図書館の神様

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838714469

感想・レビュー・書評

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  • 爽やかに、さらっと読めた。主人公の部屋とか、図書室とか、墓地とか、情景が目に浮かんでくる。海が見えて少し田舎の、こんな町に住んで、その町の学校で、本に囲まれている。私には羨ましい環境。ふらふらしているように見える人にも、ちゃんと芯がある。いいなと思った。

  • 高校講師である清(キヨ)が最初は嫌々の文芸部の活動を通して人間的に成長していく物語。主役は清なんだけど、一人だけの文芸部員である垣内くんの爽やかさからなのか、清の高校時代の話も多く出てくるからなのか、『青春』の話だったなぁと思う。
    不倫相手には相当イラッとしたけど。どうせならもっとギャンとさせたかったけど。

    ところどころにそっと置いてある文学の話もよかったな。漱石の夢十夜、今度読んでみよう。
    垣内くんの言葉、とても丁寧で好きです。自分の身近にこんな大人びた文学青年がいたらなぁと思うけど、魅力にはきっと気づけなかったのが高校時代の私なのでしょう。

  • 「文学を通せば、何年も前に生きていた人と同じものを見れるんだ。・・・そこにいながらにしてたいていのことができてしまう・・・マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく・・・僕は本を開いてそれをする」文芸部の垣内君の言葉にグッと来た。
    キヨは教師になることで新しい世界に出ていくことを決めた。
    垣内君といい、弟といい、キヨはいい子たちに囲まれて幸せですね。

  • 瀬尾さん、二冊目です。
    やさしくて、心が温まるような、穏やかな気持ちになりました。

  • 海の見える中学校に国語の臨時職員として赴任した清(きよ)は、そこで文芸部の顧問となる。唯一の部員・垣内君と交流を重ねるなかで、清の今までの価値観が少しづつ変わり始め、教師として人として成長していく。

    学校、図書館、文学、青春、スポーツ…この作品で登場するキーワードは、どれも屈託なく眩しい。そんなキラキラした世界に対し、清は最初飛びぬけて捻くれ壁を作っていた。そんな彼女が徐々に本との距離を縮め楽しさを見出していく姿に、本好きの人は共感する部分も多いはず。
    文学に対しひと際熱意と知識を持った垣内君に、読者もこの本を通して様々な本を教えられ、派生して別の本にも手を出したくなるのもこの作品の魅力のひとつだと思う。
    垣内君、本当によくできた男の子です。

  • 正しくて清いことと、大切なことは、同じようでいて違う。
    正しさをふりかざすのではなく、その時に向かい合っている相手に対して
    全力で、全心で接したい。自分の言葉で。

    垣内君の言うこと、行動がとてもいい。
    ひょうひょうとしながらも自分がしっかりあって、さりげない優しさもあって。
    優しさを押し付けないところ。人が気を許すようなキャラクター。
    「先生の明日と明後日がいい天気であることを祈ってます。」

    瀬尾まいこの小説に出てくる人は、皆優しい。深い優しさ。
    瀬尾まいこはどんな人なのか、読むたびに会ってみたくなる。

  • 名前は清(きよ)
    その名の通り清く正しく、勉強もスポーツも
    何事にも真っ正直に生きてきた清。
    キャプテンをしていた高3のバレー部の時に、
    部員の自殺する事件が、それを機に、描いて
    いたものから外れた道を歩き出した。

    部活もやめ、体育大学へ行くはずが地方の
    大学へ進学、性格もいい加減さを増し、
    投やりの気分のまま高校の講師に就く。

    講師となったものの部活動の顧問は、全く
    気合いの入らない文学部、私生活ではケーキ
    教室の講師と不倫。

    気持ちが清く正しかったころは極度のアレルギー
    退室だったので、それが、清さも正しさも薄れる
    につれて身体は少しずつ丈夫になっていく。

    文学部の部員は、垣内くんひとりきり。

    年齢もまだまだ近いふたりのやりとりや、
    文学との触れ合いを通じて、忘れていた
    何かを思い出すように再生していく。

    まだまだこれからだよ~と言いたくなるよな、
    青春ストーリー

  • 大学の図書館で借りた。
    友人の自殺をきっかけに「清くまっすぐ生きられなくなった」主人公のきよ。
    文学部の垣内君との会話がすごく良い。

    そして姉思いの優しい拓未も好きだな、と思った。
    読み始めは、先生退屈にやってんじゃねーよ。って思ってたけどなんか読むのがやめられないんだよね。ついつい夜更かし。

    瀬尾さんの小説は初めてでした。思わずメモを取りたくなる文章がちりばめられていてきゅんとしたことがあった。

    清と垣内君と拓未がこれからも弱くなりながらも強く未来に進んでほしいと思った。

  • 教師になりたくて教師になった私としては、
    こんな感覚で教師になられても・・・と思わずにはいられないが、
    そのポーズの向こうにある清のまっすぐな精神は、
    やはり教師に向いていると思う。

    講師をしていた時に、数学の先生が、
    「長く教員をしていると、
    教師と生徒の枠を超えて接することができる生徒が
    一人か二人は出てくるんだよねぇ」
    としみじみおっしゃっていたことがある。
    (変な意味ではないよ、あしからず)
    垣内くんは清にとってはそういう生徒だったんだね。
    人間として対等に向き合い、刺激をもらえる相手。
    基本的に生徒はなんだかんだで、やはりかわいい。
    でも、そういう運命の生徒にはまだ出会えてない気がする。
    清が羨ましい。

  • 瀬尾さんの作品はいろいろ読んでいるけど、なぜか読んでなかった。
    瀬尾さんのどの作品にも吹かれている風をこの作品でも感じた。
    最後、ふたりがグラウンドで走るくだりがとても好き。青春だなぁ。
    いつもながら、この人の本は
    おもしろいくらいスラスラ読める。
    風邪をひきながら読んでたので(笑)苦しかったけど。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ふたりがグラウンドで走るくだりが」
      図書館とグラウンドが繋がらなくて、何となく読みたくなってきました。
      文庫には幻の短篇「雲行き」って言う...
      「ふたりがグラウンドで走るくだりが」
      図書館とグラウンドが繋がらなくて、何となく読みたくなってきました。
      文庫には幻の短篇「雲行き」って言うのも載ってるらしい。それも気になる。。。
      2012/03/06
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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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