ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)

著者 :
  • マガジンハウス
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本棚登録 : 3973
感想 : 357
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  • Amazon.co.jp ・本 (622ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838771004

感想・レビュー・書評

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  •  本書は一言で言うなら様々な要素を無理なく詰め込んださながら幕の内弁当のような小説でした。

     アニメ業界を描いたお仕事小説でもあり、女心を描いた恋愛小説でもあり、創作物を作るプロの熱意に触れられるドキュメンタリーでもある。魔法もなければ、殺人事件も起こらない。至って私たちの日常に近い世界で描かれる普通の働く女性の人生にここまで惹きつけられるのかと感心しました。本書を読み終わった後に改めて表紙の3人の女性を見た時はさながら戦士のようにも見えてきました。
     本書は働く全ての人々に日常をドラマに変える力を与えてくれると思いました。

  • アニメ制作のドキュメンタリーを見ているような感覚でした。面白かった。

  • 知らなかった世界を垣間見れた。アニメ業界。
    ハケンは派遣ではなく【覇権】

    マンガとアニメを混同するような役所のオジサンと違わない知識の私(≧∀≦)
    アニメ制作は、たくさんのプロセスを経て、作業は細分化され大勢の人たちが携わっている。アニメに対する情熱と愛に満ち溢れた人たちに支えられているのだと知った。

    無知の極みの私でも、子どもの頃に夢中になっていたTVアニメがあったなぁ〜再放送だったのだろうとは思うけど、慌てて夕刻にTVをつけた記憶が蘇った。

    『スロウハイツの神様』の登場人物に出会えます。京都アニメーションに黙祷。

  • 面白かった!けど、面白すぎてもっともっと読みたいというページにたどり着くまでに時間がかかった。
    ページ数と読了感がややアンマッチ。
    リピートはなしだけど、1度は読んでおきたいような小説。

  • かずなちゃんすき

  • アニメ制作に関わる人達のアニメ愛溢れるお話。深夜枠で自分の拘りを優先する監督と、夕方枠で子供をターゲットにしてビジネスの影響を受ける監督が、同志に支えられて作品を産み出していく現場の熱意が凄く伝わってくる。聖地での役所のお兄さん、どのタイミングで、どうやって盛り返すかを期待しながら読んでたときが最初の波で、より大きな波が押し寄せてきた3章がお気に入り。

  • 辻村さんにしてはシンプル、そしてベタなストーリーで、アニメ愛に溢れる王道のお仕事小説だった。終盤のまさにお祭り騒ぎのような展開は、いささかご都合主義的なところがあるものの、それも“らしさ”。お馴染みの“有名人”の登場にはニンマリ。中村倫也がイメージ合ってる感じの王子千晴役を演じる映画も楽しみ。

  • 尊敬 敬意
    歌舞伎揚


    観ないつもりでいたけど、やっぱり映画も観ようかな

  • 表紙にインパクトもあり、好きな作家さんなので、ずっと気になってはいたけれど、全くアニメの世界に興味がないので、手が出なかった一冊。
    最近、読みたいと思う本がなかったので、遅ればせながら読むことに。
    いつもどおり、事前の情報は全くなく、タイトルの「ハケン」も普通に「派遣」だと思っていた。
    私のようなアニメ業界に疎い人たちにも、分かりやすく、文中に専門用語の解説を入れてくれたりして、読みやすく仕上がっている。
    一つのアニメを作る過程を描いているのかと思いきや、章ごとに登場人物の視点を変えた連作短編集。
    文章も分かりやすいけど、やはり登場するアニメ業界の方の気持ちに感情移入出来ず、ライトな作品の割には読むのに時間がかかってしまった。
    「覇権」を目指していた人たちの話なのに、登場人物がみんないい人で、嫌味な小競り合いシーンもなく、読み終わった後も、何だか清々しい。

  • 正直、読み進めるのはなかなかきつかった。およそ600ページからなる長編に加え、業界で働く人達の鬱屈が全編詰まっているせいなのか。結構ストレスフル。脱落しそうになりながらもなんとか読み切った。エンディングは爽快。報われた気分になった。

