蘇える変態

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838726615

作品紹介・あらすじ

星野源・待望の最新刊。資生堂アネッサCMソング「夢の外へ」、「知らない」と立て続けにヒット。アルバムもオリコンチャートを賑わせ、主演舞台に主演映画とうなぎのぼりの人気のさなか、2012年末にくも膜下出血で入院。手術後数ヶ月で復帰したものの、再発。長期の休養を強いられた。「面白いものが作りたい」と、音楽・俳優・文筆とむさぼるように仕事をしてきた著者。
アルバム制作や撮影現場などの“ものづくり地獄”の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えようとした闘病生活、完全復活まで。怒濤の3年間を綴った、くだらなさと緊張感とエロと哲学、ミックスにもほどがある垣根なしのエッセイ。雑誌『GINZA』好評連載「銀座鉄道の夜」の書籍化+書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • くだらなさと真面目さの同時進行!ゆるゆるさが際立った一作目のエッセイと比べると、お仕事の裏話的なエピソードも多くて読み応えありました。とにかく、貪欲なんだよな彼。仕事に対する真摯さには脱帽です。
    「“一部の人だけ聴いてくれればいい”なんてツマラナイことは死んでも言わん。“どんな方法でもいいから売れたい”なんて恥ずかしいことは死んでも思わん。自分が面白いと思ったことを満足いくまで探りながら、できるだけたくさんの人に聴いてもらえるように努力する。それがわが地獄における、真っ当な生きる道だ。」
    なんてストレートな言葉。究極の理想形だけど実現するのは本当に難しいこと。わかっていながら正面から挑む源さん、かっこよすぎます。
    相変わらず下ネタも豊富で(笑)けっこうえげつないんだけど、面白いんだよね。ところどころしこまれた小ネタにも笑ってしまう。「哲学しよう(山田邦子)」が個人的にツボ。(源さんの世代でも知ってるのか!)
    後半の闘病記…ページを繰るのも辛くなるんじゃないかと思ったのだけど、ここでも笑える下ネタを放り込んできて、なんかもう…泣き笑いになっちまうじゃないか!個人的に、精神的にキツかったときにこの本を読んだので、自分のつまらんモヤモヤが一瞬にして吹き飛びました。もう最高すぎる、買ってよかった。何度でも読み返したいと思う。源さんの文章、大好き!心に刻まれる名文がいっぱいです。
    それにしても、よく「GINZA」で連載してたな…下ネタは加筆してるようだけど(笑)花沢健吾さんのイラストも素敵です。

  • 最近ときどきANNを聴いているので、図書館で見つけて読んでみた。女性誌での連載とは思えん内容だった、おもしろかった

  • めちゃくちゃ働いてるではないか、この人!
    そのストレスでくも膜下に倒れたに違いない、と思う。
    ただ、基本的にはフツーのすけべな男の子で、面白いものを作ろうとする気持ちに妥協のない人なんだろうと思う。
    そして、おもしろがっちゃえ、という元気な気持ちで行動する。いろいろな人に感謝している。
    それにしても、この人のことを今までよく知らなかっただなんて、もったいなかった。
    何気なく注目していこう。
    やはり倒れた直後の療養生活部分の記述は、引き込まれて読んでしまう。命の危険にさらされるような病気をしたことなどない私にとっては、知らない毎日だ。
    本当に、元気になってくれてよかった。

