ものを考える人考えない人: 新・知的生活の方法

著者 :
  • 三笠書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837917861

作品紹介・あらすじ

ベストセラーとなった『知的生活の方法』から四半世紀が経ち、私もそれからいろいろな経験や新しい知見を得て、「知的生活」というものに対して、新しく気づいたことや再び強調したいことも出てきた。それをまとめたのがこの本である。

感想・レビュー・書評

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  • 1.著者;渡部氏は、英語学者で評論家でした。博学で、専門外の歴史や哲学及び人生論等、多くの分野に精通していました。読書家で、蔵書は14万冊超だそうです。夥しい数の著書を出版し、知の巨人と言われました。日本エッセイストクラブ賞や正論大賞を受賞しています。著書「知的生活の方法(1976年)」は講談社現代新書史上最大のベストセラーとなりました。著者は、残念ながら、2017年に86歳で永眠しています。
    2.本書;「ものを考える人考えない人(1999年)」は、副題「新・知的生活の方法」とあるように、前述した「知的生活の方法」の第三弾です。前書から、23年の月日を経て、その後の様々な経験と新しい知見をまとめた書です。11項目の構成(1.こんな知的刺激が後々までものを言う~11.知的生活と経済基盤―目先の煙に巻かれない生き方)です。本書刊行に当たり、渡部氏は「たとえ小さな進歩でも、週単位、月単位で確認できる人の悦びはまさに”万金”にまさる!」と書いています。
    3.個別感想(気に留めた記述を3点に絞り込み、私の感想と共に記述);
    (1)“2.師に何を学ぶか、ライバルとどう磨き合うか”より、「読書は充実した人間を作り、会話は機転の利く人間を作り、書くことは正確な人間を作る(ベーコン)」
    ●感想⇒私の読書観は、「三日書を読まざれば面貌憎むべく語源味なし(黄山谷)」の通りです。会話は人間関係の潤滑油、書くことは自分の知識の棚卸であり、これらは、知的生活の三本柱と言われています。特に、書く行為は、自分の考えを確認する為にも必要でしょう。
    (2)“3.考える力が必然的につく読書法”より、「冨や地位は、立派な人格とは何ら関係がない。・・・誠実と礼節を忘れず、節度と勇気を持ち、自尊心と自助の精神に則って生きる人は、貧富のいかんを問わず真の人格者なのだ。貧しくとも心豊かな人は、心貧しい金持ちよりもあらゆる面で優れている(スマイルズ)」
    ●感想⇒政治家の金銭疑惑がよくマスコミの話題になります。誠実と礼節の無い人に“政”をする資格はありません。“志”優れた人格者の出現が期待されます。同時に、私達も人を見る眼を養わなければなりません。
    (3)“9.自分の夢と現実をイコールで結ぶ生き方”より、「感謝すべきことには敏感であれ、感謝されることには鈍感であれ。・・・自己実現の方法は、勤勉・正直・感謝以外にはないというのが私の結論である。自己実現とは、自分の好きなことをやって、十分に食うことができ、結果が他人によって高く評価されることである」
    ●感想⇒私は凡人なので、感謝に関しては、著者の主張の逆になりがちです。すなわち、「感謝すべき事に鈍感で、感謝される事に敏感」になりがちです。本書を読んでからは、感謝の場面に留意するように心掛けています。勤勉・正直・感謝を座右の銘とし、自己実現したいものです。
    4.まとめ;私は読書が好きです。先人に学ぶ事や擬似体験する事が人間形成に役立つと考え、色々な本を読んできました。若かりし頃に、渡部氏の「知的生活の方法」を読み、読書する事の意義を考え、その後の読書姿勢に役立ちました。最後に、渡部氏の私達へのエールで締めます。「これからどんな時代が来ようとも、どんなことが自分の周りに起ころうとも、自分の内面生活に確たる“芯” を作り、自分の手で充実させていく人には、何ら問題にはならないであろう。もはや“敵”はそこにはいないだろうから」 ( 以 上 )

    • 村上マシュマロさん
      こんばんは、ダイちゃんさん。
      村上マシュマロです。

      ダイちゃんさんの本棚を拝見させて頂き、沢山気になる書籍がありましたが、この渡部昇一氏の...
      こんばんは、ダイちゃんさん。
      村上マシュマロです。

