方のレビューは大絶賛ですし
ドミトリーももう少ししたら読もうと思ってます♪2022/08/05 -
ベルガモットさんお返事ありがとうございます♪
思わぬ同士がいて私も嬉しいです!でもしっかり者と言われたことは今まで一度もないですけど‥
...ベルガモットさんお返事ありがとうございます♪
思わぬ同士がいて私も嬉しいです!でもしっかり者と言われたことは今まで一度もないですけど‥
高野文子さん、私も2、3冊しか読んでなくてほとんど知らないのですが、独特の美意識みたいなイメージだったので、こんな子どもに向けたゆるい感じの本も作るんだなぁと意外に思いました。
この絵本も興味深く読みたいです!2022/08/05
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絵本になるまで待ってたぶん。
やっぱり高野文子はすげえ、と考える。
もはや狂信者と化してしまっただけなのかもしれない。
けど、やっぱりよいものはよいのである。
むかしなにかで読んだけど(たぶん文藝別冊の高野文子特集のやつ)、取扱説明書のようなものが書きたい、と言っていたその通りのようなものがこの絵本のなかにはあるではないか。なんだこの記号化された「布団の中に入る時のようす」の一連の流れは!(俄然ヒートアップ)そうなんだよこうやって入るんだよ! -
2歳〜。
就寝前の読み聞かせで、クスッとした笑いをもらい方におすすめ。幸せな気分で入眠できますよ! -
寝る前に何となく不安で心もとなくなってしまう気持ちと、ふとんに寄せる信頼感と得られる安心感。
けなげな男の子がとてもかわいい。
高野文子がこんな絵本も作るのだなあと幅の広さに驚き。 -
最初、しきぶとん、かけぶとんがどんなものなのか?がピンとこない様子でしたが、
一生懸命に聞き入っていました。
しきぶとんさん!しきぶとんさん!おねしょしないようにまもってくださいね。
かけぶとんさん!かけぶとんさん!けがした足をまもってくださいね。
まくらさん!まくらさん!怖い夢を見ませんように、、なんて、優しく問いかけると
少し、親しみが持てたようです。
6月5日
この本ではない月刊絵本を広げながら、「おれにまかせろ!まかせろ!」と作り読みしている男の子の周りに集まって、読み聞かせの会ごっこしているのにびっくりです。 -
広い意味で「おやすみなさい」の絵本。
大人になると布団でゆっくり眠ることこそこの世の極楽だけれど、暗くなって寝る、というのは実はこどもにとってはちょっとこわいことであったり心配な時間であったりもするんだな、と改めて思い出させる。
そんなこどもの気持ちをどーんとひきうける頼もしき寝具一式。こどもの不安をひとつひとつ受け止めて「まかせろまかせろおれにまかせろ」と言ってくれることで、こどもは安心して眠りにつける。
一日の疲れを癒やし明日へのエネルギーを蓄える大切な眠りの時間。心配しないでよくおやすみ、あったかいふとんにくるまって、いい夢見て朝までぐっすりおやすみ、という祈りを体現したような作品。 -
「ドミトリーともきんす」があんまり良かったので、勢いで、初の絵本というこれも注文。うーん、やっぱりいいわあ。もうね、線と色を見ているだけでココロがほどけていきます。
「しきぶとんさん しきぶとんさん あさまで ひとつ おたのみします」
「まかせろ まかせろ おれにまかせろ」
子どもたちが小さい頃に読んでやっていたら、さぞ喜んだだろうなあ、お布団に入るのが楽しくなっただろうなあと、ふくふく考えているうちに、なんだかジーンとしてきた。
ちょっと大きな声では言いにくいけど、オトナだってこんな風に言って欲しい気分のときがあるよなあ。いや大人だからこそ、というべきか。今晩から一人で呪文のように唱えることにしようかな。
「まかせろ まかせろ おれにまかせろ」
お名前間違えていました。申し訳ありません!
製図ペン‥‥そうですよね。あの世界をえがくのには、そうなりますよね。
お名前間違えていました。申し訳ありません!
製図ペン‥‥そうですよね。あの世界をえがくのには、そうなりますよね。
高野さんの筆の絵、見てみようと思います。
高野さんの筆の絵、見てみようと思います。