きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838727919

作品紹介・あらすじ

思春期なんてとっくに卒業……と思いきや!? 追いかけてくる自意識の罠。

あぁ、こんな大人になるはずだったのだろうか? そんな悶々とした気持ちの吐露に共感必至。自分だけじゃなかったという安心感、ななめ過ぎる視点に大笑い、でも減り続ける友だちを思う気持ちにほろりとしたりと、七色の感動が込められた珠玉のエッセイ集。

気になるテーマは、・初めての結婚願望 ・大人のパンチラ考 ・おひとりさまの年末年始 ・謙遜をサボる女 ・大人の恥ずかしいゴミ ・紫外線と女の本気 ・ちゃんとおばさんする ・鞄がもげる夏 ・「着ない服」愛好会 ・おろおろインターネット 他。

読んだら誰かに話したくなる!

感想・レビュー・書評

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  • 時間かけて長々と入力した完成間近の感想が消えてしまったよ、全て・・・
    ああ、スマホの全消し、もう要らない・・
    せめて、設定で取り除けられればいいのにな。

    というわけで、簡単に書きます(^^;)


    本書は、しじみさんのレビューを読むまで知らなかった、村田さん初のエッセイ集で、以前読んだ、「となりの脳世界」は、デビューから15年、各紙誌に書いてきたエッセイを一冊に纏めた、バラエティに富んだものであったが、こちらは、雑誌「anan」(2013~15年)で連載されたものを纏めたもので、最初こそ、アラサー女子へ向けた統一性がある内容に思われたが、次第に、自らの嗜好(いつもの村田さん)へと、ごく自然に変わってゆき、正直ホッといたしました(友達からは「こんなことねえよ」と突っ込まれたそうだが、それが村田さんなので)。

    村田沙耶香さんといえば、小説で連想させるマイノリティさと、小説家のイメージとはちょっと違うような、一般人特有の素の可笑しみや駄目なところも併せ持った、稀に見る、面白くも可愛い方であり、それは、「村田さんのタイプの人は?」と聞かれて、『壁を殴らなくて、束縛が異常ではなくて、部屋の中で全裸を強制したりしてこない人かな?』と答えたり、見てる分にはときめくので捨てられない、赤ずきんのスカートと白雪姫のスカートに(更に、森の中に熊がいるスカート)、「なんか興奮した」という理由で購入した、地引網に大量のヒトデがかかっているデザインのストールからも感じられて、もしかしたら、「えっ?」と思われるかもしれないが、私は、これらのエピソードにとても愛しさを感じられる。

    そして、私が特に心を打たれた、村田さんの人柄に、友達への真摯な思いがあり、それは、友達が「ごめんね、愚痴だけど……」と前置きをして、話してくれる感情に美しさを感じることにも表れており(傷つきながら生きているから、傷から膿が出るのだ。その膿を、私はどうしても汚いとは思えない)、また、『綺麗なことしか起こらない人生なんてない。人生について本音で話せば話すほど、汚い感情だって出てくる』には、村田さん自身の眼差しで見た人生観も窺えるようで、心揺さぶられるものがあった。

    それから、村田さんといえば、コンビニでバイトをしていた事が頭に浮かぶが、それをしていた理由の一つに、『働いている同僚の姿を尊敬しているから』という思いがあり、その代わりがいくらでもいる仕事ながら、それぞれに真似する事の出来ない、唯一無二の存在感だった彼らへの思いに、自意識過剰で人見知りの村田さんではあるが、人間がとても好きなんだという、友達とはまた異なる真摯さを感じさせられて、そんな一面に、村田さんも彼女の作品も、より魅力が増してくるのだろうと思わせるものは、確かにあるし、もしかしたら、このエッセイがきっかけで、「コンビニ人間」が誕生したとか? なんて想像するのも楽しい。

