- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784839002862
作品紹介・あらすじ
幕末維新期の史料には興味尽きないものがある。本書に取り扱う芸能・文化・情報に関する史料群もその一端である。明治維新政治史を専攻する著者は、まず史料から出発し、その鋭い史眼をもって、これらの史料を明析・明解な論理で解き明かして行く。
感想・レビュー・書評
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遊郭、剣術、さまざまな興行といった文化、それから知識人レベルの書簡のやり取りから幕末維新期の社会を見た一書。
それぞれの章に出てくる人物はいわゆる有名人ではないのだけど、それぞれにそれぞれの幕末維新があることはよくわかる。それらの事例から、薩長中心の政治史的な幕末維新像と異なった歴史像を提示しようとしている。幕末期の豪農や知識人レベルは、外国の情報やら江戸の情報から何まで様々な情報を入手していて、そこから各々の対応や、地域社会の対応を模索していたというのは、その後に展開していく近代社会との関係を考えるうえでも重要な指摘なのだろう。
あと「遊郭史は社会史ではなく政治史でやるべきだという、大勢に抗しての自説は、一歩も譲歩する気持ちはない」(p262)という気概が印象的でした。あくまで近世の遊郭は治安維持のための政策のなかに位置づけられるべきであり、政治的な位置づけがされたからこそ、遊郭そのものが社会的な問題にならなかった(それは近代においても、廃娼運動がキリスト者によってしか推進されなかったという問題にもつながる)、とする主張は、果してどこまで妥当なのでしょうか。
まあ、その妥当性はともかく、遊郭が幕府の情報収集の重要な場であった、という指摘は単純に面白いんだけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分類ー幕末維新期・情報・政治・文化・宮地正人。94年3月。
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分類ー幕末・情報・政治・文化。94年3月。