  •  登場人物に美形が多過ぎやろ、と最初思ったが……。


     王子監督のインタビューでの爆弾発言。あれはルックスに恵まれた人じゃなきゃ言えない、言っても負け惜しみにしか聞こえない。
     単にアニメの流行に乗じただけの軽佻浮薄な動機で書かれた作品では、ああまでドギツイ文句は出るまい。良くぞ言ってくれた。

  • アニメやアニメ業界に特に興味がなかったので最初はピント来ませんでしたがアニメーターと公務員の話でグッと引き寄せられました。私もアニメ好きはオタクという思い込みがあった方なので公務員側ですが思い込みは良くないと考えさせられました。
    結果的にハッピーエンドだったところも良かったです。最初の2人もうまく行きそうだしアニメーターと公務員も幸せそうだしサバクの監督にも幸せが訪れるといいな~
    続編期待しています。

  • 時々にやにやして、あ~わかるなあと賛同して、色んな人の熱意で形作られていく過程に嬉しくなって、大好きな作品たちを心から大好きでいたいと強く思って読みました。
    ハラハラ展開がほぼないので安心してニコニコ読めました。
    まどマギのことかな?とうっすら思っていたら、巻末の対談を読んで納得。なんだかとても勝手に嬉しい。
    『V.T.R』読み返そうかな。

    私にとっての「なんだこれ」と思ったアニメはなんだったかなと、振り返ると子どもの頃の作品ももちろんある、それに加えて大人になってから胸が震えた作品も確かにある。
    確実にその作品たちに私の心は生かされていると思います。

  • 第3話は一気に読めるほどおもしろかった。それまでは、必要以上にアニメ業界の仕組みを書いてあるようで読みにくかった。

    アニメ一本作るのに、たくさんの人の情熱と体力が使われているんだなと気付かされた。これからアニメを観るときは、その奥にいる人たちのことも考えるようになるだろうな。

  • あー私も王子さんと同じく「ハケン=派遣」だと思ってました。辻村さんには珍しくお仕事小説。ただ、アニメ業界を選ぶ辺りは彼女らしい、とも言えるか。
    全体的に明るく前向きなお話。3話目の並澤さんには少しイラッとさせられたが、でもこれは後々のための伏線なのだろうと解釈。まあとにかく大変な業界なんだろうけど、この歳になっても結局気になるアニメは観るわけだから、これからも良質なものを作っていって欲しいなと思うのです。

  • 出版された頃王様のブランチで紹介されていたので、文庫本になるのを楽しみに待ってついに読みました。面白い話もあったけど、どこかアニメのようなドラマのような偶然すぎる展開が多くて読みながら冷めてしまいました。私にはこの人の文章は合いませんでした。

  • 面白かった!
    長編かと思いきや連作短編だった。
    でもだんだん人の輪が繋がっていって良かった。
    アニメファンとしてその舞台裏が覗けたのも新鮮。
    こんなに多くの人の手によって作られてるんだなぁと。
    愛され磨かれ世に出てくるんだなぁと。

    ハケンアニメって派遣だと思ってたら全然違った。(笑)

  • 辻村深月、アニメ制作現場の世界を描く。
    登場するディレクターやプロデューサーやアニメーターはそれぞれ癖はあっても皆有能で、アニメを必要とする人vsしない人の構図を取りながら、どちらも豊かだという、何だか普通にいい話。
    こんなテイストの話、他の誰かに任せておけばという気がしないでもないが、この人、アニメが好きなんだろう、そういう悪態をつきながら、フレーズに登録したように、心がさわさわさせられたところもあった。
    劇中描かれるアニメのアイデアがなかなか良くて、ほんとの絵で見たい気がする。

  • 物語が3つに分かれていて、終盤に3つが混じり合うのが楽しいですね。

  • またまた辻村流の他小説の登場人物が。チヨダコーキどこかで聞いたぞ、VTRもそうだなあ。前半より後半が、アニメ界の壮絶な駆け引きというか、アニメに懸ける意気込みを感じた。アニメ界の覇権争いは製作側というより、ファンであるアオタク側にかかっているのだろうな。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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