    副題の『淑女の思春期病』は、村田さんが30歳を過ぎたころから、また様々な「身体の変化」を体験し、同世代の女友達とも、そんな話ばかりで、「大人である自分が、もっと大人に」なっていく不思議な体験に、「あ、なんだか今、私たち、思春期みたい」と思われたことに基づいており、大人の2年間なんてあっという間だというのに、その間にも、自分の心はどんどん変化し、身体はますます変化しており、それは、「老い」というものに対する新鮮な驚きで、一生に一度しかない大切な観察記録のような気がしたそうです。

    また、本書の連載のおかげで、「痛み」だと思っていたものを、笑ったり、見せ合ったりできるようになったことや、『皺は美しいと思う。でも、皺を作らないような努力をしてしまう。どちらも本当の私の気持ちなのだという気がする。二つの価値観の間を揺らいでいる』こと、それぞれには、友達と同じくらい、村田さん御自身の心と身体も大切にされているように思われて、そんな真摯さも、きっと彼女の魅力の一つなのだろうと感じられました。


    しじみさん、改めて、ありがとうございます。
    おかげさまで、村田さんの新たな一面を知ることが出来ました。

    • 土瓶さん
      ₍⁠₍⁠ ⁠◝⁠(⁠ ゚⁠∀⁠ ゚⁠ ⁠)⁠◟⁠ ⁠⁾⁠⁾シャカシャカ-

      (⁠ノ⁠^⁠_⁠^⁠)⁠ノシャカシャカ~

      (⁠╯⁠°⁠□⁠°⁠...
      ₍⁠₍⁠ ⁠◝⁠(⁠ ゚⁠∀⁠ ゚⁠ ⁠)⁠◟⁠ ⁠⁾⁠⁾シャカシャカ-

      (⁠ノ⁠^⁠_⁠^⁠)⁠ノシャカシャカ~

      (⁠╯⁠°⁠□⁠°⁠)⁠╯⁠︵⁠ ⁠┻⁠━⁠┻アイヤ~
      2023/07/17
    • つくねさん
      たださーーん、スミマセン素敵なレビューあげてたのに全然気づかずにいましたorz

      自意識過剰で妄想癖大噴火 村田さんってカワ(・∀・)イイ!...
      たださーーん、スミマセン素敵なレビューあげてたのに全然気づかずにいましたorz

      自意識過剰で妄想癖大噴火 村田さんってカワ(・∀・)イイ!!

      長文があっとゆう間に真っ白けになってしまったら凹みますよね。
      私もあるあるですけど、都度新しい発見もあり、まったく同じ文章書けないんですよね。

      レビューのほうも900超えたそうでおめでとうございます。


      2023/08/04
    • たださん
      しじみさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます(^^)

      いえいえ、こちらこそ、お祝いのコメントまで下さり、とても嬉しいです。
      あり...
      しじみさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます(^^)

      いえいえ、こちらこそ、お祝いのコメントまで下さり、とても嬉しいです。
      ありがとうございます(^∇^)

      ちょうど、これを投稿した時、しじみさんが、少しブクログを離れてらしたようにお見受けしたので、そんな時にコメントするのも野暮だなと思い、控えてました。

      しじみさんも、そうした経験がありましたか。
      ただ、書き直した時に、ここは前よりも良くなったかなと思えたりもするので、しじみさんの仰る、新しい発見というのも分かるような気がしまして、案外、結果オーライだったりするのかもしれませんね。

      このエッセイは、最初こそ、一般女性に向けた雰囲気がありましたが、次第に、いつもの村田さんを実感できたのが嬉しくて、彼女の場合、エキセントリックな部分と、真面目な部分が共存している姿に、人間の多様性を見るようで、また好きになりました。
      2023/08/04
  • とりあえず、最初に書かれたエッセイがあったので読んでみた。村田沙耶香、この時点で35歳。
    今から不惑に進もうとゆう年代だから女性としての機能もタイムリミットが近づいてるような緊迫感を感じる内容。
    普通に考えれば子供を産むなら今後10年がラストチャンス。その後は更年期障害が待ってるぞっw
    老後までの人生設計をいろいろ思い描く最終コーナーにかかってる背景。飲み友達と世間話にも黒歴史がちらほら出てきて、ため息もっw
    自意識過剰な彼女、サービス精神旺盛なとこもあるけど友達にしたらちと面倒臭そう。
    お婆ちゃんになった時、どんな皺ができてるのか。縛られることなく自分の価値観で人生楽しめたら無茶美しい皺だらけになってる気がする。ハダカデバネズミのシワクチャな肌のように。

