- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784834081015
作品紹介・あらすじ
忘れないで。とてもたいせつなことなの。取り壊されるのを待つばかりとなった祖父が暮らした家。庭の蓮が花開くとき、時間を越え、少女はいつかの夏へと旅をする。第16回児童文学ファンタジー大賞佳作受賞作!
感想・レビュー・書評
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祖父の一周忌に、田舎の亡き祖父の家を訪れた莉子。家の取り壊しに伴い、片付けのためにしばし伯母と滞在することに。早朝に咲く蓮の花の秘密を探ろうとする莉子は、開花と共にタイムスリップする…。
まるでうたた寝時に見るような夢、みたいに時が遡る。それも、繰り返すほどに時は過去へ。タイムスリップのたびに出会う祖父、莉子が生まれていない時代に出会っても、何故か莉子のことを知っている。どうやら鍵は蓮の花にあるようだが…。
ちょっとミステリー的な仕掛け、古きよき昭和の家の描写、蓮の実ごはんや葡萄のジャムのパンケーキといったフード描写など、読みどころは沢山あるが、何より美しい自然の描写!むせかえるような草花の匂いを、そのままに運んでくるような文章。木村彩子さんの挿絵も本当に素晴らしい。鮮やかな蓮の花に目を奪われる。
懐かしく、瑞々しく、余韻の美しい、夏に読んで欲しい珠玉の一冊だ。
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タイムトリップ系。読み終えた時、もう一度読み返したくなる。
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久しぶりに読んだけど良かった。。おじいちゃん泣
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蓮の花の開花とともに過去へタイムスリップする、というユニークな設定ですが、穏やかで品のある文章のため、最後までスムーズに読み進めることができました。全体を通して温かく、優しさにあふれた物語です。
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図書館でジャケ借りした児童文学。不思議なことが起こる夏の朝、その意味が徐々に分かっていくにつれて、物語の中に引き込まれていった。表紙の絵を見て感じた透明感がそのまま文章にも感じられて、綺麗な風景を想像しながら読めた。調べたら2015年の課題図書(中学生の部)だったそうで。納得。
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主人公と一緒に時間を旅しているような感覚になった。
読後は優しい気持ちになって今をより大切に生きようと思えた。
当たり前にある身の回りの環境も長い年月の中で少しずつ変わっていて、たくさんの人達の物語を紡いできているのだと思った。 -
おじいちゃんが暮らした家で夏の少しの間を過ごす莉子。蓮の花が開く朝に時間を遡って過去の祖父や母に出会う。家族がいて代々繋がってきて今の自分があるということ。そしてこの先も繋がっていくということ。私の今までの物語は?これからの物語は?私も物語で出来ているんだな。故郷に帰りたくなる。