なくしたものたちの国

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784834251661

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジックな話しで、主人公の成子の子供の頃からの成長を連作短編として書かれたもの。
    なくしたものはどこに行くのか。
    この物語を読んで、以前母が話してくれた輪廻転生の話しを思い出した。
    今、いろんな人や動物や物と関わっているけれども、以前もずっといろいろ関わってきてたんだろうねっていうような話。
    松尾たいこさんの絵も懐かしい感じがして素敵。

  • とりあえず・・
    八日目の蝉】は大好きだが、俺はもう二度と角田さんの書籍は手に取らないと思う。

    作品が良い悪いでは無い!
    俺に合わないのだ(つД`)ノ
    そうそれたけだ。

    角田さんは素敵で偉大な作家さんだと思う。
    でも・・
    ◇26センチの足には、例えどんな素敵でも22の靴は入らないし・・
    ◇お腹いっぱいなら、極上ステーキは入らない。
    ◇男児は幼少から武器や乗り物が大好きで〜
    女児は同じくお化粧やおしゃべりが好きだ。

    本書籍に涙する女性は数多だと思う。
    だが、理解すら出来ない男性も数多だと思う。

    ・・角田さん、失礼な事を言って申し訳有りません(´・Д・)」

  • 2013 1/24

  • 理性がぶっとんだ。堰を切るってこういうときを表現していうんだなってぼんやりとかろうじて残っていた思考たちが自分につげる。

    「生まれかわればもう一度会って話せるのだろうか、笑顔が見れるのだろうか」という考えがぐるぐると自分を侵食する。生まれ変わりが恐ろしくて何回も小さい時に泣いたのに、循環がいやで必死で科学書をよみあさったのに。

    びっくりするくらい浸透圧の高い、子どものときの気持ちを忘れていないあるいは思い出せる人に告げる物語。断片で少しずつ少しずつ、かたくなったよろいさえもいつの間にか浸透して、懐かしいような切ないようななにか大事な気持ちを思い出させる。

    もう少し落ち着いてもう少し思考を進ませてから、もう一度読みたい。
    そのときはもっとやわらかななにかが自分に浸透してくれるような気がする。

    なくしたものたち、その響きはなんて甘美なのだろう。
    Never let me goのNorfolkに、私は多分同じ響きを感じた。でもこの本はそれのためだけの物語。だからより押し寄せてくる。

  • 1人の一生をおった寓話のような不思議な世界観を持つ小説でした。
    輪廻天象がおおきなテーマとして置かれているように感じ、その上で、忘れたもの、なくしたものの意味を問うところが独創的でした。

    死の捉え方もユニークで、これならちっとも怖くない と思えました。

  • ファンタジー短編集。
    小川洋子の『失踪者たちの王国』をなんとなく思い出した。
    動物や物と話が出来た主人公、飼い猫の生まれ変わりの少年との出会い、恋人が好きすぎて生霊になるなど、リアリストの私には?となってしまう設定が多かったけど、するっと読めたのが不思議。
    『さようならと、こんにちはのこと』が一番好きだった。子供がいる女性はぐっと来るんじゃないかな?

  • 連作短編集でファンタジー小説。

  • 名作『Presents』に続く松尾たいことのコラボ作品。正直『Presents』のように誰が読んでも感動できるような作品ではないような気がします。それはやはりファンタジー的要素が強いために角田さんお得意の“身につまされつつも読者にちっぽけではあるが、かけがえのない夢を見させてくれる”話ではないからだと思います。一話一話完結した話じゃないのも原因かもしれません。ただ読む人によっては大きな夢を見させてくれる物語であるのかもしれませんし、他作とは違った新たな角田さんの魅力が全開した作品と捉える方がいても何ら不思議ではありません。

    体裁的には連作短編集と言った感じで五編が綴られ、主人公の女性雉田成子の小学生時代から中年にさしかかるぐらいまでが描かれています。
    それぞれの話、うしなったものに対するいろんなエピソードが書かれ、そして人間として一女性として成長を遂げて行くのですが、最終編でのまとめ方はやはり作者の筆力の高さを認めざるをえないと言えましょう。
    ゆきちゃんとの再会によって自分の過去を振り返り、そして明日を見つめて前進して行く姿は本当に微笑ましいです。
    個人的にはタイトルの“なくしたもの”というよりも自分自身の現在過去を問わず“見失ったもの”を見つめなおす機会を与えてくれた読書であった。
    私にとってはやはり“現実感溢れる作家”で、そこを掬い取ることを目的として読んでいるんだなと改めて気づかせてくれました。

  • 生きるということ 死のこと
    希望の詰まった物語
    この世界の死生観に共感する
    この本の世界を知っていたら、死ぬことに対して恐ることはないだろうと思う

    ゆきちゃんの存在
    遺失物保管庫
    うまくいく恋愛

    たくさんの心の宝物箱に入れておきたいような言葉が散りばめられている

    なかでもゆきちゃんの言葉が一番好き

  • 無くしたモノ、亡くした人、忘れた記憶、それらは実は「なくしたものたちの国」へ行っただけでちゃんとどこかに存在するんじゃないか?なくしものファンタジーとでも言いたいような作品です。

    いつもの角田光代の「読者置いてけぼり」攻撃が全くない気持ちのよい読後感で驚きましたw
    書こうと思ったら書けるんじゃんwwwって感じですw

    特に八木のゆきちゃんとの件は冒頭もラストもすごく良かったです。
    今でも実際に一部のこどもには動植物と会話が出来たり、過去世を覚えている子がいたりします。
    おとなになるにつれてその能力は失われることが多いようですが、そんなことが出来た頃のことを「いつかなつかしくおもうのよぉ」とゆきちゃんに言われたとおりに主人公は思い出します。

    猫のミケが過去世を覚えたまま主人公の5歳年上の男の子として今世を生きていること。
    でもその記憶は少しずつ失われつつあること。
    母と元ミケ少年が過去世を共有し語り合う機会を得られたこと。

    読めば読むほど「こうであって欲しい」「こうなって欲しい」と私が思うようにお話は綴られていて何度も何度も心が暖かくなります。
    遺物管理課の「忘れこども」の部屋のシーンだけは軽くオカルトでやけにリアルに脳内再生されてしまってちょっと気味悪かったですが、これはこれで面白かったです。

    「八日目の蝉」を読んで以来次々と角田作品を読んできましたが、初めて同じくらい面白かった良かった!と太鼓判押せる作品に出会えましたw

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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