名著「代表的日本人」を読む: 日本とは何か、そしてどう生きるか (知的生きかた文庫 い 66-1)

  • 三笠書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784837979890

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  • 「己に打ち克つ者は成功し、己を愛する者は失敗するのです。多くの者が八分通り成功しながら、残りの二分で失敗するのは、成功するにつれて自己愛が生まれ、用心を怠り、安逸を思い描き、仕事を厭うようになり、そしてついには失敗するのです」
    だから我々は人生のあらゆる局面において命懸けで事に当たらなければならない、そう西郷は言うのです。

    「正義の道を歩み、正義のためとあらば、国もろとも斃れるほどの気概がなければ、諸外国との満足のゆく外交を望むべくもない。彼らの強大なるを恐れ、和平をこがれ、彼らの意に卑屈に従うならば、我々はいたずらに侮りを招くだけです。友好関係は終わりを迎え、ついには彼らの奴隷となるでしょう」

    国家の名誉が何らかの形で傷つけられたとき、
    「たとえそれによって国家の存立が危うくなろうとも、公正と正義の道に従うことが国家の明らかな義務なのです・・・・・・戦争という言葉におののき、怠惰な平和を金で購うことをビジネスと心得るような政府は、商社の支配人でこそあれ、もはや政府とは呼べない」

    「正しくあれ、怖れるな」

  • 内村鑑三という人についてはすごく興味がある。
    それにもかかわらずあまり著書を読んだことはない。

    この本は8歳の時に明治維新を迎え、外国のこと、キリスト教のことをよく学んだ内村鑑三が、「日本とはどういう国なのか」と疑問を持つ諸外国に向けて英語で書いた本である。
    英語名は『Representative men of Japanese 』
    それを訳したのがあるこの本だ。

    そして代表的日本人とは、以下の5人
    西郷隆盛
    上杉鷹山
    二宮尊徳
    中江藤樹
    日蓮上人

    この5人の紹介を通し、日本人の心を伝えている。
    キリスト教に代表される欧米の考えとの類似点を挙げていることで、かつて、よくわからない国のひとつである日本を、心の通っている人間たちのいる国だと紹介したかったのではないか。

    内村鑑三の柔軟な考えは現代でも学ぶことは多い。
    そして代表的な日本の偉人からも学ぶことは多い。
    読んでよかった一冊である。

  • 私は農業をしているので、個人的には、農民の二宮尊徳の話がおもしろかった。
    どの人物もモラルが高いということや、その人がしていることに対して
    熱意をもって取り組んでいるということなどを書いていたので、
    読んでいて気持ち良かった。

  • 読みやすいのはありがたい。内容は西洋人向けで、著者がキリスト教徒でもあるため、西洋やキリスト教徒との対比が多いが、それがやや安易な印象はある。原典に戻る行動を示した日蓮をルターに例えていたのはおもしろい。

    上杉鷹山
    ・高架橋と高井堤による45kmの用水路、黒井堰をつくった。※黒井半四郎忠寄が計画、実行し、米沢市北部(高畠・赤湯)から南陽市までの地域の水田をうるおした。
    ・岩場に366mのトンネル飯豊山穴堰を掘って大河の水路を変えた。※荒川の上流玉川(小国町)の水を白川へ疏水した。
    ・藩校興譲館を再興した。

    日蓮
    ・旧仏教が儀式的で華美虚飾だったため、北条氏は瞑想を尊ぶ禅を導入し、京都、鎌倉、越前にいくつかの寺院を建立した。
    ・日蓮は、涅槃経の「人に依らず、法に依れ」の一行を読んで、4つの仏教の経典を読み、妙法蓮華経(法華経)に真理と悟りの徳が収められていると考えた。

  • 西郷隆盛などの代表的日本人の生涯・生き方・考え方をを抽出して綴ってある。自己啓発というより、歴史勉強の感覚で読んだ方がオススメ

  • 二宮尊徳について名前は知っているが、具体的にどんな事を成したのかは知らなかった。

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著者プロフィール

1861年生まれ、1930年没。思想家。父は高崎藩士。札幌農学校卒業後、農商務省等を経て米国へ留学。帰国後の明治23年(1890)第一高等中学校嘱託教員となる。24年教育勅語奉戴式で拝礼を拒んだ行為が不敬事件として非難され退職。以後著述を中心に活動した。33年『聖書之研究』を創刊し、聖書研究を柱に既存の教派によらない無教会主義を唱える。日露戦争時には非戦論を主張した。主な著作は『代表的日本人』、『余は如何にして基督信徒となりし乎』など。
佐藤優
作家、元外務省主任分析官。1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。現在は、執筆活動に取り組む。著書に『国家の罠』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。『自壊する帝国』(新潮社)で新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞。おもな著書に『国家論』(NHKブックス)、『私のマルクス』(文藝春秋)、『世界史の極意』『大国の掟』『国語ゼミ』(NHK出版新書)など。『十五の夏』(幻冬舎)で梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞。ほかにも著書多数。

「2021年 『人生、何を成したかよりどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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