    鎌倉山に登るのに登山用具一式揃えちゃったとか。後に高尾山は登ったとかっw
    私も70代でアルプスの稜線を颯爽と駆け回る女性ソロに会ったことあるんですが、稜線よりも、ほうれい線が気になって笑顔が無茶活き活きしてて素敵だなって思ったことありました。

    「大人のパンチラ考」とか「美容院の浮気」とか笑えました。「アダルトショップの憂鬱」もっリアルなイメトレに腰抜かしそうでしたw
    ささくれて擦れたようでも乙女な部分も残っていて可愛らしくも切なくってキュンとしちゃいましたw
    自意識過剰でSNSとかてんで駄目な割に、エッセイ描くのは平気なんだって意外に図太いとこあるような、知らないおじさんの膝枕で爆睡してる沙耶香さんとかっw

    このエッセイ書いたの2015年だから今は40超えてるのか
    カットやパーマは何処でしてんだろう。
    浮気相手の美容室には通ってるのか別れたのか、ちと気になりましたw

    • たださん
      しじみさん、こんばんは。
      こんなエッセイ集、あったのですね。知りませんでした。
      何時ぞやは、「となりの脳世界」が初めてのエッセイなどと書いて...
      しじみさん、こんばんは。
      こんなエッセイ集、あったのですね。知りませんでした。
      何時ぞやは、「となりの脳世界」が初めてのエッセイなどと書いてしまい、大変失礼致しました。村田さんファン失格ですね(^^;)
      是非、機会を見つけて読みたいと思います。
      2023/06/18
    • つくねさん
      たださん、こんにちはw

      失礼なんてとんでもございません。たまたま手にした村田さんの本がエッセイ集だった感じでした。ananに連載してた...
      たださん、こんにちはw

      失礼なんてとんでもございません。たまたま手にした村田さんの本がエッセイ集だった感じでした。ananに連載してたものをまとめた本のようです。
      「となりの脳世界」借りられててとりあえず予約しておきました。
      抱腹絶倒でシワが増えそうでした。
      自意識過剰が伝染しそうでしたっw
      是非是非、読んでみてください。
      2023/06/18
  • R2.11.23 読了。

     若い頃のような勢いで何かを始めるようなことは、年齢を重ねていくと出来にくくなってくる。まわりの目ばかり気にしていたら、生きにくくなりそう。村田さんの書かれていることに「それ、わかる。」と頷きながらサクサク読めた。
     自分もそれだけ年をとったということなのかもしれませんね。
     村田さんがこの作品の中で『私の好きなある映画の中でも、とてもチャーミングなおばあちゃんが皺をアクセサリーみたいに肌に纏って悪戯っぽく微笑んでいるシーンがある。それを見ていると、やっぱり綺麗だな、と思う。いつか胸を張って、私の皺は綺麗な皺なんだよ、と笑って鏡を見ることができるようになりたい。』と言われているように私もなりたいと思いました。

  • エッセイの冒頭に、身体も心も変化の最中にある、今しか書けないことがある。30代女子の記録。
    自身は30代をもう通過して思うこと。
    「こんな日もあったなあ・・」
    若い頃、許されたことが、微妙な空気感を醸すようになり、歳を取ったと実感した自分を・・
    村田さんのエッセイを読み、みんな同じこと考え、やり過ごしていく。少し自分が肯定できた気持ちになれる一冊。40代、50代の村田さんのエッセイもいつか読めるといいな。
    前に読んだ本を思い出す。
    雑貨店に勤務する女の子が、店にある鞄をずっと欲しいと思っていて、今じゃないと店で鞄を眺めている。ずっと好きだったけど、自分に向いてない彼を卒業して、その鞄を買う話を、なぜだか思い出す。題名は伊藤くんA TO Eだ。