      ダイちゃんさんの本棚を拝見させて頂き、沢山気になる書籍がありましたが、この渡部昇一氏の書籍名にひかれ、感想を拝読させて頂きました。

      ベーコンの言葉やダイちゃんさんの座右の銘とされた「勤勉・正直・感謝」、渡部氏のエール「自分の内面に確たる〝芯″を作り」という点に共感し、また自分の今迄を振り返りました。振り返った結果は、自分はまだまだ特に勤勉さや″芯″の部分が年齢からすると未熟だと思いました。
      自己実現については、渡部氏とは少し違う解釈をしました。正直お恥ずかしい事ですが、自己実現の具体的な意味がわからず、検索しました。私には、検索結果の方の意味がしっくりしました。以下の通りです。
      自己実現というのは「人間が持つ高度な目的であり、自分のままで、自分の能力/強み/可能性を発揮・実現することを通して、自分らしい生き方をすること」であると捉えることができます。
      以上、この度もダイちゃんさんの感想で勉強させて頂きました。
      ありがとうございます。
      秋の長夜、良い週末をお過ごし下さいませ。
      2022/09/09
    • ダイちゃんさん
      村上マシュマロさん、おはようございます。コメントして頂き、有難うございます。マシュマロさんは勉強家ですね、感心します。マシュマロさんの調べら...
      村上マシュマロさん、おはようございます。コメントして頂き、有難うございます。マシュマロさんは勉強家ですね、感心します。マシュマロさんの調べられた内容が一般的と思います。渡部さんは自分なりの使い方をしたのでしょうね。すでに、お調べ済みかもしれません。「自己実現」は、マズロー(米心理学者)の欲求5段階説が有名と思います。人間の欲求は、①生理的欲求(低次元)⇒⑤自己実現(高次元)へと5段階を上昇するという理論です。自己実現欲求の意味は、「自己成長、潜在能力の実現を求める欲求である」と言われています。経営学でよく出てきますが、某大学教授は否定的です。理由は、実証研究で良い結果が出てない、との事。説教じみてご免なさい。私の長いレビューを読んで頂くだけでも感謝なのに、マシュマロさんの好奇心・考察力に脱帽です。レビューが楽しみです。これからもよろしくお願いします。
      2022/09/10
    • 村上マシュマロさん
      ダイちゃんさん、おはようございます。私の拙いコメントに返信を頂き、ありがとうございます。丁重で貴重な返信に(私ではわからないようなこと)感謝...
      ダイちゃんさん、おはようございます。私の拙いコメントに返信を頂き、ありがとうございます。丁重で貴重な返信に(私ではわからないようなこと)感謝申し上げます。こちらこそよろしくお願い致します。
      2022/09/10
  • 1999年の著書 古きよき時代が書かれている
    子供時代にこの本を読んでいたらと思う
    ただ時代が違うなとは感じる場面が多々ある
    しかしぶれない考えの根本はそう変わるものではないだろう
    紹介されていた書籍は読んでみたい
    努力論、修省論、心、得する生き方損する生き方、半七捕物帳、序の舞、細雪、氾濫、軍閥興亡史、坂の上の雲、言志四録、三国志、太閤記

    知的生活、知的人間関係、自分の時間、自己を最高に生かす(渡部訳) 自助論、(竹内均訳) 幸福論 、奴隷への道 など

  • 図書館で借りて、2/3まで読み進んでいる。 著者作品「 自分の品格 」からのつながり。
    主に、著者の経験、主観に基づく日々の行動に対する考え方を書いた本。この類の本、特に訳本などは文体が硬かったり、引用説明が長く文章が中断したりと読みにくいことが多いが、この著作は平易な文体で読み進みやすい。
    若干考え方が古かったり、偏ったりというキライは感じられるが、ところどころにうなずけるものの考え方が書かれている。
    「自分の心の声に静かに耳を傾ける」 「 余暇の規律 」「とにかく最初の1ページを書き始める」 などなど 日々の生活で覚えておきたい言葉がある。 
    一度読み終わったら、時間を置いてもう一度戻りたい一冊。

  • 知的生活をおくるためのポイントが網羅されている。10年前に読んだ時と違った読み方ができた。また数年して読んでみたい。

  • 何かの本の中で紹介されていて、図書館にリクエストして借りました。一気に読みました。
    最近、哲学?したい気分なのかも。


    P44
    「読書は充実した人間をつくり、会話は機転のきく人間をつくり、書くことは正確な人間をつくる」
    フランシス・ベーコンのエッセイ「勉学について」の中の言葉。
    納得しました。

  • 知的生活をおくるための様々なヒントが得られる一冊。著者の経験からの語られるエピソードには深く感銘を受ける。学生、二十代の人には特におすすめ。

    特に読書法、環境の作り方が参考になる。ここで紹介されている書籍も是非読んでみたい。

  • これ読んで、人集めて勉強会を開くことを思いつきました。
    松下村塾のような熱気で、未来の日本を作る人間が出るだろうと思われ。

  • 失敗したら自分の努力が足りなかったと反省し、成功したら運が良かったと思うようにする。
    感謝することには敏感に、感謝されることには鈍感になれ。
    けっこう良いことが書かれている。
    反面、優雅すぎて私の生活にはどうも合わないなという事がらもあった。
    例えば、私的ライブラリーのすすめは素敵だと思ったが毎日タクシーに乗って喫茶店まで行き、500円のコーヒーを飲みながらの読書など。
    読書100冊より実り多い、対話から生まれる大切なことがあることも覚えておきたい。

  • 読んでいて途中で挫折した。
    第一、知的生活なんてものが、人生最高のものであるはずがない。
    やっぱり、大学教授という類の人種は、この程度のことしか書けないのかと嘲り笑いたい気持ちだ。
    上智しか世界を知らない、狭い人間の書いた本としか思えない。

  • お勧めの本 得する生き方、損する生き方 吉村昭ふぉん・しーぼるとの娘 宮尾登美子序の舞 自己を最高に生かす 人間この未知なるもの 読んで著者と知的・情的に交流することである。そして出来れば感動し、自分の人生に潤いや滋養を得たい 岡崎久彦隣の国で考えたこと 小村寿太郎とその時代 「余暇」を持ち得る能力は、人間の魂の根本的な能力の一つなのである 情報をうまく活かすひとは結局、「うまく捨てる人」 文書は、主語が明確に表現されていることが欠かせない

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著者プロフィール

上智大学名誉教授。英語学、言語学専攻。1930年、山形県鶴岡市生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了後、ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学へ留学。ミュンスター大学における学位論文「英文法史」で発生期の英文法に関する研究を発表。ミュンスター大学より、1958年に哲学博士号(Dr.Phil.)、1994年に名誉哲学博士号(Dr.Phil.h.c.)を授与される。文明、歴史批評の分野でも幅広い活動を行ない、ベストセラーとなった『知的生活の技術』をはじめ、『日本そして日本人』『日本史から見た日本人』『アメリカ史の真実(監修)』など多数の著作、監修がある。2017年4月、逝去。

「2022年 『60歳からの人生を楽しむ技術〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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