- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784839600884
作品紹介・あらすじ
世界で最も謎につつまれた政治指導者ポル・ポト。膨大な資料と多くの関係者へのインタビューをもとに、その素顔に迫った力作。カンボジアの悲劇のからくりが見えてきます。
感想・レビュー・書評
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長らくポルポト評伝といえばこれだったが最近はどんどん新しい研究書でてるのでやや古いか。でもクメールルージュが台頭した冷戦下のインドシナ、カンボジアのカオスはよくわかる。
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筆者は米国人、20C半ばタイで外交官を務めたのち、東南アジサシの教鞭経験もある。ポルポトを知るべく、インタビューを続け 資料を分析して執筆、歴史に残るジェノサイドの一つ―ポルポトの悪行へ迫った。
無意味に死に追いやられた100万人(推計)の証言の記録はない。センセーショナルな筆でなく、社会科学的に利を詰めて行く筆致は彼自身「捉えどころのなさで私を欲求不満に陥れた」と言わしめている。
私自身、読み終えて「結局、彼の所業の焔は何処にあった」となぞが混迷に深まった。写真で知っているポルポト~本名 サロト・サル。ふっくらとした顔立ちと穏やかな微笑 語り口も「上品、抑えた表現が多かった」とある。その裏に隠された暴力・独善・恐怖。
真に静かなる恐怖
20C半ば、フランㇲへ渡り、共産ヴィジョン思想哲学を学んだ後帰国
15Cアンコール王朝没落後のカンボジア、従属的、穏健な国民性、それらの史的要因に加えて地理的宿命~絶えずベトナムに苛まれてきた事実、タイの存在、そして中国~が組み合わさり、クメール・ルージュへ結実した。カンボジアを開放する為には家族・宗教・余暇を「無視する様に」一般庶民を誘導したのだ。その時、インテリ層は扱いやすい道具と化し、「権力の駆使」を最大限用いてあの惨禍に至った。ポルポトの名をすて「兄一号」と名をかえ、更に潜伏して1998年死亡・・歴史に残る事実は闇が多いという事実だけ分かった。 -
山田寛先生著
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生涯を通して自分を意図的に表に出さなかったゆえに謎に包まれているポル・ポトの実像を、カンボジア現代史とともに明らかにしようと試みている名著です。
実際のインタビューには乏しいものの、膨大な文献と調査をもとにした記述には脱帽です。訳者の山田さんがおっしゃる通り、学者らしく真面目に事実を追い求め、客観的分析がなされています。
読み終わってもより謎が多くなるようなポル・ポトの生涯ですが、一読の価値ありです。