  • あぁ〜めっちゃ分かるわぁ。と、
    それは無いわ〜笑。と、
    それ、また年重ねると変わるで〜の繰り返し。
    ひたすら女友達と尽きない話をしているようなリラックスして読めるエッセイだった。

    それもそのはず!
    村田沙耶香さん、ほぼ同い年だった笑笑
    いやぁ〜是非お近づきになりたい。
    そして美味しいお酒をのみながら、色々なお話をしたいなぁと思った。

    本作は、作者が35歳の頃のエッセイ
    ふふふっ淑女の思春期病とは上手い事言うなぁ。
    この微妙なお年頃?の女心?乙女心?違うか笑
    がギュッと詰まった一冊。

    特に「大人の習いごと」「電車と膝枕」は爆笑!
    この2作が続けて来たので危なかったぁ〜
    人前で読んでなくてよかった。

    ところで、また本作でも牛久保雅美さんの装画に会えた♪
    先日、垣谷美雨さんの『四十歳、未婚出産』でお目にかかったが、アンニュイでどこか憂いを含んだ女性を描くのがなんとも上手い。頼りない線と迷いのない線のバランスが絶妙なので、興味を持たれた方は是非注目して欲しいと思った。

  • 前半は“クレイジー沙耶香”っぷりがちょっと抑えめなのが肩すかし。
    『an・an』という媒体のせいなのか、アラサー女子の共感を呼びそうなエッセイが続く。(いろいろ過剰なところがあるが)
    後半は自分が出せるようになったのか(偉そうな物言い)『ご本、だしときますね』で読ませていただいたようなキレっぷりが出てくる。
    『となりの脳世界』の方が村田節全開っぽいのでそちらも読んでみたい。

    あと「オタク女子は洋服を自分に似合うかどうかよりもそのアイテムに萌えるかどうかで選んでしまう、とネットに書いてあった」と書かれていたけど本当にそうだよなーと苦笑い。

  • あんなおどろおどろしい本を書く人が、めっちゃ普通のアラサー女子だった、ということが驚き。
    共感できることが多いエッセイでした。
    共感できない方が、女として幸せなのかもしれないけど。安心しない方がいいのかもしれないけど。
    一気読み。ごちそうさまでした。

  • 村田さんより少し(・・・というか、だいぶ?)
    世代が上の私から一言。
    フッ。。。本当の劇的変化はここからよ( ̄∇ ̄)
    30代の入り口なんて軽い反抗期くらいのもんで
    本当の思春期病は、女子の最大の障壁である更年期にやってくるのだ!
    その年頃になった村田さんの書くエッセーが楽しみだな。
    どんな変化を遂げているのでしょうね。
    それにしても、、、村田さん
    UVカットに気を使い、新しい眉の形にときめく
    想像より女子力高めの方でした^^
    作家さんらしい過剰な自意識を持て余して
    四苦八苦する様子がとても面白かったです♪

  • ニヤニヤしながら楽しく読んだ。村田さんの小説はなかなか突っ走ってるけど、エッセイはまた別の突っ走り方、でも共感!
    自意識が邪魔してSNSうまく書けないって、、、わかる、、、
    そしてそういえばアルバイトしていたんでしたね。アルバイトエピソードも楽しいです。「感じよくおばさん」って難しいなー。

  • 声に出して笑った!
    自意識に囚われて恥ずかしがらずに、好きなタイプの人を見かけたら、素直にドキドキしたりでれでれしたい…というか、しろ!
    セクハラしたくない問題。
    この二編が大変よかった。友達に勧めたい。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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