- Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838714995
作品紹介・あらすじ
角田光代のどこにでもいる恋人たちを描いた11の恋愛短編集。
感想・レビュー・書評
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とても面白い短編小説なんだけど、読み終わるそばから内容を忘れてしまう。登場人物の印象が強過ぎて、ストーリーが頭に入ってこないのだ。
でも読んでいる最中は「そうだそうだ」とうなづいたり、「そんなもんかしら」と首を捻ったり、過去の自分と重ねて懐かしく、または恥ずかしく思ったりした。
一番好きなのは『雨と爪』というタイトルの話で、迷信をとことん重んじる彼女と同棲している男の子の葛藤を描く話。
時々思うことがある。
今のわたしがこうなってしまったのは、あの朝蜘蛛を殺してしまったからなのではないだろうかと。例えば夜中に口笛を吹いたから電車の中で財布を盗まれてしまったのかと。いろんな不幸が起こるのは、その裏で気がつかずにやってしまった全く関係のない何かが糸を引いているのか。
おれたちは自分の意思で何かを決めて、少なくとも決めようとはして、そのとおりに日々を過ごしているのか。それとも、もうひとつの世界で決定される何ごとかに従って、自分自身に決定権すら持たぬまま翻弄されるように行きているのか。(雨と爪より)
作者の感性が自分にあまりにも近くて、文章のリズムも選ぶ言葉もすっと入ってき過ぎるので、多分何も残らないような気分になるのだろうと思う。
あとがきを読んで、これはハッピーエンドからだらだら続くしあわせな恋人たちの日常を書いたと知った。もしこれを日常と呼ぶなら、それは結構ハードだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恋人たちの話で
もうお腹いっぱい!
会話が自然で登場人物がみなリアル
角田光代さんは大好きな作家さん
やっぱり『笹の舟で海をわたる』が私の
ザ・ベストワン!です
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当初はお互いに痘痕もえくぼだった恋人同士が、痘痕が痘痕になってきて葛藤するお話しを集めた短編集。こんなバカ臭いことで?ということで愛が壊れていく人々を見てると身近に実例があるわけではないけど他人事に思えず共感すら覚える。100%自分に合った相手などいないというのはあながち間違いではないのかも。
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意外と傑作かもしれない。
「べつにさあ、外見飾んなく立って、内にもってるもんがきれいだったらそれ、外にだって出てくんのにね…」
と風呂に入らないスマコは言う。
風呂に入らないのは置いといて天才だ、納得。
角田さんは、あとがきにて
「ばっかじゃねぇのこいつら」と罵る。
ばっかじゃねぇのこいつらな人たちの
すばらしく、くだらない日常を描く。
普通じゃないことは、なんにも悪いことでない。
※ある程度の範囲内では
「ばっかじゃねぇの」というのは、褒めコトバだとも思う。
ばっかじゃねぇのと思われるくらいの生活に少し憧れるかも…
巨人ファンすぎる主人公がいたが、西武ファンすぎる自分と若干重なってしまい…
※あくまで若干。
少し反省もした一冊だった。
100%でなくても、お互いを認め合える暮らしをねー。 -
また随分痛いところを刺されたな。
ハッピーエンドのあと、だらだら続く男女の恋物語の短編集。
恋愛で美しい時間なんてほんと一瞬で、生きているのだから、そんな2人の時間は生々しく、醜い時間がほとんどだ。
どんなに相性がよくて、惚れ合った相手でも、許せない部分があって、第三者からみたらくだらない、ほんとに些細なことだったりするんだけど、でも本人からするとそれは耐え難きものであったり。
一瞬とはいえ、珠玉幸せな時間を共有した相手なのに、憎しみを抱いてしまう自分に疲れ果てたり。
世を歩くカップルの、大半ははたからみると幸せそうで、でも、みんな何かしら抱いている黒い部分がある。
そんな、もやっとしたものを丁寧に切り取るのがお上手な方です、角田光代。ある種のホラー小説家。 -
いろんなダメ人間の日常を見せられても、全く面白さを感じなかった。
恋愛パラメーターが極度に低い私から見ると、意味がよくわからん。嫌ならさっさと別れればいいのに。 -
一緒にいるのも、分かれるのもほんの一寸で決まる。紙一重。全ての人が全てピッタリで一緒にいれるわけではなく、いかに相手を受容しなければいけないかを改めてリアルに感じて、すごく引き込まれた。アラサーの皆さんには感じられる感情がたくさんありそうですよ。今のタイミングで読めて良かったと思う。
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恋人関係で生じる相手の"些細なこと"に考えさせられ、幻滅し、時には関係が壊れたり、恋人たちの人間模様が書かれた短編小説。
人って似た者同士を求めがちだけど(そうなのか?)
似てない者同士の方が意外とうまく行くと思う。
なぜなら、電池みたくプラスとマイナスの凹凸同士が合わさるとてつもないエネルギーが生まれるからである。
人との関わりでズレは生じるものだから、そのいざこざをお互いがどうすり合わせお互いの違うもの同士って受容することが必要だと思った。 -
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