  • 星野源、最高!
    くだらないことを真剣に書く。
    これはそのお手本のようなエッセー集。
    いや、笑いましたよ。
    おっぱいの話とか。
    俳優、ミュージシャンでもあるのに、こんなに明け透けに「エロ」を語っていいのだろうか、と余計な心配をするくらい赤裸々で、そのぶん潔い。
    でも、エロ話に付きもののえぐみは適切に処理され、笑いに転化しています。
    星野さんの才能でしょう。
    これはブログにも書きましたが、実は、テレビをほとんど視ない(視ると他のことが手に付かなくなるくらい夢中になるので)私は星野さんを最近まで知りませんでした。
    本の雑誌「ダ・ヴィンチ」(10月号)で特集を組んでいて、それで知ったのです。
    あの辛口書評家の豊崎由美社長が絶賛していて、「才能というのは次々と登場するのだなぁ」と感心してその時はそれでおしまい。
    で、何日か後に社用車でラジオを聴いていたら、思いがけず素敵な曲に出合ったのですね。
    しっとりとしたアコースティック曲で、何より歌詞が素晴らしい。
    曲が終わったら、パーソナリティーが曲名を紹介するはずだと思い、車を路肩に止めてメモの用意をしました。
    〝星野源『くだらないの中に』でした〟
    私は「あ」と声を漏らしました。
    「ダ・ヴィンチ」で特集されていた星野さんとピッタンコとつながったからです。
    と、ここまで書いて、星野さんをご存知の方は失笑していることでしょう。
    「は? 今ごろ?」
    みたいな。
    で、歌詞の何が素晴らしいって、この部分。
    ♪首筋の匂いがパンのよう すごいなあって讃えあったり くだらないの中に愛が 君が笑えば解決することばかり
    「首筋の匂い」を「パンのよう」と表現しちゃうんですよ!
    それで「讃えあ」うんですよ!
    このくだらなさ、そして、そのくだらなさの中にある、持ち重りのするとってもかけがえのない物。
    こんな歌詞を紡げるのはすごい。
    というわけで、星野さんの新刊本であるところの本書を手に取った次第。
    長くなって申し訳ありません。
    で、えーと、そうそう、本当に面白いエッセー集なのです。
    エロばかりではなく、「ものづくり地獄」と称する音楽制作のことや闘病生活といったシリアスな話題もありますが、どれも随所におかしみがあって何度も笑うこと必定です。
    もう、実物をお見せした方がいいでしょう。
    「ぽっちゃり」という題名のエッセーから一部引用します。
    □□□
    俺はぽっちゃりした人が好きだ。統計によると、世の男性の7割くらいはぽっちゃりが好きらしい。以前ラジオ番組に、「とある男にぽっちゃりが好きだと言われ、その基準を尋ねたら安めぐみと答えられて、女子として大変遺憾である」という怒りのメッセージが送られてきたことがある。
    その通りだ。答えてしんぜよう。安めぐみさんは完全なる「痩せ」だ。あれをぽっちゃりと言ってしまったら、この世のほとんどの女子がデブになってしまう。それはそう答えた男が悪い。俺の思うぽっちゃりは、篠崎愛である。痩せではなくデブでもない、絶妙にふっくらとした体型、それがぽっちゃりだ。彼女の体型はぽっちゃり世界基準として登録してもいいだろう。しかし問題はここからで、そのメールの文末にはこう書いてあった。
    「私の思うぽっちゃりの基準は森三中です」
    震えた。それは、お前ちょっと甘えすぎだろう。あれをぽっちゃりと言ってしまったらこの世のほとんどの人がガリガリだ。
    □□□
    ね? 面白いでしょう?
    一事が万事こんな調子で進んでいくのですが、たまに本当に真面目なことを淡々と云ってのけます。
    たとえば、「マンガとアニメ」というエッセーでは、オタク少年だった自らの過去を面白おかしく振り返り、「犯罪以外で道を踏み外したと感じるおおかたのことは、踏み外したのではなく、自分が『真っすぐだと感じる道』と社会や環境が指し示す『真っすぐな道』がただ違うというだけだ。世間が『あんた曲がった考え方をしてるね』と言う時は大抵、思考が曲がっているのではなく自分の中の『真っすぐの考え』が周りの『真っすぐの考え』とズレているだけなのだ」と記します。
    なるほど、と思わず膝を打ちました。
    まあ、でも、硬い話は抜きにしてとにかく笑えるエッセー集です。
    私は本書を北村温泉という温泉で読みましたが、サウナで裸のおっさんたちを前に不覚にも「フフッ」と声を漏らしてしまいました。
    これは自分の部屋なら爆笑に等しい笑いです。
    あと、この際なので世の女性たちに云いたい。
    男はだいたいここに書かれているようなことを普段から考えています。
    いいぞ、星野源!

  • ユーモアのセンスってこう言うことなんだな。

    病院の描写の中でも暗くなるどころか、むしろ多くの場面でにやけてしまっていた。星野リズムにまんまと飲まれていた。

    夢をコントロールできるから襲われた夢でも「ちんこ!ちんこ!」と唱えていたら、現実でも絶叫していたというところ、図書館で読んでいて吹きそうになった。

  • 最後の最後に、女性誌に載せてた内容なの!?と驚かされた。(どうも下ネタ的な話が多かったから)星野源という一人の人間のリアルな姿が書かれていて良かった。

  • 蘇える変態
    著作者:星野源
    発行者:マガジンハウス
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    死の淵から生還した星野源の奇想の3年間を大公開。

  • この本で学んだことは「死にたい」と思った時に「おっぱい揉みたい!」と思ったり言ったりすることで、ちょっと幸せな気持ちになって心に効くということです。

    地獄でなぜ悪いがもう7年前なのか。

  • 2019年11月21日読了。女性誌に連載していたというエッセイ集。なかなか面白い文章を書くな・音楽に舞台にドラマ、映画に文筆業と色々やってんなー、とのんびり読んでいると突如、こちらも忘れていた「くも膜下出血による休業」の記録が飛び込んでくる構成には驚かされた…。なんとも赤裸々な記録で、とにかく「げんきになってよかったね」としかかける声がないなあ…。まさに死の淵に立った、ということだったのだな。考えてみると自分だっていつどんな病や事故に遭うかもしれないし、人生は短い、やりたいこと・チャンスがあることはなんだってやってみるべき、ということなのかもしれんねえ…。しかしこういうエッセイで散々にクサされる「過去の女」とか「周囲の無責任な人々」ってこーいう文章を読むとどう反応するもんなのかな、案外自分のこととは気づかないもんなのかな?

  • 彼の本性がなんの嘘偽りなく書かれているエッセイだと思います。彼のファンは絶対読むべき。
    これがあるからこそ『いのちの車窓から』に繋がるんじゃないかな。もうすぐ文庫も発売されますね。買います。

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著者プロフィール

1981年、埼玉県生まれ。俳優・音楽家・文筆家。俳優として、映画『罪の声』で第44回日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。音楽家としては、近年に『SUN』『恋』『ドラえもん』『アイデア』『創造』『不思議』など多数の楽曲を発表。また、著作に『そして生活はつづく』『働く男』『よみがえる変態』がある。音楽、エッセイ、演技のジャンルを横断した活動が評価され、2017年に第 9 回伊丹十三賞を受賞。

「2022年 『いのちの車窓から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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